通行止め
通行止め(つうこうどめ)は、道路で、歩行者や車両等の通行を禁止することである。
なお、道路交通法における通行止め規制は同法第8条により行われる。 なお、これら上記の道路標識による規制に違反すると、以降の「通行止め」関連の違反と同様に「通行禁止違反」となる。なお、「最大幅(322)」については道路交通法ではなく、車両制限令(道路法)違反になる。
Contents
道路標識
日本において通行止めの規制をする場合には、図示の各種の道路標識を、規制をする道路の両端に設置して行うことが基本である。
規制主体
道路交通法第4条に基づき都道府県公安委員会や第5条第1項に基づき警察署長が道路標識等を設置して行う場合、道路法第46条に基づき道路管理者が道路標識等を設置して行う場合がある。
また、都道府県公安委員会または警察署長は、緊急のためなどにより道路標識等の設置が間に合わない場合には、警察官の現場における指示により、通行止めの規制をすることができる。また、警察官は、危険の防止や渋滞の解消など特に理由があり緊急を要する場合には、現場における判断により通行止めの規制をすることができる。
道路管理者が任命した道路監理員は、道路保全や危険防止のために必要な限度において、一時的に道路の通行を禁止し、又は制限することができる。
危険運転致死傷罪の適用
自動車運転死傷行為処罰法(平成25年11月27日法律第86号)の施行により、自動車・原動機付自転車を運転し、通行禁止の規制に違反して交通事故を起こし人を死傷させた者は、危険運転致死傷罪(通行禁止道路運転)として、最長で20年以下の懲役(加重により最長30年以下)に処され、また運転免許は基礎点数45 - 62点により免許取消・欠格期間5~8年の行政処分を受けることとなっている。
ただし、「通行止め (301)」、「車両通行止め (302)」やその他の通行止め標識であって、自動車・原動機付自転車に対して遍く通行止めとするものであり[1]、かつ、都道府県公安委員会が設置した道路標識または道路標示である[2]ことが要件である。(後述)
道路標識の例 (その1)
- Japan road sign 301.svg
通行止め (301)
- Japan road sign 302.svg
車両通行止め (302)
- Japan road sign 304.svg
二輪の自動車以外の自動車通行止め (304)
- Japan road sign 305.svg
大型貨物自動車等通行止め (305)
- Japan road sign 305 and 503-C.svg
特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め (305の2)
- Japan road sign 306.svg
大型乗用自動車等通行止め (306)
- Japan road sign 307.svg
二輪の自動車・原動機付自転車通行止め (307)
- Japan road sign 308.svg
自転車以外の軽車両通行止め (308)
- Japan road sign 309.svg
自転車通行止め (309)
- Japan road sign 310.svg
車両(組合せ)通行止め (310)
- Japan road sign 331.svg
歩行者通行止め (331)
運用
対象による違い
- 「通行止め(301)」は、歩行者も含め、車両、路面電車全てが対象となる。
- 「車両通行止め(302)」は、歩行者以外の全ての車両が対象となる。
- 「二輪の自動車以外の自動車通行止め(304)」は、二輪の自動車以外の自動車、すなわち三輪以上の自動車が対象となる。原動機付自転車は何輪であっても対象外だが、ミニカー、小型特殊自動車は対象となる。なお、側車付き自動二輪・特定二輪車は対象外で、構造上三輪以上(トライク)は対象となる。
- 「大型貨物自動車等通行止め(305)」は、大型貨物自動車、特定中型貨物自動車と大型特殊自動車が対象となる。
- 「特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め(305の)」は、貨物自動車(大型、特定中型、中型、普通)および大型特殊自動車であって、図示の最大積載量以上のものが対象となる。
- 「大型乗用自動車等通行止め(306)」は、大型乗用自動車、特定中型乗用自動車が対象となる。
- 「二輪の自動車・原動機付自転車通行止め車両通行止め(307)」は、自動二輪車と原動機付自転車が対象となる。側車付き自動二輪・特定二輪車は対象となるが、構造上三輪以上(トライク)の自動車は対象外である。
- 「自転車以外の軽車両通行止め(308)」は、自転車以外の軽車両が対象となる。具体的には荷車、手押しの台車、人力車、そり、牛馬など。[3]
- 「自転車通行止め(309)」は、自転車が対象となる。[4]
- 「車両(組合せ)通行止め(310)」は、記号によって図示される種類の車両が対象となる。
- 「歩行者通行止め(331)」は、歩行者だけが対象となる。
時間帯による違い
僻地で通行閑散な狭隘道路や観光地の道路等において特定の時間帯、または暴走族や走り屋対策として深夜時間帯などに(車両)通行止めの規制をしている事がある。
通行止め規制における自転車専用、自転車歩行者専用および歩行者専用
しばしば、下記にあげる道路標識は、それぞれ自転車専用道路、自転車歩行者専用道路、歩行者専用道路(歩行者天国)において設置されるが、設置主体によって適用法令および実体効果が大きく異なる。
前述の#規制主体のとおり、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令により、道路標識(または道路標示)は、都道府県公安委員会が設置するもの[5]と、道路管理者が設置するものに大別される。それぞれの場合の実体効果について下記する。
現状では、これらの道路標識を一見しても設置主体が判然とせず、道路標識の設置状況を官公署等で書類調査しないといけない(現場においては実体効果が予測困難)場合がままある。[6]
道路標識の例 (その2)
- Japan road sign 325-2.svg
自転車専用 (325の2)
- Japan road sign 325-3.svg
自転車及び歩行者専用 (325の3)
- Japan road sign 325-4.svg
歩行者専用 (325の4)
都道府県公安委員会が設置した通行止めの道路標識である場合
- 「自転車専用 (325の2)」は、普通自転車以外の車両、および歩行者の通行を禁止する。[7]
- 「自転車及び歩行者専用 (325の3)」は、普通自転車以外の車両の通行を禁止する。[8]
- 「歩行者専用 (325の4)」は、「歩行者の通行の安全と円滑を図るため」、車両の通行を禁止する。歩行者専用道路も参照。
罰則は道路交通法が適用され、かつ前述の#危険運転致死傷罪の適用対象となる場合がある。また、道路管理者による場合と比較して、普通自転車に該当しない自転車が通行止め規制対象となる。
道路管理者が設置した専用道路の道路標識である場合
- 「自転車専用 (325の2)」は、自転車等(軽車両、農業用小特トラクター[9]を含む)以外の車両、および歩行者の通行を禁止する。[10]
- 「自転車及び歩行者専用 (325の3)」は、自転車等(軽車両、農業用小特トラクター[9]を含む)以外の車両の通行を禁止する。[11]
- 「歩行者専用 (325の4)」は、車両の通行を(全面的に)禁止する。歩行者専用道路も参照。
罰則は、上記に違反している者に対する道路法第四十八条の十六による道路管理者の措置命令に違反した場合にはじめて科される。また前述の#危険運転致死傷罪の適用対象外である。
通行止めの日本の国道
- 荘島交差点から六ツ門交差点(全区間久留米市内)にて、日曜祝日の午前0時から午前6時までの間、250cc以上の自動二輪車は通行止めとなる。
- 六ツ門交差点から東町交差点(全区間久留米市内)にて、日曜祝日の午前0時から午前6時までの間、250cc以上の自動二輪車は通行止めとなる。
関連項目
脚注
- ↑ この詳細に関しては、自動車運転死傷行為処罰法を参照
- ↑ 道路交通法第8条第1項を根拠とする道路標識または道路標示(同法第4条)。
- ↑ 詳細は軽車両を見よ。なお、「大八車通行止め」と言う俗称もあるが、例示のとおり大八車に限定されない。
- ↑ 一部で「本道路標識(309)の自転車の絵柄は普通自転車を表す」ことを根拠として「普通自転車(のみ)通行止め」と説示する向きがあるが、誤りである。(別表第一 規制標識 自転車通行止め(309) 「交通法第八条第一項の道路標識により、自転車の通行を禁止すること。」) なお、別表第2 備考一(六)車両の種類の略称において、補助標識や道路標示にある「自転車」と言う文字は「普通自転車」を意味する。
- ↑ 道路交通法第4条
- ↑ ただし、他に規制対象を明確にした通行止めの道路標識が設置されている場合はこの限りではない。
- ↑ 道路交通法第2条第1項第3号の3の自転車道を示す道路標識となる場合は対象外
- ↑ 道路交通法第63条の4第1項第1号の普通自転車の歩道通行可を示す道路標識となる場合は対象外
- ↑ 9.0 9.1 道路運送車両法の小型特殊自動車である農耕作業用自動車とその被牽引車
- ↑ なお、道路管理者は道路交通法第2条第1項第3号の3の自転車道を示す道路標識を設置しない(権限外)
- ↑ なお、道路管理者は道路交通法第63条の4第1項第1号の普通自転車の歩道通行可を示す道路標識を設置しない(権限外)