門司港駅

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門司港駅の位置
門司港駅の位置
門司港駅の位置
門司港駅の位置

門司港駅(もじこうえき)は、福岡県北九州市門司区西海岸一丁目にある、九州旅客鉄道(JR九州)鹿児島本線である。同線の起点駅[1]

関門トンネルが開通するまで九州の鉄道の玄関口であり、対岸の下関駅との間に就航した関門連絡船との連絡中継駅として賑わった。駅舎は重要文化財に指定されている[1]

歴史

当初は、九州鉄道の起点の駅、門司駅として1891年(明治24年)4月1日に開設された。初代の駅舎が建てられたのは現在の門司駅舎が所在する地点よりも東側、今の北九州銀行門司支店の裏手に当たっていた。1901年(明治34年)5月27日には関門連絡船の運航が開始され、本州の鉄道と結ばれて多くの旅客と貨物がこの駅を経由することになった。しかし間もなく、1911年(明治44年)10月から下関 - 小森江間で貨車の車両航送が開始されて、貨車は直接連絡船に載せて本州と九州の間でやり取りされるようになり、当駅を経由するのは旅客が中心となった[1][2]

1914年(大正3年)に、2012年現在も存在する2代目の駅舎が完成し、移転開業した。その後も九州の鉄道の起点としての地位を保っていたが、関門トンネルの開通に伴って門司駅の名前は関門トンネルが接続することになる従来の大里駅に使うことになり、当駅は門司港駅へと改称した[1]。それまでは門司の埠頭にある貨物輸送用の駅が門司港駅(こちらの読みは「もじみなと」)と称しており、これに合わせて貨物駅は門司埠頭駅に改称された。それ以降の当駅は、本州と九州を連絡する鉄道輸送の流れから外れることになった。

第二次世界大戦に際しては、1945年(昭和20年)3月5日に米軍の空襲を受け、駅構内で3名が死亡した。21世紀になってからの駅舎復元工事の際には、駅舎に残されていた機銃や爆弾の痕跡が発見された[3]

門司港駅が輸送の流れから外れたのちも、門司鉄道管理局や国鉄九州総局などは引き続き門司港駅のそばに置かれ、国鉄分割民営化後もJR九州は異例の福岡と北九州の2本社体制を維持して、門司港駅脇に北九州本社が引き続き置かれていた。しかし福岡本社への統合に伴い2000年(平成12年)に北九州本社は閉鎖となっている。この建物は旧三井物産門司支店として現存する。

それ以降は門司港レトロへの観光客などが利用する駅となっている[1]

年表

歴代駅長

駅構造

頭端式ホーム2面4線を有する地上駅。3番線はホームに面していない留置線(もとは機回し線)に付けられているので南側から1 - 5番線となっている。2つのホームの間には日本の鉄道開業100周年を記念して建立された九州の鉄道起点を示す0哩(マイル)標がある。また、隣接して乗務員基地(門司港運転区)と車両基地(小倉総合車両センター門司港車両派出)がある[1]

直営駅。また、みどりの窓口が設置されており、自動改札機もある。自動改札設置の提案が出たときには「レトロなイメージを壊す」として地元から反対意見が多数出たが、塗装を茶色にして目立たなくするということで同意を得て、稼働開始した。また、関門海峡花火大会など多客時の際には、自動改札機を除外して開きスペースにSUGOCA簡易リーダーを設置して対応する。

駅の東側の車両留置線の中からさらに北の方向へ、かつては外浜駅まで鹿児島本線の貨物支線が伸びていた。この路線は2005年に営業が休止された後、線路はそのままになっていた。この線路を再利用する形で、2009年4月26日から第3セクター平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線のトロッコ列車を運行している[1]

駅舎

ファイル:関門連絡船通路跡の監視窓.JPG
関門連絡船通路跡の監視窓
ファイル:Mojiko station under renovation AUG2014.jpg
修理中の門司港駅 (2014年8月撮影)

駅舎は、1914年(大正3年)1月に建築された木造2階建てのもので、ネオ・ルネッサンス様式と呼ばれる左右対称の外観デザインが特徴であり、1988年に駅舎としては全国で初めて国の重要文化財に指定された。

駅構内には戦前から使用されている洗面所、手水鉢、上水道など様々な歴史的資産が存在する。現在は別用途に使用されているが、「一・二等客待合室」・「チッキ(手荷物)取扱所」・「貴賓室」・「関門連絡船通路跡」等も残されている[1]。特に関門連絡船通路跡には旧日本軍の命令で設置された渡航者用監視窓の跡も残っている。これは当駅が外来航路の寄港地だったため、戦時下の不審者を発見する格好の場所だったとされるためである。

開業後100年近くが経過し、シロアリ被害や老朽化による腐食でゆがみや亀裂が生じていることが分かったため[9]、国・福岡県・北九州市・JR九州が話し合いを行い、2012年9月から本格的な保存修理工事を開始した[10]。このため2012年9月28日限りで開業時からの駅舎での営業を休止し、翌29日から仮駅舎に移行している。当初、工事完了は2017年度末を予定していたが、耐震補強工事等の実施により工事完了予定時期が変更され、駅機能の新駅舎への切り替えは2018年秋頃、駅全体の供用開始は2019年春頃、全体工事の完了は2019年度の予定となった[8]

のりば

のりば 路線 行先
1・2・4・5 鹿児島本線 小倉博多方面/日豊本線 中津方面
  • 前述の通り、3番のりばは欠番である。

利用状況

2017年(平成29年)度の1日平均乗車人員5,165人である[11][12]

乗車人員推移
年度 1日平均人数
2000年 5,903
2001年 5,778
2002年 5,520
2003年 5,565
2004年 5,428
2005年 5,191
2006年 4,952
2007年 4,969
2008年 5,058
2009年 5,077
2010年 5,111
2011年 5,320
2012年 5,154
2013年 5,145
2014年 4,937
2015年 5,090
2016年 5,164
2017年 5,165

駅周辺

駅名の通り駅の近くに門司港(北九州港)があり、駅周辺は港と当駅を中心にして古くから栄えた市街地(門司港地区)で門司区の中心部にあたる。現在、当駅駅舎や周辺の歴史的建造物を活かした観光スポット(門司港レトロ)となっている[1]

駅前を国道198号が通り、駅の約200m東側を国道3号が通っている。

かつては駅舎前のロータリーにバス乗り場とタクシー乗り場があったが、門司港レトロ事業のひとつとして駅舎前を噴水広場に改めたため、ロータリーは東側に移された。バス乗り場からは門司区内各地や、小倉方面へ向かう西鉄バス北九州の路線が発着している。

主なスポット

バス路線

西鉄バス北九州による運行。駅横の門司港駅前バス停留所から門司区内および北九州市内他区各地へ発着する。

  • 7番:太刀浦埠頭入口(海岸経由)
  • 74番:和布刈
  • 3番・72番:田野浦(海岸経由)
  • 72番:東本町二丁目
  • 41番:白野江(黒川・大積東口経由)
  • 43番:柄杓田(黒川経由)
  • 45番:門司学園中高前(黒川・伊川経由)
  • 95番:田野浦(山手経由)
  • 40番:恒見営業所(黒川・伊川経由、一部柄杓田もしくは門司学園中高経由)
  • 70・74番:戸畑渡場門司駅前・原町・砂津小倉駅入口・魚町西小倉駅前・中井口経由)
  • 72番:青葉車庫(門司駅前・原町・砂津・小倉駅入口・魚町・西小倉駅前経由)
  • 95番:小倉北区役所前・青葉車庫(門司駅前・社ノ木二丁目・砂津・小倉駅入口・魚町経由、一部西小倉駅(構内)経由小倉北区役所行き)

また、駅から約400m離れた桟橋通り交差点にある国道3号県道25号の門司港レトロ(郵便局前)・門司港レトロ(栄町銀天街入口)・門司港レトロ(桟橋通り交差点)

バス停留所にもバスが発着する。

その他

  • 太平洋戦争中、政府による金属類回収令が公布され、門司港駅本屋の真鍮製板張りの円柱は、当時の小林鎌次郎駅長の機転により、黒色のペンキで塗装しカムフラージュされ、供出を免れたという。後世、ペンキが剥げたところから真鍮が露出し、さらに磨いたところ非常に美しい真鍮板が顕わになった。駅員たちは、当時の駅長、駅員たちが必死に駅舎を守ったことを知り、感銘を受けたという。
  • しばしば「JR九州最古の木造駅舎」との表現が散見されるが、JR九州最古の木造駅舎は当駅ではなく、肥薩線嘉例川駅大隅横川駅であり、ともに開業は1903年(明治36年)1月15日である。
  • テレビドラマや映画のロケ地としても有名である。1984年には銀河テレビ小説『港駅』(NHK総合)の舞台としてロケーション撮影が行なわれ、タイトルバックの映像に駅舎や当時走っていた西鉄北九州線が使用されている。近年では『ホーム&アウェイ』(2002年フジテレビ)で度々撮影に使われていた。
  • 門司港駅社員の制服は、他のJR九州の駅の制服とは異なるオリジナルのレトロ調のものである[1]
  • 2007年8月10日に放送された実写版テレビドラマ『はだしのゲン・前編』(フジテレビ)で広島駅が登場するシーンがあるが、当時の広島駅のイメージがこの駅と似ているため、駅舎のみロケに使用された(ホーム、車両は静岡県の大井川鐵道で撮影)。その際出入り口に掲示している駅名を『門司港駅』⇒『驛島廣』に差し替えて、背景をCGで白くするなど(1945年の広島駅の風景に近づけるため)、配慮してある。

ギャラリー

隣の駅

九州旅客鉄道
鹿児島本線
快速・区間快速・普通
門司港駅 - *葛葉駅 - 小森江駅
*打消線は廃駅(廃止時点は、小森江駅は未開業)

かつて存在した路線

日本貨物鉄道
鹿児島本線
門司港駅 - 外浜駅

この路線は平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線に転用されている。

脚注

  1. 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 1.25 1.26 1.27 1.28 1.29 1.30 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「zeneki07」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
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  3. 3.0 3.1 "国の重要文化財「門司港駅」を“完全復元”へ 1914年建設当時の姿に 宮内庁の資料が後押し"”. 西日本新聞 (2018年3月22日). . 2018閲覧.
  4. 鉄輪、p.49。
  5. 鉄輪、p.83。
  6. 鉄輪、p.190。
  7. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (2009年3月3日) 
  8. 8.0 8.1 “門司港駅が創建当時の姿に甦ります!” (プレスリリース), 九州旅客鉄道, (2017年3月21日), https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2017/03/21/170321mojikosta.pdf . 2017閲覧. 
  9. 毎日新聞2010年3月6日北九州・門司港駅:老朽の駅舎、改修を/シロアリ被害や腐食、JR九州など協議
  10. 門司港駅の保存修理工事に着手します (PDF) - JR九州、2012年7月13日
  11. とうけい北九州 (運輸・通信) JR乗降客人員
  12. 駅別乗車人員上位300駅(2017年度) (PDF)”. 九州旅客鉄道. . 2017閲覧.

参考文献

  • 『九州の鉄道100年記念誌 鉄輪の轟き』 九州鉄道百年祭実行委員会・百年史編纂部会、九州旅客鉄道、1988年、初版(日本語)。
  • 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』 JTB、1998年、初版(日本語)。ISBN 4-533-02980-9。

関連項目

外部リンク

九州旅客鉄道 鹿児島本線(門司港 - 大牟田)
門司港 - (*(貨)門司埠頭<<)*(貨)葛葉 - 小森江 - (下関方面<<)門司 - (貨)北九州貨物ターミナル - (貨)東小倉 - 小倉 - (紫川信号場) - 西小倉(>>大分方面) - (貨)浜小倉 - 九州工大前 - 戸畑 - 枝光 - スペースワールド - 八幡 - *(貨)西八幡 - 黒崎 - (東折尾信号場) - 陣原 - 折尾 - 水巻 - 遠賀川 - 海老津 - 教育大前 - 赤間 - 東郷 - 東福間 - 福間 - 千鳥 - 古賀 - ししぶ - 新宮中央 - 福工大前 - 九産大前 - 香椎 - 千早 - (千早操車場) - 箱崎 - 吉塚 - 博多 - 竹下 - 笹原 - 南福岡 - 春日 - 大野城 - 水城 - (太宰府信号場) - 都府楼南 - 二日市 - 天拝山 - 原田 - けやき台 - 基山 - 弥生が丘 - 田代(貨)鳥栖貨物ターミナル - 鳥栖(>>佐賀方面) - 肥前旭 - 久留米 - 荒木 - 西牟田 - 羽犬塚 - 筑後船小屋 - 瀬高 - 南瀬高 - 渡瀬 - 吉野 - 銀水 - 大牟田(>>熊本方面
日本貨物鉄道 貨物支線(廃線) : 門司港 - (貨)外浜
日本貨物鉄道 博多臨港線(貨物線) : 香椎 - (千早操車場) - (貨)福岡貨物ターミナル
*打消線は廃駅