蝦夷
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えぞ
古代,日本の北辺,実際には中部以東,北陸,関東,奥羽地方に住む人々は,大和朝廷より,蝦夷という名で異民族扱いされていた。蝦夷はまたエミシとも読む。彼らがいかなる人種,民族であったかは,江戸時代以後多くの史学者によって論じられてきたが,決め手がなく,一方,人類学者もこの解明を手がけたが,人骨などの実証拠が乏しかった。新井白石や本居宣長は蝦夷すなわちアイヌ説をとった。長谷部言人ら人類学者は石器時代人骨の研究から,非アイヌ説をとり,日本人でも東国,北辺に住む化外 (けがい) の民を蝦夷と称したとしている。金田一京助は奥羽地方に残る地名をアイヌ語で解釈できるものとして,奥羽地方にいた蝦夷はアイヌであると考えるが,考古学的資料からはにわかに説明しがたく,また,東北地方出土人骨のうち,アイヌであると思われるものはごく少い。しかし,古代,中世においても,蝦夷地,特に北海道の蝦夷は,アイヌであったとみられる。近世以降は蝦夷はアイヌと同一視されている。蝦夷という概念はこのように時代とともに変ってきている。