総合スーパー
総合スーパー(そうごうスーパー)は、日常生活で必要な物を総合的に扱う、大衆向けの大規模な小売業態である。
業界用語では「ゼネラルマーチャンダイズストア(英語:General merchandise store、GMS)」と呼ぶ。
特徴
総合スーパーの特徴としては、以下の特徴がある。
- スーパーマーケットとは異なり、食料品や日用品のみならず、衣料品や家電、家具など、様々な商品を総合的に品揃える。特に衣料品の売場比率が大きい。
- マイカー利用客向けに、大規模な駐車場(収容台数は数百台から数千台)を備えている店舗が多い。
- 建物は一般的に2 - 6階建程度の建物で、多くの店舗で屋上を駐車場としている。各フロアの移動用にエレベーターやエスカレーターを備える。
- 会計は売場ごとのレジ方式。
- 店舗内にテナントが入っている事が多く、総合スーパー単体店であってもショッピングセンターを形成している。
問題点
総合スーパーは、多品種の商品を大量仕入、大量販売する方式で高度経済成長期の日本の消費者の要求に応えてきたが、バブル崩壊以降は消費者の要求の多様化などに対応できなかったこともあり、日本では2000年(平成12年)6月の大規模小売店舗法の廃止に伴い、それまで市街地立地に制約されてきた大型店の出店が広い土地の確保が可能な郊外に進むことになったことにあわせ、郊外の広大な土地に数千台規模の駐車場を備え、広域から集客する大規模なスーパーセンターや大型ショッピングセンター(ショッピングモール)といった新しい業態が誕生した。
また、イオンやイトーヨーカドーでは2008年(平成20年)のリーマン・ショックによる世界的な不況後は、総合スーパーの不採算店の積極的な再編を行い、新設の大型ショッピングセンターに置き換えている。
スーパーセンターの登場
ディスカウントストアが中心となり、ワンフロアにすることにより人件費などに極限までに切り詰め、より大量販売による低価格を実現したアメリカのウォルマートなどが中心に展開する「スーパーセンター」という業態がイオンスーパーセンターやウォルマートグループになった西友を中心に日本にも登場した。
しかし、スーパーセンターは低コストでの大量販売という点では優れているが、画一化された商品の販売という点では従来の総合スーパーと変わらないという問題点を抱えている。
大型ショッピングセンターの登場
総合スーパーの強みである集客力や売り場づくりを活かし、弱い分野である食品以外の部門を同一の建物に専門店を入れることによりお互いの弱点を補い、さらにその規模を活かして従来の総合スーパーよりも広域から集客するという「大型ショッピングセンター」(ショッピングモール)が総合スーパーの進化型として登場した。
日本で初めて、アメリカで流行していた大型商業施設(ショッピングセンター方式)を取り入れ、日本全国に普及させたのはダイエーである。その後、イオン興産(現、イオンモール)や三井不動産によって開発が進められていたが、その後、大手総合スーパーであるイオンリテール(イオンショッピングセンター)、イトーヨーカドー(アリオ)、ユニー(ウォークモール)などが参入し、従来の採算性の悪い市街地にある総合スーパー単独店を置き換えるように出店していくようになった。
さらにはその成功を見た商業施設分野に未経験だった商社や不動産会社までもがデベロッパーとして参入してきたが、大型商業施設はデベロッパーの流通ノウハウに影響される部分が大きい。テナントのほとんどが撤退、またそれによる魅力の低下など負の連鎖により、開店数年で閉鎖を余儀なくされたりショッピングセンターも出てきている。
現在
大型ショッピングセンターやスーパーセンターは巨大な敷地が必要なため、郊外に建設されることが多かったが、2006年(平成18年)にまちづくり三法の改正が行われ、郊外地域への大型商業施設の建設は事実上出来なくなった。また、市街地にあった巨大工場跡地(主にJTなど)も用途地域の制限も厳しくなり工業地域に大型店舗を建てられなくなった。
そのため、現在においては土地区画整理事業地内など市街化区域内の土地に建設される例が目立っていたが、郊外に比べて優良な立地ゆえに巨大な土地の確保が難しく建設費がかさみ、また2007年(平成19年)から起こったアメリカのサブプライムローンの焦げ付きや住宅バブルの崩壊などによる不況も加わり、新設件数が少なくなる傾向にある。
日本の主要総合スーパー
- 業界1位、イオングループの中核。総合スーパー単体というより、ショッピングセンターを形成している店舗が多い。2011年(平成23年)3月に「ジャスコ」・「サティ」・「ポスフール」を統合し、店舗ブランドを統一。
- イオンモール(イオンショッピングセンターから転換した一部店舗も含まれる。) - イオンを核店舗とするショッピングセンター。名称の違いは運営会社の違いによる。
- 業界2位。子会社だったセブン-イレブン・ジャパンの好調に支えられた経営体制からの脱却を図るため、持ち株会社セブン&アイ・ホールディングスを設立し、対等の関係になった。関東地方で特に強みを持つ。
- アリオ - セブン&アイ・ホールディングスが出店を進めているイトーヨーカドーを核店舗とするショッピングセンター。
- 業界3位。ユニー・ファミリーマートホールディングスの中核事業。中部地方や関東地方を中心に展開し、特に中部地方では市場占有に成功。
- ウォーク - アピタ ・ピアゴを核店舗とするショッピングセンター。名称はSCごとに地域に関連した単語にウォークを組み合わせ「○○ウォーク」という名称になっている。
- かつては日本最大手の流通企業であり、日本を牽引する総合スーパー事業者であったが、経営が行き詰まり、産業再生機構の下で経営再建後は丸紅傘下となった。丸紅の傘下になった2007年にイオンとの提携を締結し、その後2013年(平成25年)3月にイオンが株式公開買い付け(TOB)を実施し連結子会社化と同時に、本格的にイオングループ入りした。経営の傾いた後は総合スーパー業態から身を引きつつあり、スーパーマーケット業態を中心に展開している。なお、ダイエーは2015年にイオンの完全子会社となり、2018年に「ダイエー」店舗は完全に消滅し、店名が「イオン」に統一される予定であった。だが、関西での知名度の高さなどを背景にイオンが方針を転換。食品スーパー「グルメシティ」の店名を「ダイエー」に変更するなどして、店舗ブランドとしての「ダイエー」は存続する。
- ショッパーズプラザ - ダイエーが運営するショッピングセンター。
- ユニーより教授された経営ノウハウにより「琵琶湖ネックレスチェーン構想」として地盤の滋賀県を固め、北陸地方や京阪神地区など周辺へ展開。経営破綻したタマコシや経営の傾いたヤナゲンを傘下に収め東海地方へも進出し始めている。
- 長崎屋(MEGAドン.キホーテ)
- 1990年の尼崎店火災やバブル崩壊に伴い2000年(平成12年)に破綻。その後はドン・キホーテの傘下に入り、長崎屋の他にMEGAドン.キホーテも展開している。
- エイチ・ツー・オー リテイリング系列(2014年6月より)。関西地方の都市部で店舗を展開。
- 別府市と下関市で創業、九州・山陽地方を地盤とし、現在は北九州市と大分市に本部を構える。壽屋破綻後の九州地場最大手として、イオンやイズミと激しい競争を繰り広げ、近年は主に中規模 - 小規模GMSや食品スーパーの展開を中心とすることで差別化を図っている。
- 四国、山陽地方(岡山県を除く)に展開。関東地方で「フジ」の名称で展開する「富士シティオ」との関係性はない。
- フジグラン - フジが運営するショッピングセンター。