遠野市
柳田國男の『遠野物語』の舞台となった町であり、河童や座敷童子などが登場する「遠野民話」が伝わる。
Contents
地理
位置と地形
岩手県南東部の内陸に位置する。市のほぼ全域が、北上川の支流である猿ヶ石川の最上流域にあたり、中央部は北上山地最大の盆地である遠野盆地となっている。また、岩手県で2番目に高い山である早池峰山の一部も市域にある。
人口
遠野市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
気候
先述の通り北上高地に位置しており、冬季の放射冷却が起きると-20℃近くまで下がることもある。また、太平洋側気候であるが、豪雪地帯対策特別措置法において豪雪地帯に指定されている。
- 最高気温極値 36.5℃(2007年8月14日)
- 最低気温極値 -22.5℃(1978年2月15日)
遠野の気候資料 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | 1.5(34.7) | 2.4(36.3) | 6.6(43.9) | 14.1(57.4) | 19.7(67.5) | 23.3(73.9) | 26.4(79.5) | 28.2(82.8) | 23.4(74.1) | 17.5(63.5) | 10.8(51.4) | 4.6(40.3) | 14.88(58.78) |
平均最低気温 °C (°F) | -7.3(18.9) | -7.0(19.4) | -3.5(25.7) | 1.7(35.1) | 7.2(45) | 12.9(55.2) | 17.3(63.1) | 18.6(65.5) | 13.8(56.8) | 6.3(43.3) | 0.4(32.7) | -3.6(25.5) | 4.73(40.52) |
降水量 mm (inches) | 46.8(1.843) | 36.8(1.449) | 72.1(2.839) | 90.7(3.571) | 97.4(3.835) | 116.5(4.587) | 155.5(6.122) | 175.7(6.917) | 148.5(5.846) | 97.9(3.854) | 79.1(3.114) | 55.3(2.177) | 1,172.3(46.154) |
降雪量 cm (inches) | 105(41.3) | 84(33.1) | 44(17.3) | 2(0.8) | 0(0) | 0(0) | 0(0) | 0(0) | 0(0) | 0(0) | 5(2) | 55(21.7) | 295(116.1) |
日照時間 | 94.8 | 108.6 | 134.6 | 164.5 | 172.5 | 142.0 | 129.3 | 140.2 | 108.4 | 124.5 | 107.8 | 88.5 | 1,515.7 |
出典: 気象庁 |
歴史
城下町としての遠野
徳川家康に臣従し、盛岡藩を成立させた南部利直は領内の基盤整備に取りかかった。それまで遠野を領有していた阿曽沼氏や鱒沢氏を追放し、根城南部氏の八戸直義を転封させて仙台藩領と隣接する遠野の統治にあたらせた。1627年(寛永4年)、直義は遠野鍋倉城主として12,500石を与えられた。以後明治維新までの約240年間、遠野は遠野南部氏の城下町として存続した。歴代当主は盛岡藩御三家の一つとして盛岡に常駐していたため、実際の政務は鍋倉城代である重鎮の家老達により行われていた。現在も穀町、大工町、材木町、六日町という地名に城下町の名残を見ることができる。
沿革
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行に伴い、横田村が単独で町制施行して西閉伊郡遠野町が発足。
- 1897年(明治30年)4月1日 - 郡制の施行により、西閉伊郡と南閉伊郡の区域をもって上閉伊郡が発足。上閉伊郡遠野町となる。
- 1954年(昭和29年)12月1日 - 青笹村・綾織村・小友村・上郷村・附馬牛村・土淵村・松崎村と合併して遠野市が発足。
- 2005年(平成17年)10月1日 - (旧)遠野市が上閉伊郡宮守村と合併し、新制の遠野市が発足。
行政
歴代市長
- 「昭和の大合併」以後
代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 備考 |
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− | 沼里末吉 | 1954年(昭和29年)12月1日 | 1955年(昭和30年)1月17日 | 市長職務執行者 |
1 | 佐々木三和吉 | 1955年(昭和30年)1月18日 | 1959年(昭和34年)1月17日 | |
2 | 村上順弥 | 1959年(昭和34年)1月18日 | 1963年(昭和38年)1月17日 | |
3 | 1963年(昭和38年)1月18日 | 1967年(昭和42年)1月17日 | ||
4 | 工藤千蔵 | 1967年(昭和42年)1月18日 | 1971年(昭和46年)1月17日 | |
5 | 1971年(昭和46年)1月18日 | 1975年(昭和50年)1月17日 | ||
6 | 1975年(昭和50年)1月18日 | 1979年(昭和54年)1月17日 | ||
7 | 1979年(昭和54年)1月18日 | 1982年(昭和57年)3月5日 | ||
8 | 小原正巳 | 1982年(昭和57年)4月25日 | 1986年(昭和61年)4月24日 | |
9 | 1986年(昭和61年)4月25日 | 1990年(平成2年)4月24日 | ||
10 | 1990年(平成2年)4月25日 | 1994年(平成6年)4月24日 | ||
11 | 菊池正 | 1994年(平成6年)4月25日 | 1998年(平成10年)4月24日 | |
12 | 1998年(平成10年)4月25日 | 2002年(平成14年)4月24日 | ||
13 | 本田敏秋 | 2002年(平成14年)4月25日 | 2005年(平成17年)9月30日 |
- 「平成の大合併」以後
代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 備考 |
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− | 佐々木廣 | 2005年(平成17年)10月1日 | 2005年(平成17年)10月23日 | 市長職務執行者、元・宮守村長 |
1 | 本田敏秋 | 2005年(平成17年)10月23日 | 2009年(平成21年)10月22日 | |
2 | 2009年(平成21年)10月23日 | 2013年(平成25年)10月22日 | ||
3 | 2013年(平成25年)10月23日 | 2017年(平成29年)10月22日 | ||
4 | 2017年(平成29年)10月23日 | 現職 |
経済
基幹産業は農業である。全就業者の中で農業就業者の占める割合は、1950年時点で73%であったが、1960・1970年代を中心に減少し、2005年には22%まで低下した[1]。代わって、サービス業・製造業・建設業等の就業者割合が増加している。
姉妹都市・友好都市
国内
国外
地域
金融機関
郵便
- 上宮守簡易郵便局
- 鱒沢簡易郵便局
- 二日町簡易郵便局
教育
小学校
- 遠野市立遠野小学校
- 遠野市立遠野北小学校
- 遠野市立綾織小学校
- 遠野市立小友小学校
- 遠野市立附馬牛小学校
- 遠野市立土淵小学校
- 遠野市立青笹小学校
- 遠野市立上郷小学校
- 遠野市立宮守小学校
- 遠野市立達曽部小学校
- 遠野市立鱒沢小学校
中学校
2013年(平成25年)4月1日に再編(括弧内は再編前)
- 遠野市立遠野中学校(遠野中学校、綾織中学校、附馬牛中学校)
- 遠野市立遠野東中学校(土淵中学校、青笹中学校、上郷中学校)
- 遠野市立遠野西中学校(小友中学校、宮守中学校)
高等学校
交通
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
バス
- 高速バス・急行バス
- 路線バス
- 早池峰バス:旧・遠野市内を中心に各方面へ運行。岩手県交通やJRバス東北から引き継いだ路線を主とする。2017年(平成29年)4月1日付けで親会社である岩手県交通に統合された。
- 住田町コミュニティバス:遠野駅〜岩手八日町(旧・JRバス遠野本線→住田交運遠野線)の運行。住田交運に委託。
- 遠野市営バス:旧・宮守村内の運行。以前は岩手県交通→早池峰バスの路線が大半。
道路
- 一般国道283号仙人峠道路
- 主要地方道
- 一般県道
名所・旧跡・観光スポット
前述の通り、遠野市は柳田國男の『遠野物語』の舞台であることから、市は「民話のふるさと」のキャッチフレーズのもと、民話とその背景となる伝統文化を主な資源として観光者誘致を図っている。市の公式キャラクターは、「カリンちゃん」および「くるりんちゃん」である[2]。
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荒神神社
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千葉家の曲り家
- Tono-furusato-mura16s3872.jpg
遠野ふるさと村
- Mt Hayachine.jpg
早池峰山
- Miyamorigawa-Kyoryo Bridge Iwate Japan.jpg
宮守川橋梁
- カッパ淵
- 常堅寺
- 伝承園
- 鍋倉公園(鍋倉城址)
- 南部神社
- 荒神神社
- 遠野市立博物館
- とおの昔話村
- 遠野蔵の道ギャラリー
- 遠野城下町資料館
- 卯子酉様
- 五百羅漢
- 福泉寺
- 千葉家住宅(千葉家の曲り家)
- 遠野ふるさと村
- 金取遺跡(日本最古の遺跡)
- 山崎のコンセイサマ
- 程洞のコンセイサマ
- 早池峰山
- 早池峰神社
- 宮守川橋梁
- 続石[3]
スポーツチーム
- 遠野クラブ(東北社会人サッカーリーグ2部所属)
遠野を舞台にした作品
- 小説
- 遠野物語(柳田國男)
- 遠野へ(水野葉舟)
- 聴耳草紙(佐々木喜善)
- 新釈遠野物語(井上ひさし)
- 遠野殺人事件(内田康夫)
- 遠野伝説殺人事件(「遠野わらべ唄殺人事件」を改題、西村京太郎)
- ヤマユリワラシ -遠野供養絵異聞-(澤見彰)
- 僕らのネクロマンシー(佐々木大輔)
- 漫画・アニメ
- 魔法遣いに大切なこと(原作:山田典枝、作画:よしづきくみち)
- 河童のクゥと夏休み(原作:木暮正夫、監督:原恵一)
- 水木しげるの遠野物語(水木しげる)
- 遠野モノがたり(小坂俊史)
- ぬらりひょんの孫(椎橋寛)
- ゲーム
遠野市出身の有名人
- 伊藤博英 - アナウンサー
- 伊能嘉矩 - 人類学者
- 奥友志津子 - 漫画家
- 六華亭遊花 - アナウンサー
- 菊池新吉 - サッカー選手
- 菊池利三 - サッカー選手、菊池新吉の弟
- 菊池直喜 - サッカー選手
- 菊池幸見 - アナウンサー
- 岸田袈裟 - 栄養学者、遠野市在住時の経験から竈をアフリカで普及させた
- 行田邦子 - 参議院議員
- 佐々木喜善(佐々木鏡石) - 民俗学者
- 船越由佳 - シンガーソングライター、Yuka & Chronoship
- 山奈宗真 - 自由民権運動家
- 伊藤一三 - 口腔解剖学
- 多田重美 – 埼玉県八潮市市長
- 北湯口舞 - 歌手、シンガーソングライター
- 若竹千佐子 - 作家
脚注
- ↑ 各年版の国勢調査による。
- ↑ カリンちゃん&くるりんちゃんのプロフィール
- ↑ アスペクト 『巨石巡礼 見ておきたい日本の巨石22』 アスペクト、2011年。ISBN 9784757218734。
参考文献
- 菊池輝雄 『「遠野物語」を歩く -民話の舞台と背景-』 講談社、1992年。
- 鈴木久介 『遠野市の歴史』 熊谷印刷出版部、1993年。
- 河本大地 『岩手県遠野市における南部曲家の減少とその背景(「地域地理研究」第7巻より)』 地域地理科学会、2002年。
- 金原左門 『遠野のいまと昔 -もうひとつの『遠野物語』を歩いて-』 有志舎、2015年。
関連項目
外部リンク