貧困の文化
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貧困の文化(ひんこんのぶんか、英: culture of poverty)は、人類学者オスカー・ルイスがその著書「貧困の文化―メキシコの“五つの家族”」(1959年)の中で用いた表現で、1960年代以降のアメリカで提示され、貧困者が貧困生活を次の世代に受け継ぐような生活習慣や世界観を伝承している、という考え。このサイクルを打破することが社会問題としての貧困を解決するために不可欠だとされている。民主党のダニエル・パトリック・モニハン[1]上院議員のモニハン・レポートなどに採用され、アメリカの対貧困政策に大きな影響を与えている。
ルイスは、長い研究を通じて「貧困の文化」の約70の特徴を挙げている。また、すべての低所得者が「貧困の文化」に属するわけではなく、世代を通じてより豊かな生活へと上昇してゆく家系には同文化は存在しないと説いている。
評価
ルイスがこの概念を提案して以来、人類学者や社会学者などから数多くの批判がなされており、しかもルイスのモデルはそもそも現実のデータとあっていない(Goode and Eames, 1996)。またこの概念は本来発展途上国を対象としたものである為、先進国の政策に応用するのは不適切な面がある。
さらにルイスの研究は古典的な社会保障の立場から、一種の犠牲者非難であるという指摘もある[2]。
参考文献
- Goode, Judith and Edwin Eames (1996). “An Anthropological Critique of the Culture of Poverty”, in G. Gmelch and W. Zenner: Urban Life. Waveland Press.
- Lewis, Oscar (1996 (1966)). “The Culture of Poverty.”, in G. Gmelch and W. Zenner, eds.: Urban Life. Waveland Press.
- 『貧困の文化』(オスカー・ルイス著、高山智宏他訳、筑摩書房、ISBN 978-4480087669) - 上記"The Culture of Poverty"の日本語訳