鎖
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鎖(くさり、coil chain)とは環状の部品を繋げて線状にしたもの。複数連結され鎖を形成している個々の素子を鎖素子という[1]。
元来は同じ形状の部材を連続的に接続したものだが、ローラーチェーンやボールチェーンのように複数種の部材からなるものでもチェーンと総称される。
近代以後、安定した品質の長大鋼線が量産可能になると、これを縒り合わせた、重量あたりの引っ張り荷重がより大きいワイヤーロープに鎖の多くが取って代わられた。しかし細鋼線の束であるワイヤーロープに比べ、鎖は腐蝕に強い、太くとも可撓性が高い、切り口のほつれ防止や留め金を付ける処置が不要等の長所もあり、依然として多く使用される。
鎖は施錠や、タイヤチェーン、あるいはチェーンブロック、吊り具などの楊荷などに使われる(ワイヤーを使うものはクレーンやウインチを参照。)。小さなものにはネックレスなどの装身具用、大きなものには船の投錨用がある。
素材は用途にもよるが、主に古くからある鋼製の他、それを表面処理したもの、強度を高めた物、ステンレス鋼、プラスチックなどがある。
形状別の種類
- 長鎖環(ロングリンクチェーン)
- 一般にみかけるもの。
- 短鎖環(ショートリンクチェーン)
- 一般にみかけるもの。
- 雑用鎖
- 捻り鎖
- 繋いだ鎖の環をひねったもの(ひねってつぶしたものは喜平と呼ばれる)。装飾用のツイストチェーンなどでは、何重にもひねって中央を棒状にしたものも存在する。
- ビクター鎖
- マンテル鎖
- サッシュ鎖
- 打ち抜きチェーンともいう。
- ラダーチェーン
- はしご状に繋いだ鎖。
- ロープチェーン
- ひとつの環のなかに2本以上の環を重複して繋いだ鎖。装飾用のものはハワイアンジュエリーなどで多く用いられる。
- ローラーチェーン
- ローラー、ブッシュ、内側プレート、外側プレート、軸の組み合わせで一単位として構成され、スプロケットと使用することにより主に動力の伝達に用いられる鎖。
- 喜平(きへい)
- 繋いだ鎖の環をひねってつぶしたもの。騎兵の馬に施された装飾に由来する呼称。ネックレスなどの装身具にも使われる。二面・四面・六面・八面など面取りした物もあり、環を二重に繋いだ「W喜平」なども存在する。
- また、それぞれの環を長く伸ばした「長喜平」や、ひねってつぶした環の長いものと短いものを交互に組み合わせた「フィガロチェーン」なども存在する。
- 玉鎖(たまぐさり)
- ボールチェーンとも呼ばれる。線材ではなく薄い金属板に鉄アレイ状のジョイントを挟みながら球形にかしめて鎖状にしたもので、構造的に加重に対する強度は求められない。チェーンの両端をコネクタで接続することでリング状にすることもできる。ステンレス製のものは浴槽や洗面台の排水栓の遺失防止などに用いられている。
- リング状にしたものはネックレスなどの装飾用にも用いられる。装飾用のボールチェーンはステンレス製のほかにも、金や銀などの素材が使われる事もあり、また球面ではなく多面体的なカットを施したものもある。
用途別の種類
- ウォッチチェーン
- ウォレットチェーン
- ベリーチェーン
- 腰周りに付ける装飾用の鎖。ベリーダンスの衣装に用いられる事が名称の由来。ダンス用のものは大ぶりで装飾用のパーツがついた物が多い。女性用ファッションの装身具としても用いられ、この場合には細い鎖が使用される物が多い。ヘソに施したボディピアスと連結されているタイプも存在する。
- グルメット
その他の用例として、古くから捕縛に用いられた記録があり、『日本書紀』仁徳紀41年3月条に、百済の王族・酒君が無礼であったため、責められた百済王は、鉄鎖で酒君を捕縛して進上した、と記述がある。
工業規格
※( )内は主な材料
- JIS F2106(SS400、SWRM6、SBC490):船、漁網、機械、車両、鉱業、その他一般用途。
- JIS F3303(SBC490):フラッシュバット溶接アンカーチェーン。
- ISO Grage 40(SBC590、SBC690、SAE-15B25):チェーンブロックなどの荷役用。
比喩表現
その形状的な特徴から、「連続する様子」の喩えとして「鎖」が使われる。鎖素子のことをリンクといい、転じて何かを「接続するもの」を指すようになった。
鎖は古くから縄紐より厳重な封印・拘束のために用いられ、「封鎖」のように制約・束縛の喩えにもなっている。
- 連鎖反応
- 食物連鎖
- 人間の鎖
- チェーンメール
- チェーン店
- チェーンスモーキング - 途切れることなく立て続けに喫煙をすること。それを行う重度のヘビースモーカーを「チェーンスモーカー」と呼ぶ。
- チェーンギャング - 一連の鎖で数珠繋ぎに繋がれた囚人のこと。「チェインギャング」とも。
など。
出典
- ↑ 意匠分類定義カード(M1) 特許庁