自衛艦隊
自衛艦隊 Self Defense Fleet | |
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300px 司令部(横須賀市) | |
創設 | 1954年(昭和29年)7月1日 |
所属政体 | 日本 |
所属組織 | 海上自衛隊 |
兵種/任務/特性 | 艦隊 |
人員 | 約28,000人 |
所在地 | 司令部:横須賀基地船越地区 |
上級単位 | 防衛大臣直轄 |
担当地域 | 日本 |
自衛艦隊(じえいかんたい、英: Self Defense Fleet)は、海上自衛隊の主力部隊であり、1954年(昭和29年)7月1日の防衛庁(防衛省の前身)自衛隊発足と同時に置かれた。艦艇や航空機を機動運用し、日本周辺海域の海上防衛や多様な事態、国際任務等にも対応している。
Contents
概要
自衛艦隊は、司令部及び護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海隊群、情報業務群、海洋業務・対潜支援群、開発隊群、その他防衛大臣の定める部隊をもって編成されている[1]。帝国海軍の連合艦隊(もしくは海軍総隊、海上護衛総隊)等に相当する事実上の実戦部門の統括部隊であるといえる。司令部は船越地区(神奈川県横須賀市船越町7-73)にあり、海上作戦センターが置かれている。隣接する関東自動車工業の跡地に海上作戦センター共々移転する計画がある。
自衛艦隊司令官が指揮を執っており、防衛大臣から統合幕僚長を通じて指揮監督を受け[2]、フォースプロバイダー(練度管理責任者)たる護衛艦隊司令官、航空集団司令官、潜水艦隊司令官などから提供された部隊をフォースユーザー(事態対処責任者)として運用する[3]。自衛艦隊司令官は海将をもって充てられている[4]。なお、自衛隊観艦式の執行者は原則として自衛艦隊司令官である。
沿革
- 1954年(昭和29年)
- 1955年(昭和30年)
- 2月:海上自衛隊初の演習を実施。
- 4月1日:自衛艦隊司令部の編制定まる(幕僚長を置き第1護衛隊群司令部幕僚の兼務を廃止)。
- 7月1日:横須賀地方隊から海上訓練指導隊(横須賀)を編入。
- 7月15日:訓練飛行隊群を新編。
- 1956年(昭和31年)
- 8月16日:訓練飛行隊群を廃止。
- 1957年(昭和32年)
- 5月10日:第1警戒隊群を廃止。
- 1958年(昭和33年)
- 10月1日:海上訓練指導隊を第1海上訓練指導隊に改称、第2海上訓練指導隊(呉)を新編。
- 1960年(昭和35年)
- 1961年(昭和36年)
- 1962年(昭和37年)
- 1963年(昭和38年)
- 1965年(昭和40年)
- 1969年(昭和44年)
- 3月15日:長官直轄の第1掃海隊群を編入。
- 1971年(昭和46年)
- 1973年(昭和48年)
- 1975年(昭和50年)
- 4月1日:自衛艦隊指揮支援システム(SFシステム)運用開始
- 1978年(昭和53年)
- 1980年(昭和55年)
- 1981年(昭和56年)
- 1982年(昭和57年)
- 3月27日:電子業務支援隊(横須賀)を新編。
- 1984年(昭和59年)
- 6月:アメリカ海軍との初の日米共同指揮所訓練を実施。
- 1986年(昭和61年)
- 10月:初の日米共同統合実動演習を実施。
- 1987年(昭和62年)
- 1991年(平成3年)
- 1992年(平成4年)
- 9月:第1輸送隊司令を指揮官とするカンボジア派遣海上輸送補給部隊を編成させる。
- 1994年(平成6年)
- 1995年(平成7年)
- 1997年(平成9年)
- 1999年(平成11年)
- 3月1日:海上作戦部隊指揮管制支援システム(MOFシステム)運用開始。
- 3月24日:能登半島沖不審船事件に際し、防衛庁長官から海上における警備行動に関する海上自衛隊行動命令(海甲行警命第16号。11.3.24 0050)を発令。
- 2000年(平成12年)
- 2001年(平成13年)
- 2002年(平成14年)
- 2004年(平成16年)
- 10月23日:新潟県中越地震に伴う災害派遣を発令。
- 11月10日:中国潜水艦の領海内潜没航行事案に際し、防衛庁長官より海上警備行動を発令。
- 12月26日:スマトラ島沖地震及びインド洋津波被害に際し艦艇を派遣を発令。
- 2006年(平成18年)
- 2008年(平成20年)
- 3月26日:体制移行により、艦艇部隊及び航空部隊を大改編。
- 2009年(平成21年)
- 3月14日:海上警備行動に基づき、ソマリア沖・アデン湾へ艦艇を派遣を下命。
- 2011年(平成23年)
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 1月15日~2月4日:日米共同統合指揮所演習「キーン・エッジ2014」に参加。
- 5月10日~5月27日:平成26年度自衛隊統合実動訓練に参加。
- 9月29日~10月3日:平成26年度在外邦人等輸送訓練に隊員160名で参加。
- 11月8日~11月19日:「キーン・ソード2015」に参加。
- 2015年(平成27年)
- 1月26日~1月30日:自衛隊統合指揮所演習に参加。
- 2月9日~2月20日:多国間共同訓練「コブラゴールド15」に参加。
- 2月17日:海自初のイギリス海軍連絡士官受け入れ。着任式は記念艦三笠の司令長官室で執行。
- 2月24日~2月27日:横須賀と佐世保でBMD特別訓練に参加。
- 3月2日~3月12日:アメリカ海軍大学校で日米共同指揮所演習(派米訓練)に参加。
- 6月7日:平成27年度日米共同統合防災訓練に参加。
- 8月31日~9月4日:平成27年度海上自衛隊図上演習に参加。
- 10月23日~11月13日:平成27年度自衛隊統合演習に参加。
- 12月1日:海洋業務群が海洋業務・対潜支援群に改編。
- 2016年(平成28年)
- 1月12日~2月2日:日米共同統合指揮所演習「キーン・エッジ2016」に参加。
- 2月16日~2月25日:平成27年度日米共同指揮所演習(派米訓練)に参加。
- 4月14日:熊本地震に伴い、所属艦艇に災害派遣を下命。
- 6月29日~7月8日:平成28年度自衛隊統合防災演習に参加。
- 7月1日:第1輸送隊が掃海隊群隷下に編成替え。
- 9月3日:八重山諸島南西沖地震を想定した平成28年度離島統合防災訓練に参加。
- 9月12日:伊勢志摩サミット支援の功績で、防衛大臣から一級賞状が授与された。
- 9月26日~10月9日:平成28年度日米共同図上演習に参加。
- 10月30日~11月11日、日米共同統合指揮所演習「キーン・ソード2017」に参加。
- 12月12日~12月16日、平成28年度在外邦人等保護措置訓練に参加。
- 2017年(平成29年)
- 1月23日~1月27日:平成28年度自衛隊統合演習(指揮所演習)に参加。
- 2月6日~2月16日:アメリカ海軍大学校で平成28年度日米共同指揮所演習(派米訓練)に参加。
- 2月17日~2月24日:司令部がアメリカ海軍とのBMD特別訓練に参加。
- 6月20日~6月23日:平成29年度自衛隊統合防災演習に参加。
自衛艦隊の編成
- 自衛艦隊司令部
(自衛艦隊直轄隊群)
- 掃海隊群(Mine Warfare Force)
- 掃海隊(Minesweeper Division)
- 掃海業務支援隊(Mine Warfare Support Center)
- 第1輸送隊(Landing Ship Division)
- 情報業務群(Fleet Intelligence Command)
- 情報支援隊(Intelligence Center)
- 海洋業務・対潜支援群(Oceanography ASW Support Command)
- 対潜資料隊、対潜評価隊、海洋観測所、音響測定隊、海洋観測隊
- 開発隊群(Fleet Research and Development Command)
- 開発隊
- 特別警備隊 (Special Boarding Unit)
- ※自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)[9]に記載のある総称等を掲載。その他の隊等の細目は各記事項目に詳述。
- ※自衛艦隊直下隊群(艦隊・集団などの中間的な上部組織を持たない群)に記載した群のうち、掃海隊群については、艦隊・集団にあって群にはない掌理の規定(施行令第16条の13第3項)があり、かつ、護衛隊群(同令第17条)よりも前の条項に規定されていることから、他の群よりやや格上(艦隊・集団に準ずる位置)にあるものと考えられるが、ここでは羅列の都合上他の群と同列とした。
- 1961年9月1日、大改編後の編成
司令部の編成
自衛艦隊司令部や隷下部隊の司令部の編成は次のとおりである。
- 司令官・司令
- 幕僚長
- 艦隊、集団及び掃海隊群に置かれる。司令官を補佐し、司令部の部内の事務を整理する。
- 海将補:自衛艦隊司令部幕僚長、護衛艦隊司令部幕僚長、航空集団司令部幕僚長、潜水艦隊司令部幕僚長
- 1等海佐:掃海隊群司令部幕僚長
- 首席幕僚
- 幕僚長の置かれていない司令部(掃海隊群を除く群)にあっては、幕僚のうち最上位にある者を首席幕僚とする。司令の命を受け、当該司令部の部務を整理する。
- 幕僚
- 幕僚長の置かれている司令部(艦隊・集団及び掃海隊群)では、幕僚長の命を受け、当該司令部の部務を分掌する。
- 幕僚長の置かれていない司令部(掃海隊群を除く群・隊)では、司令の命を受け、当該司令部の部務を分掌する。(監理、情報、運用、訓練、後方、通信、計画、気象等の各幕僚の他、医務長という医官が存在する)
- 副官
- 司令官・司令の庶務をつかさどる。
- 先任伍長
- 部隊等の海曹士を総括し、規律及び風紀の維持、部隊等の団結の強化に務め、部隊等の長を補佐する。
歴代の自衛艦隊旗艦
司令部要員は50名くらいと大人数なので、旗艦には司令公室、幕僚長室、幕僚事務室、幕僚庶務室といった設備が設けられる。
- 初代 警備艦「けやき」(PF-295):1954年(昭和29年)7月1日 〜 1957年(昭和32年)3月31日
- 2代 護衛艦「ゆきかぜ」(DD-102):1957年(昭和32年)4月1日 〜 1961年(昭和36年)7月25日
- 3代 護衛艦「あきづき」(DD-161):1961年(昭和36年)7月26日 〜 1963年(昭和38年)3月31日
1963年(昭和38年)4月1日、自衛艦隊司令部が陸上に移転し、横須賀市吉倉に置かれたため、旗艦は廃止となる。 1965年(昭和40年)3月、船越地区に移転し現在に至っている。なお、庁舎に掲げる標札は、江田島の旧海軍兵学校の校門の標札が勝海舟の筆跡からとって鋳造された故事に倣って、東郷平八郎の筆跡を集めて構成し、鋳造したといわれている[10]。
主要幹部
官職名 | 階級 | 氏名 | 補職発令日 | 前職 |
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自衛艦隊司令官 | 海将 | 山下万喜 | 2016年12月22日 | 佐世保地方総監 |
幕僚長 | 海将補 | 眞鍋浩司 | 2018年 | 3月27日自衛艦隊司令部勤務 |
監察主任幕僚 | 1等海佐 | 小澤豊 | 2017年 | 8月 1日第1練習隊司令 |
監理主任幕僚 | 1等海佐 | 米山博 | 2018年 | 8月 1日海上自衛隊第4術科学校教育第1部長 |
情報主任幕僚 | 1等海佐 | 黒田全彦 | 2018年 | 8月 6日第4護衛隊司令 |
作戦主任幕僚 | 1等海佐 | 竹内修 | 2017年12月20日 | 舞鶴地方総監部防衛部長 |
作戦総括幕僚 | 1等海佐 | 髙橋毅 | 2017年12月 | 1日自衛艦隊司令部勤務 |
運用総括幕僚 | 1等海佐 | 山内康司 | 2017年12月 | 1日第22航空群司令部首席幕僚 |
運用調整総括幕僚 兼 潜水艦隊司令部勤務 |
1等海佐 | 梅原淳 | 2018年 | 8月17日自衛艦隊司令部勤務 兼 潜水艦隊司令部勤務 |
後方主任幕僚 | 1等海佐 | 三宅隆夫 | 2016年12月 | 1日海上自衛隊幹部学校勤務 |
指揮通信主任幕僚 | 1等海佐 | 中濵高宣 | 2018年 | 8月 1日第1練習潜水隊司令 |
研究開発主任幕僚 | 1等海佐 | 安藤明宏 | 2018年 | 4月27日自衛艦隊司令部勤務 |
作戦分析主任幕僚 | 1等海佐 | 三上大二 | 2018年 | 8月 1日余市防備隊司令 |
衛生主任幕僚 | 1等海佐 | 武智千津子 | 2016年 | 7月 1日自衛隊横須賀病院診療部長 兼 横須賀衛生隊勤務 |
海上連絡官 | 2等海佐 | 近藤匡 | 2017年 | 8月 1日第21航空隊副長 |
歴代の自衛艦隊司令官
脚注
- ↑ 自衛隊法施行令(昭和29年6月30日政令第179号)第15条の2
- ↑ 自衛隊法(昭和29年6月9日法律第165号)第16条
- ↑ ホーム > 自衛艦隊について > 組織・編成 海上自衛隊
- ↑ 自衛隊法施行令(昭和29年6月30日政令第179号)第16条
- ↑ 「自衛隊法の一部を改正する法律」(昭和36年6月12日法律第126号)
- ↑ 自衛艦隊司令部等の編制に関する訓令
- ↑ 音響業務支援隊の編制に関する訓令(昭和56年海上自衛隊訓令第15号)
- ↑ 平成7年6月27日海上自衛隊訓令第32号
- ↑ 自衛隊法施行令(昭和29年6月30日政令第179号)
- ↑ 長田博 「自衛艦隊の思い出」『世界の艦船』第591号、海人社、2002年1月、146-149頁
参考文献
- 『世界の艦船 第358号 特集・自衛艦隊』(海人社、1985年12月号)
- 『世界の艦船 第591号 特集・自衛艦隊』(海人社、2002年1月号)
関連項目
- 防衛省 / 海上自衛隊 / 海上幕僚監部
- 護衛艦隊 / 航空集団 / 潜水艦隊 / 掃海隊群 / 情報業務群 / 海洋業務・対潜支援群 / 開発隊群
- 地方隊
- 護衛艦 / 対潜哨戒機 / 潜水艦
- 先任伍長