野球帽
野球帽(やきゅうぼう)は、野球を行う際に着用する、あるいはそれに類似した形式の帽子。
英語では、ベースボールキャップ(baseball cap)あるいはベースボールハット(baseball hat)と呼ばれる。野球の試合の際にはユニフォームの一部として定められ、選手およびコーチには着用が義務付けられる。 帽子の正面にチームのマークやイニシャルが刺繍やワッペンなどで施されることが多い。 頭部保護の目的で着用するプラスチック製の保護帽はヘルメットと呼ぶ。
ゴルフやテニスなど野球以外の競技、また作業帽やファッションアイテム、ノベルティとしても広く用いられる。
Contents
概要
帽体は頭部の形に沿った椀状を基本とし、天にはリベット止めの包みボタンが付与され、前方にプラスチックや不織布などを芯とした目庇がつく。帽体のシルエットや庇の形状や大きさは、時代や地域などによってさまざまなスタイルがある。 仕立ては6枚接ぎが最も一般的で、頭頂部付近に通気口が設けられることが多い。前面が一枚となった5枚接ぎ、6枚接ぎに前立てを追加した7枚接ぎ、クラシカルな8枚接ぎ、前後方向に分割された4枚接ぎや5枚接ぎ、4枚接ぎに前立てを追加した5枚接ぎ、円筒形のケピ帽タイプ(ピルボックス・キャップ)などのバリエーションもみられる。顎紐は通常は付かないが、飾りモールやパイピングが付与される例もある。 型崩れ防止のため、正面部分はあて布や芯材で裏側から補強される。簡素な作りのものでは、生地を補強する代わりに前面内部にプラスチック製のメッシュパネルが縫い込まれる例もある。またかつては庇の裏側に緑色のフェルトが貼られていたが、1990年代以降は灰色が主流となっている。
野球競技用のものにはウールサージ織、フランネル、コットン布帛、ナイロンやポリエステル製のニット素材やメッシュなどが使用され、各人の頭囲に合わせたサイズのものが調達されるが、それ以外の汎用品にはポリウレタン、皮革、人造皮革、麻などさまざまな素材が用いられ、サイズ調整のため後部にアジャスターや面ファスナー、ベルト、ゴムなどが付属しているものが多い。 近年では野球以外のスポーツで使用される例が増加しており、ゴルフキャップ、テニスキャップとして販売されているものの大半は野球帽である。ランニング用として設計されているものはコンパクトに折り畳めるように柔らかく軽量な素材で、頭頂部のボタンなどは省略される場合もある。
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6枚接ぎ
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5枚接ぎ
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前面が1枚仕立てのもの
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後部がメッシュのもの
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前後方向の5枚接ぎ(ランニング用)
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サイズ調整用のアジャスター
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前面裏側のメッシュパネル
歴史
野球帽の原型となる丸い帽子は1850年代以前から存在していたが、1860年前後に全米野球選手協会に所属するブルックリン・エクセルシオールというチームが導入したことによって広まったというのが定説となっている。
当時は円筒部に水平のストライプがあしらわれたピルボックス・キャップも多く使用されていたが、20世紀の初頭までには「ブルックリン・スタイル」と呼ばれたエクセルシオール型の帽子が優勢となり、さまざまな改良が重ねられた結果、1940年代にはほぼ現在と同じ形状となって定着した。
ピルボックスキャップ
19世紀に一般的であった円筒形の野球帽。ピルボックスキャップという名称であるが、女性用でつばのないピルボックス帽(pillbox hat)よりもケピ帽やリッジウェイ・キャップなどに近い形状である。近年ではピッツバーグ・パイレーツが1976年から1986年にかけて採用していた。日本プロ野球においても、1979年のオールスターゲームで使用されたことがある。日本の高校野球においては、愛知県立旭丘高等学校や大阪府立市岡高等学校などで伝統として受け継がれている。
アポロキャップ
NASAがアポロ計画の頃から作業帽として使用していたタイプの帽子のことを、日本では特に「アポロキャップ」と呼んでいる。和製英語の俗称であるため定義は存在しないが、一般的にはNASAが採用していた前部がフラットな7枚接ぎで、前立て全体と庇に刺繍が入っているタイプのものがこう呼ばれることが多い。
この種の帽子はアメリカ合衆国を始めとする各国の警察、消防、軍隊、準軍事組織などで、略帽や活動帽、作業帽などとして利用される例が多く見られる。日本の自衛隊においても、部隊ごとに独自に作られる識別帽(スコードロンキャップ)として使用されている。
トラッカーハット
前面がポリウレタンフォーム製の、安価で簡素な作りのメッシュタイプのものはトラッカーハット(トラッカーキャップ)と呼ばれる。 これはアメリカにおいて、企業が宣伝のために自社のロゴや商品名などを配したものをトラック運転手などに無料配布したことに由来する。
日本でも農協や農機具メーカーなどを中心に同様の例がみられるが、いわゆるトラッカーハットと呼ばれるものとは材質や仕立てが異なるものが多い。
ラリーキャップ
野球帽を裏返したり、前後を逆にしたり、つばを上向きに立てたりしてかぶること。試合展開が劣勢の際に、反撃や形勢逆転を祈願して行われるおまじないの一種。
ギャラリー
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1910年代の野球帽 現在のものに比べて浅く庇も短い
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さまざまなデザインの野球帽(日本の高校野球)
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海上自衛隊の部隊識別帽(いわゆる「アポロキャップ」)
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選挙運動のノベルティ 飾りひも付き
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ゴルフ選手の着用例
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警察官の着用例
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ラッパーの着用例