豊富町
豊富町(とよとみちょう)は、北海道宗谷総合振興局管内の日本海側に位置する町である。利尻礼文サロベツ国立公園の一部であるサロベツ原野が広がり、日本最北の温泉郷「豊富温泉」が有名である。
Contents
地勢
海岸側のサロベツ川流域にサロベツ原野(湿原)が広がる。南北に伸びる国道40号の東部はなだらかな丘陵・山岳地帯で牧草地および森林が広がり、南東の山間部には豊富温泉がある。
隣接している自治体
町名の由来
アイヌ語の「イペコロペッ(ipe-kor-pet)」〔食物(魚)・を持つ・川〕の意訳である[1]。現在の下エベコロベツ川を指した名称である[1]。
歴史
沿革
- 1869年(明治2年) - 開拓使設置される。
- 1878年(明治11年) - 現在の豊富町に沙流村が設置される。
- 1909年(明治42年) - 幌延外1ヶ村戸長役場(現在の幌延町)が設置される。
- 1919年(大正8年) - 幌延、沙流の両村を合わせて、幌延村(現在の幌延町)とし、幌延村に二級町村制を施行する。
- 1926年(大正15年) - 現在の豊富温泉地区で、石油試掘中に天然ガスとともに温泉が噴出。豊富温泉の開湯。
- 1936年(昭和11年)11月 - 日曹鉱業により日曹炭鉱天塩砿業所開山。
- 1940年(昭和15年)9月 - 幌延村(現在の幌延町)から豊富村として分村・独立し、二級町村制を施行する。
- 1947年(昭和22年) - 三菱鉱業が豊幌地区で炭鉱採掘開始。
- 1948年(昭和23年)10月 - 留萌支庁から宗谷支庁に移動。
- 1950年(昭和25年)11月 - 天興、曙地区が稚内市へ移管され境界変更。
- 1959年(昭和34年)1月 - 町制施行、豊富町となる。
- 1972年(昭和47年)7月 - 日曹炭鉱閉山。
- 1974年(昭和49年)9月 - サロベツ原野が国立公園に指定。
- 1991年(平成3年)7月 全国初の自転車健康都市宣言。
- 2002年(平成14年)12月 - ゴミの分別、有料化開始。
- 2005年(平成17年)11月 - サロベツ原野がラムサール条約に指定される。
行政
町長
行政サービス
住民の日常生活は中心都市の稚内市への依存が大きいが、行政サービスにおいては、警察は留萌振興局の天塩町にある天塩警察署の所轄地域、消防は稚内市と猿払村との一部事務組合方式の広域消防である。ごみ処理は、隣接する幌延町と同じ天塩郡に属する留萌管内の2町、上川管内の中川町との一部事務組合方式で行われている。郵政改革により、豊富郵便局の集配業務は幌延郵便局へ移管された。電話の市外局番は「0162」で稚内市内と同じ。
市町村合併
2000年9月5日に「北海道市町村合併推進要綱」が策定された。これによると、「稚内市・豊富町」と「豊富町・中川町・遠別町・天塩町・幌延町」の2通りの合併パターンが示された。 平成の大合併に伴い、稚内市・猿払村との間で2003年12月1日に「宗谷北部地域任意合併協議会」(2004年3月13日には礼文町が加入したが、2004年4月23日には猿払村が離脱)、中川町・天塩町・幌延町との間で2004年2月27日に「西天北4町任意合併協議会」をそれぞれ設置したが、各市町村の足並みが揃わず、前者は2004年7月2日、後者は2004年6月18日にそれぞれ解散している。住民アンケートによれば、住民の大半は合併が必要と考えており、編入合併もやむなしとの意見も少なくない中、近隣市町村との合併を探りながら当面は自立の道を歩むことになった[2]。その後、2006年7月31日には「北海道市町村合併推進構想」が策定された。これによると、構想対象市町村の組合せで「稚内市・猿払村・豊富町」が示された。
経済
産業
- 農業
- 酪農が盛んで、乳牛飼育頭数は人口の4倍の1万6千頭、出荷乳量は年間7万2千トンと北海道内でも上位。牛乳は「豊富牛乳」のブランドで道内に広く流通している。豊富町では、酪農家を目指す若者を、農業実習生、研修生として積極的に受け入れている。
- 近年、ノンホモ低温殺菌牛乳を生産するみさわ牧場、本格乳製品を加工販売する工房レティエ、本格ハム・ソーセージ等を加工販売するサロベツファームといった高付加価値食品を製造販売する企業が生まれている。
- 林業
- 豊富町の面積の52%以上が森林であり、林業は豊富町の基幹産業のひとつとなっている。豊富町は、豊富町森林整備計画および豊富町森林整備事業計画を定め、森林を計画的に維持管理している。
- 観光
- 炭鉱閉山に伴い人口減少に直面した豊富町は、観光産業への転換を目指した。現在の観光客は年間およそ30万人にまで達している。
- 豊富町の観光の中心は日本最北の温泉郷「豊富温泉」である。豊富温泉のお湯は皮膚病に良いとされ、湯治客や多くの観光客が多く訪れている。
- 豊富町内には、利尻礼文サロベツ国立公園のサロベツ原野が存在し、雄大な自然に触れることができる。
- 近年、雄大な酪農地帯を観光資源と捉え、農場レストランやプレミアム乳製品の製造販売を行うなどの動きがある。
- 鉱業
- かつては良質の石炭や石油、天然ガスを産出するなど、鉱業が盛んであった。しかし、現在ではコストの面で採算が合わないことから炭鉱は閉山している。石油の埋蔵量は多くなく事業化にはいたっていない。天然ガスが自噴しており、かつては豊富町、稚内市で消費する電力の発電に用いられていたが、機材の老朽化と採算性の問題から1975年に閉鎖された。現在でも豊富温泉では、天然ガスを利用してお湯を沸かしている。
- 漁業
- 町内の稚咲内(わかさかない)漁港では、ホッキ貝の水揚げが有名である。
立地企業
宿泊施設
金融機関
- 稚内信用金庫豊富支店
農協・漁協
- 北宗谷農業協同組合(JA北宗谷)
- 稚内漁業協同組合豊富支所
郵便局
- 豊富郵便局
- 兜沼郵便局
※豊富町内の集配業務は幌延郵便局が担当
公共機関
警察
- 天塩警察署豊富駐在所
地域
人口
豊富町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
教育
- 高等学校
- 道立高等学校
- 中学校
- 豊富
- 小学校
- 豊富
- 小中学校
- 兜沼
交通
空港
鉄道路線
バス
- 一般路線バス
- 都市間バス
- 特急はぼろ号 札幌方面(沿岸バス運行)
道路
タクシー
- 豊富ハイヤー(日曜・祝日運休)
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
文化財
- 稚咲内海岸砂丘林(北海道指定天然記念物)
観光スポット
- 自然・景観
- サロベツ原野は、2005年(平成17年)11月にラムサール条約に登録されている世界的にも貴重な湿原地帯である。
- サロベツ湿原センター(旧サロベツ原生花園自然教室)
- 泥炭の採取場跡地を利用したサロベツ原野の自然や泥炭採取についての学習施設、木道散策路、レストハウスの設えられた観光施設で、サロベツ原野における最も著名な景勝地。初夏が花のシーズン。地平線の見える広大な原野の中央に位置している。2011年(平成23年)4月28日に自然保護と施設のリニューアルのため、豊富町市街寄りに移転した。
- 兜沼
- 水鳥の飛来地。オートキャンプ場設置。
- 言問の松。兜沼公園近くにある、樹齢1200年以上といわれるイチイの木。
- 稚咲内海岸・原始砂丘林
- 宮の台展望台
- 大規模草地放牧場
- 展望台有。
- レジャー・見学
- サロベツカントリークラブ
- 雪の状況にも寄るが、概ね4月中旬から11月中旬まで営業。
- 豊富温泉スキー場
- 豊富牛乳公社
- 牛乳工場を見学することができる(予約制)。
- お土産・飲食、その他
- サロベツファーム
- 芦川小学校跡で、高品質のソーセージやベーコン、ジンギスカン、ホルモンなどを製造販売している。ソーセージ の手作り体験を する事ができる(予約制)。
- 豊富町産生乳で本格ナチュラルチーズ、ジェラートなどを製造販売している。チーズ・バター・アイス の手作り体験を する事ができる(予約制)
- 半世紀以上無農薬を続けてきた牧草地に放牧した健康な牛の生乳をノンホモ低温殺菌で処理したプレミアム牛乳を製造販売。
- 豊富町で生産される牛乳などを使ったスローフードを食べることができる農場レストラン。隣のみさわ牧場の牛乳を飲むことができる。
祭事
- 豊富八幡神社夏季例大祭 6月中旬
- サロベツ花祭り 7月上旬
- サロベツ100マイルロードレース【自転車】 8月上旬
- 商工夏祭り 8月中旬
- 全道ポニーばんば大会 9月
脚注
関連項目
- セイコーマート - 豊富牛乳の製造、販売
- 日曹炭鉱天塩砿業所専用鉄道
- 福島和可菜 - 観光大使
外部リンク