警察本部
警察本部(けいさつほんぶ)は、都道府県警察の本部である。「都道府県警察」とは、警察法2条に定める事務を執り行うため当該都道府県が設置した組織であり[1]、その中枢が「警察本部」である。また、庁舎そのものを指す語でもある。警視庁は東京都特別区域内に、道府県警察本部は道府県庁所在地に置く。
Contents
性格
日本の警察は、国家公安委員会と都道府県公安委員会による公安委員会制度を定めて民主的運営と政治的中立性を確保し、警察庁と都道府県警察の役割分担により全国一律・画一的な調整機能と自律的・地方分権的警察運営の実現を企図している。
警察本部は、東京都では警視庁、道府県では道府県警察本部と呼称される。
警察本部の長は、警視庁においては警視総監、道府県警察本部においては警察本部長である。警視総監及び道府県警察本部長は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理に服し、都道府県警察の事務を統括し、並びに所属の警察職員を指揮監督する。警視総監は、国家公安委員会が都公安委員会の同意の上に内閣総理大臣の承認を得て任免する。道府県警察本部長は、国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て任免する。
警察政策上、国からの指揮命令を受けることなく自治体が自らの権限と責任において警察運営にあたる警察機関を「自治体警察」という[2]。なお、日本の旧警察法には自治体警察が存在した。現行の警察法の都道府県警察も「自治体警察」と呼ばれることがあるが、国家機関である警察庁が通達等を通じて指揮監督を行うとともに個別事案に関しても強固な調整機能を発揮するなど法律上も慣行上も大きな権限を保持しており、都道府県警察を「自治体警察」と呼ぶことは世界標準の視点からは甚だ疑問とされている[2]。
位置
警察本部と都道府県知事
都道府県警察は都道府県公安委員会の「管理下」にあり、都道府県公安委員会は都道府県知事の「所轄下」に置かれる。
都道府県警察本部は、都道府県公安委員会管理の下で都警察及び道府県警察の事務を司り、都道府県公安委員会を補佐する。警視総監及び道府県警察本部長は、都道府県公安委員会の管理に服し、都道府県警察の事務を統括し、所属警察職員を指揮監督する。
都道府県知事と都道府県警察の間に、合議制行政委員会の都道府県公安委員会を挟み、警察の民主的運営と政治的中立性を図っている。
警察本部と警察庁
日本の警察は、内閣総理大臣所轄の下に国家公安委員会が置かれ、その管理下に特別機関として警察庁が置かれる。国の組織である警察庁は、警察制度の企画立案、国の公安に係る事案についての警察運営、警察活動の基盤である教養、通信、情報収集と分析、鑑識等に関する事務、警察行政に関する調整等を行う。警察庁の長である警察庁長官は、国家公安委員会管理の下で警察庁の所掌事務につき都道府県警察を指揮監督する。
都道府県警察は幹部人事・運営の面でも警察庁の強い影響下に置かれ、県警本部長就任者のうち、ほとんどは警察庁出身者である。
構成
都道府県警察には警察官その他所要の警察職員が置かれる。警視総監及び警察本部長を初めとする警視正以上の階級にある幹部警察官は、国家公安委員会が任免権を有する一般職国家公務員である地方警務官で、都道府県知事には任免権や懲戒権がない。それ以外の都道府県警察の職員は、地方警察職員と呼ばれる都道府県公務員であるが、都道府県知事に任免権や懲戒権がないことは地方警務官と同様である。
都道府県警察組織は、都警察組織、道警察組織、府警察および政令指定都市を包括する宮城・埼玉・千葉・神奈川・新潟・静岡・愛知・兵庫・広島・岡山・福岡・熊本の12指定県警察組織、指定県以外31県警察組織、の4類型に大別される。
都警察は組織名を警視庁、長を警視総監と呼称する。
道警察は管轄区域を5つの方面に分け、札幌方面を除く[3]各方面に方面本部長が長の方面本部を置く。
道府警察及び指定県警察組織は、政令指定都市区域内の警察本部事務分掌のために市警察部を置く。
都道府県警察には本部組織、警察学校、警察署、交番などが置かれる。本部組織は警察法施行令基準に従い各都道府県条例で定める。必置部署として警務部、生活安全部、刑事部、交通部、警備部の5部[4]を置く。
人口や犯罪発生状況その他応需により、警務部所掌事務のいくつかを分掌する総務部、地域警察その他警らを所掌する地域部、暴力団など組織犯罪取締りを所掌する組織犯罪対策部(警視庁)あるいは暴力団対策部(福岡県警察)、公安警察を警備部から独立させて所掌する公安部(警視庁のみ)が置かれる。なお、警視庁および福岡県警察以外の警察本部では、刑事部麾下の「捜査第四課」「組織犯罪対策課」等が組織犯罪対策を管掌しているが、兵庫県警察など大都市圏警察本部では刑事部に「組織犯罪対策局」など組織犯罪対策部署が部課中間組織として置かれることがある。
指定県以外の県警察組織は基本的な5部体制であるが、福島・茨城・栃木・群馬・長野・岐阜・三重・山口の8県は地域部を置く6部体制である。
規模比較
都道府県警察規模の上位は、地方警察職員たる警察官の定員でみると、次のとおりである。左表は警察官の定員[5]、右表は2006年(平成18年)10月1日現在における各都道府県の推計人口[6]。
- 各都道府県の警察官の定員
- 各都道府県の人口(参考)
- 東京都 1,265万9千人
- 神奈川県 883万人
- 大阪府 881万5千人
- 愛知県 730万8千人
- 埼玉県 707万1千人
- 千葉県 607万4千人
- 北海道 560万1千人
- 兵庫県 559万人
- 福岡県 505万4千人
- 静岡県 379万7千人
- 茨城県 297万2千人
- 広島県 287万5千人
- 京都府 264万3千人
警察官人数と都道府県警察規模が都道府県人口の規模に比例しないのは、各都道府県警察管内の犯罪発生率・面積・重要施設の所在、各都道府県警察予算などが考慮されているためである。
警察本部一覧
各警察本部詳細は、当該警察を参照。
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