阿佐海岸鉄道
阿佐海岸鉄道株式会社(あさかいがんてつどう)は、徳島県海部郡海陽町に本社を置き、阿佐東線を運営している、第三セクター鉄道事業者。
概要
旧日本鉄道建設公団建設線で、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の施行により1980年に建設工事が中断された阿佐線のうち、大半の構造物ができあがっていた徳島県側の海部駅 - 甲浦駅間を建設・運営するために1988年に徳島県・高知県・海陽町・東洋町などの出資による第三セクター方式で設立された鉄道事業者で、同区間を阿佐東線として運営している。
阿佐東線は四国旅客鉄道(JR四国)牟岐線の末端的存在であり、沿線人口が少ない上に路線距離も短いため運賃収入は2千万円を切る状態(輸送密度は約170人/日)で、開業以来赤字続きで一度も黒字を計上できていない。沿線の高校統廃合で定期客も減少し、毎年の経常赤字が5 - 9千万円前後に上り、地元自治体の負担は限界に近いとされ、廃止を検討している第三セクターとして名前が挙げられている[1]。2008年度鉄道統計年報によると、日本全国のJR線以外の路線で最も利用者が少ない路線となっており[2]、2011年度鉄道統計年報によれば減価償却費を含めた営業係数が「916」と、全国の鉄道事業者の中で最も悪い数値となっている[3]。
2016年2月、主要株主である徳島県が、観光と地域の活性化を図って、牟岐線阿波海南駅から本鉄道甲浦駅間で10年以内にデュアル・モード・ビークル(DMV)の導入を目指す方針を発表した。将来的には道路を使用して室戸岬などの観光地への延伸も目指すとしている[4]。同年5月の「第1回阿佐東線DMV導入協議会」の会合で、現在保有する車両をDMV車両1両に置き換える案が出された[5]のち、2017年2月開催の第2回協議会において2020年までにDMVを導入することを正式に決定した[6]。
歴史
- 1988年(昭和63年)9月9日 - 設立[7]。
- 1992年(平成4年)3月26日 - 阿佐東線 海部 - 甲浦間が開業[8]。
- 2006年(平成18年)3月1日 - 全駅で駅番号表示を開始。
- 2008年(平成20年)6月30日 - 宍喰駅で夜間に回送列車が壁面に衝突して脱線し、自社車両1両破損[9]、廃車。
役員
社長
氏名 | 在任期間 | 備考 |
---|---|---|
坂本松雄 | 2001年・2002年頃 | 徳島県副知事 |
平岡建彦 | ? - 2006年6月 | 宍喰町長 |
五軒家憲次 | 2006年6月 - 2014年5月13日 | 海陽町長 |
前田恵 | 2014年5月14日 - | 海陽町長 |
専務
- 坂東徳一
- 根来正
- 岡本真一
路線
利用状況
- 参照: 阿佐海岸鉄道阿佐東線#利用状況
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日現在[10]。
キロ程 | 区間 | 運賃(円) |
---|---|---|
3 | 宍喰 - 甲浦 | 210 |
7 | 海部 - 宍喰 | 240 |
9 | 海部 - 甲浦 | 270 |
入場券 大人200円、小児100円
かつてグリーン車連結の特急列車が普通列車として乗り入れていたときは、グリーン料金(自由席)の設定があった(1997年3月時点で海部-宍喰間 220円、海部-甲浦間 240円、宍喰-甲浦間 180円[11])。
車両
2016年4月現在、気動車2両が在籍している。1992年の開業時に新製気動車2両を用意したが、1両が2008年に事故廃車となり、2009年に代替車として廃止となった高千穂鉄道から1両を無償譲受した。
現有車両
- Asa Kaigan Tetsudo.jpg
ASA-101
- Asakaigan-301.jpg
ASA-301「高千穂復刻列車」
- Asakaigan-ASA-301.jpg
ASA-301 ラッピング列車
過去の車両
- ASA-200形「あさしお」 (201)
- Asa Kaigan Railway ASA-201 kaihu.jpg
ASA-201
- Asa Kaigan Railway ASA-201 Inside 1.JPG
ASA-201の車内(2007年8月)
脚注
- ↑ 2003年8月13日 日本経済新聞関西版。廃止検討中の第三セクター7社(鉄道以外を含む)のうちの1社として名前が挙げられている。阿佐海岸鉄道においては、2007年度までは現行通り自治体が補助を行うが、以後の存廃は検討中とされている。
- ↑ 岩泉線(茂市〜岩泉)について (PDF) p. 7 - 東日本旅客鉄道、2012年3月30日。
- ↑ 梅原淳 (2014年9月6日). “100円稼ぐのに、916円かかる鉄道会社は? 営業係数で見た「ワースト20鉄道」ランキング”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. . 2014閲覧.
- ↑ “線路も道路も走れるDMV、徳島県10年以内に営業運行”. 朝日新聞DIGITAL (朝日新聞社). (2016年2月13日) . 2016閲覧.
- ↑ “阿佐海岸鉄道:DMVのみ10キロ運行 導入協初会合で案/徳島”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2016年5月27日) . 2016閲覧.
- ↑ “阿佐海岸鉄道、線路・道路両用車両を20年までに導入”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2017年2月4日) . 2017閲覧.
- ↑ 引用エラー: 無効な
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」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ “JR7社14年のあゆみ”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 9. (2001年4月2日)
- ↑ 9.0 9.1 列車、車庫で壁に衝突 脱線し運転手けが 阿佐海岸鉄道、朝日新聞、2008年7月1日。
- ↑ 運賃・料金 - 阿佐海岸鉄道、2014年7月30日閲覧。
- ↑ 『JTB時刻表』1997年3月号、p.365。
- ↑ 「トロッコ列車 JR九州へ 高千穂鉄道、有償で譲渡 一般車両 沿線2町などに無償で」 西日本新聞 2008年10月21日
- ↑ 『鉄道ファン』2009年4月号195頁。元記事は徳島新聞2008年2月3日付。この記事中で事故車両は廃車になったと明記されている。
- ↑ “高千穂復刻列車運行”(イベント参加者募集等) - 阿佐海岸鉄道株式会社(ごっきげん海岸沿線)、2009年8月1日、2015年10月22日閲覧。
- ↑ 高千穂鉄道の車両、阿佐海岸鉄道で復活 30日から、朝日新聞、2009年8月30日、2015年10月22日閲覧。
- ↑ イメージキャラクターを使ったラッピング車両登場!! - 阿佐海岸鉄道株式会社(ごっきげん海岸沿線)、2010年2月22日、2015年10月22日閲覧。
- ↑ 阿佐海岸鉄道:阿佐東線、今夕に運転再開 /徳島 毎日新聞 2008年7月5日 地方版
- ↑ 車両やりくりに苦悩 阿佐東線脱線、車検控え代替車必要 徳島新聞 2008年7月17日
- ↑ 『鉄道ファン』2008年11月号180頁。
関連項目
- 日本の鉄道事業者一覧
- 四国旅客鉄道
- 土佐くろしお鉄道 - 阿佐線の高知県側を運行する第三セクター事業者
- 任侠ヘルパー - 劇場版で阿佐海岸鉄道が撮影協力