羅臼岳
羅臼岳(らうすだけ)は、北海道・知床半島にある火山群の主峰及び最高峰で標高1,661m[1][2]。古くはアイヌ語でチャチャヌプリ、また良牛岳と記されたこともある。1964年(昭和39年)6月1日に知床国立公園に指定され[3]、2005年7月にこの山域を含む知床半島が知床 (世界遺産)に正式登録された。日本百名山[4]、花の百名山[5]及び新・花の百名山[6]に選定されている山である。
概要
標高は1995年に国土地理院の調査で1,661mに改定されたが、より正確に測定できるGPS調査により、2008年5月1日に1,660m(1,660.36m)に改定[7]。しかし、GNSS測量等の点検・補正調査の結果、2014年4月1日の『日本の山岳標高一覧-1003山-』で1,661mに再び改訂された[1]。
流紋岩質〜安山岩質の溶岩による活動は成層火山を形成したものの、最終的に山頂付近は溶岩円頂丘を形成させているほか、年月を経て地すべり・崩壊地形が多数形成されている[8]。約500年前まで火山活動を続けていた活火山であり、1964年には山麓の羅臼町で100回を超える群発地震や間欠泉の噴出を観測している[9]。
知床富士とも呼ばれている[10]。1965年(昭和40年)に、『羅臼湖畔から仰ぐ羅臼岳』の知床国立公園の10円切手が発売された[11]。
噴火活動
1990年代に知床硫黄山の噴火史調査が行われた際に、最近の2000年間で複数回の活動が確認され1996年に活火山として指定された[12]が、19世紀末以降の噴火活動と1996年以降の噴気活動は認められない[9]。山頂付近に存在する溶岩流や溶岩ドームには新鮮な地形が残っており[9]3つの時期に形成された可能性が指摘されている[9]。
最近の2300年間では、2200〜2300年前、1400〜1600年前、500〜700年前の3時期に火山活動が活発であった[12][13]。
- 2200〜2300年前の活動 比較的規模の大きな噴火が発生し、降下テフラや火砕流が噴出。
- 1400〜1600年前の活動 プリニー式噴火による降下テフラと火砕流。
- 500〜700年前の活動 降下テフラや火砕流。
登山
登山口は、羅臼町からは羅臼温泉付近から、斜里町からは岩尾別温泉付近から登山道が整備されている。所要時間は後者の方が短い。知床五湖には遊歩道があり、その山容を望むことができる。登山ルートは傾斜がきつく岩質がもろい状態で、厳しい気象条件下にある。また、ヒグマが頻繁に出没するエリアである。
周辺の山小屋
山容
- Rausu-dake 02.JPG
知床峠から望む山頂
- Mount rausu from road334.jpg
知床峠から望む山頂
- 140829 Ichiko of Shiretoko Goko Lakes Hokkaido Japan03n.jpg
知床五湖と羅臼岳
- Shiretoko01.JPG
羅臼岳から望む知床半島の山並み
脚注
- ↑ 1.0 1.1 “標高値を改定する山岳一覧 資料1”. 国土地理院 . 2014閲覧.
- ↑ GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は1,660m。
- ↑ 知床国立公園(環境省、2010年11月30日閲覧)
- ↑ 深田久弥『日本百名山』(朝日新聞社、ISBN 4-02-260871-4)
- ↑ 田中澄江『花の百名山』(文春文庫、ISBN 4-16-352790-7)
- ↑ 田中澄江『新・花の百名山』(文春文庫、ISBN 4-16-731304-9)
- ↑ 報道発表資料「北海道全域の三角点標高を改定(2008年3月3日)」(国土地理院、2011年1月1日閲覧)
- ↑ 伊藤陽司、北海道東部, 知床半島におけるランドスライド地形の特徴と最近の斜面災害 地すべり Vol.33 (1996-1997) No.3 P.32-41_1, doi:10.3313/jls1964.33.3_32
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 羅臼岳 気象庁
- ↑ 『ふるさとの富士200名山』東方出版、1996年、ISBN 978-4-885-91499-7
- ↑ 『切手と風景印でたどる百名山』ふくろう舎、2007年、ISBN 978-4-89806-276-0
- ↑ 12.0 12.1 宮地直道、中川光弘、吉田真理夫、"羅臼岳火山における最近2200年間の噴火史" 火山 45(2), 75-85, 2000-05-10, NAID 110003041183
- ↑ 過去2,000年間の日本の火山噴火カタログ 地学雑誌 Vol.108 (1999) No.4 P.472-488, doi:10.5026/jgeography.108.4_472
関連項目
外部リンク
- 気象庁
- 日本の第四紀火山 羅臼岳 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 防災関連
- 防災マップ〈2011年版〉 (PDF) 防災科学技術研究所
- 火山災害危険箇所マップ 斜里町