計画都市
計画都市(けいかくとし、planned community、planned city)とは、都市計画に基づいて非都市化地域などに人工的に建設された都市を指す。
計画都市は、無計画な形で発展してきた集落との対比に位置づけられ、その形成過程上、土地利用紛争 (Land-use conflict)が起こりにくい。
世界最大の計画都市はムンバイ近郊のナビムンバイである[1]。
概要
計画コミュニティや新都市とも呼ばれるもので国家が主体となって創られる。新しい計画都市の典型的な住居はマンションなどの集合住宅であるか、簡単な組み立てタイプのコテージといったものが主流を占めている。
類義語としてニュータウンというものがあるが、「ニュータウン」という用語自体は、イギリスにおけるニュータウン運動(new towns movement)による計画都市を指している。これはもともと既成市街地が戦争とそれに伴う大火などによって一掃されたために、家屋配置(どこが誰の土地や住居であるか)が明確に判明していた市街の再建であったため、現在の計画都市や、ニュータウンとは異なるものである。
計画都市は通常の都市と違い、綿密な都市計画が作成されたのちに建設されるため、以下のような特徴がある。
- 通常の都市と比べ、短時間で建設される。
- 計画段階において都市のテーマと呼べるものが定められ、それに基づいて様々な形式や制限が設けられる(例としては、放射状や碁盤の目にはしる道路、建築物の高さ制限など)。
- 通常は非都市化領域に政治的判断によって構築されるため、その国の宗教や軍事といった面が反映される。
計画都市や新工業地帯、未開発の土地に新規に建設された都市は、その建設に明確な目的があり、その発展は行政の決定に左右されるため、人口などの自然発生的な要因には影響されない。
歴史
古代都市では、幹線道路に厳密なパターンを持たせる都市計画がなされている傾向が多く、特に古代ギリシャ都市から始まった直交街路グリッドはスピロコストフの16世紀スペインの植民都市、古代中国やインド、そして日本のように数多くの国で確認されており、ワシントンD.C.のように現代でも建設されることがある。また、ローマ帝国時代に造られた典型的な計画都市では、バロック様式の幾何学的な道路のレイアウトやななめ通りなどが今なお残っている。
歴史家によると、古代の計画都市の建設には建築家や労働者など多くの人が携わる必要があり莫大な経済的資源を投入する必要があったため、君主の威光を示すシンボルにもなっており、その新設過程は宮殿都市の建設時の様子を表している場合が多いという。
- 古代エジプト、ファラオ・アメンホテプ4世が14世紀半ばに計画。彼の死後に放棄されたが整然とした網状植物状の宮殿都市であった。
中世以降においても、植民地化の過程で新しい都市の建設が行われることがあり、このような都市の例として、ペルーのベツレヘム、スコットランドのグレンロセス、アルゼンチンのラ・プラタ、メキシコのイスタパとカンクン、ベネズエラのシウダーグアヤナなどがあり、これらは経済だけでなく政治の中心として建設された面もある。世界中の首都の中には、そのようにして計画された都市が多数ある。#計画都市の首都を参照。
時代によって都市に求められる能力は変化し、計画都市はその影響をより直接的に受けるため、中世期につくられた計画都市が現代においてはその能力を十分に発揮できていなかったり、発展を阻害していたりする場合もある。
計画都市の傾向
近年、近代的な機能計画技術に基づいて計画された新都市が建設されるようになっている。これらの都市は既存の都市に隣接していることが多く、高度に専門化された衛星都市と呼べるものとなっている。都市の建設手順としては、大規模な商業施設を誘致することが一般的であり、ショッピングセンターや住宅のみならず工業地域が含まれている場合がある。
旧市街の更新
既存の都市を首都機能移転などによって更新されることがある。カザフスタンの首都アスタナはこれにより劇的な変化を遂げ、1997年から2014年までに都市人口は320人から820,000人に増加した。(詳しくはアスタナ参照)
計画都市の首都
計画都市の能力はより大規模である程発揮されるため、一国の首都として建設される場合がある。以下は初めから首都とするべく建設された計画都市の例である。
- サンクトペテルブルク(ロシア帝国)
- キャンベラ(オーストラリア)
- ブラジリア(ブラジル)
- ベルモパン(ベリーズ)
- ニューデリー(インド)
- アブジャ(ナイジェリア)
- アスタナ(カザフスタン)
- ネピドー(ミャンマー)
- イスラマバード(パキスタン)
- ワシントンD.C.(アメリカ合衆国)
マレーシアの連邦行政機能の中心となっているプトラジャヤも計画都市である。
詳細は首都として建設された計画都市の一覧を参照。
なお、下記のプロジェクトは成立しなかった。
出典・脚注
- ↑ Appraisal of City Development Plan - Navi Mumbai. National Institute of Urban Affairs, 2008.
参考文献
- Garciay Bellido、Antonio:古代世界の大都市の都市主義者。1985年ISBN 8400059085