緑青

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緑青(ろくしょう)とは、酸化することで生成される青緑色のである。銅青(どうせい)や銅銹(どうしゅう)ともいう。銅合金の着色に使用されたり、銅板の表面に皮膜を作り内部の腐食を防ぐ効果や抗菌力がある。

概説

環境下において銅や銅合金が、酸素二酸化炭素水分塩分などと反応し金属上に生成される青緑色の銅塩が緑青と呼ばれる。緑青は様々な銅塩の混合物であり、 塩基性炭酸銅(II)塩基性酢酸銅Cu(OH)CH3COO・2.5H2O、塩基性塩化銅塩基性硫酸銅CuSO4・3Cu(OH)2その他が含まれる。

利用

緑青は、銅合金の着色に欠かせない素材となっている。銅葺屋根や銅像においては、むしろ緑青独特の色を美術的にも効果的に取り入れている。古代から銅の鉱石および顔料として利用されてきた孔雀石は、天然の塩基性炭酸銅を成分とする。

緑青は、酸素の触れる表面にのみ発生し、比較的脆いため落とすことが出来る上、緑青が金属の表面に発生すると皮膜が生じ不動態となり、内部の腐食を防ぐ効果がある。ブロンズ像は、緑青の皮膜のお陰で長期間原型を留めることを可能としている。

多くの建築物では、銅管給水設備に使われており、緑青が内部で発生する事があるが、銅管の腐食の進行を防ぐ効果がある。シンクや浴槽などに緑青の様なものが付く場合があるが、大抵は石鹸かすや人間の垢と銅イオンが反応した結果である。特殊な水質で無い限り、銅管から緑青が溶け出したり、緑青のせいで水が青色になることは無い。

毒性について

日本では昭和後期まで緑青には強いがあると考えられ、一部の教科書や辞書類にも猛毒であると書かれていた。[1]だが東京大学医学部教授の豊川行平が、1962年から3年間かけて天然緑青を動物に経口投与する実験を行った結果、「恐ろしい猛毒という知識は間違いで、他の金属と比較して毒性は大差ない」と結論づけた。1974年に同大学教授の和田攻助が塩基性炭酸銅と硫酸銅を用いた同じ実験を再度行った結果、前回の研究結果とほぼ一致し、さらに、成長率・生存率・妊娠・出産などに影響する遺伝的障害も一切見当たらない事がわかった[2]。なお、かつて顔料として使われた花緑青(アセト亜ヒ酸銅(II))は強い毒性を持つが、これは砒素が含まれる構造をしていることに由来するものである。

厚生省は国立衛生試験所戸部満寿夫を主任とする研究班を1981年に設置し、緑青の主成分である塩基性炭酸銅について3年間研究を行った。[1]1984年8月6日に出された研究報告では、経口投与による半数致死量(LD50)は1250~1495mg/kg[3]、慢性毒性試験では2000ppmを投与した集団で体重増加の抑制や血液中の脂質の減少が見られたのみで[4]、「緑青の主成分である塩基性炭酸銅の毒性は、さほど強い物とは考えられない」としている。[1]また1989年に長谷川隆一らが行った急性毒性試験でも、LD50は雄のラットで1350mg/kg、雌のラットで1495mg/kgという数値が出されている。[5]

参考文献

  1. 1.0 1.1 1.2 『毎日新聞』1984年8月7日。
  2. 伸銅品とは 銅と健康
  3. 『読売新聞』1984年8月7日。
  4. 『朝日新聞』1984年8月7日。
  5. Copper (EHC 200, 1998)

関連項目