秋田空港
秋田空港(あきたくうこう、英: Akita Airport)は、秋田県秋田市雄和にある特定地方管理空港。
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概要
1981年(昭和56年)6月26日に開港[1]。秋田市中心部から南東に約20kmの河辺郡雄和町(現・秋田市)の雄物川と岩見川に挟まれた安養寺川上流の丘陵地[注釈 1]に位置する。 東北地方では最も早く2,500m滑走路を整備した空港であった。
旧空港は1961年に秋田市新屋町の雄物川河口の右岸に広がる海岸砂丘に開港した。日本海に面する秋田平野にあり、冬になると横風の影響を受けやすかったこと、滑走路の南側にテレビ塔が林立する標高123mの大森山があり(大森山公園参照)、制限表面の問題があったこと、大型ジェット機の運用に必要な滑走路長への延長が難しかったことなどから、現在地に新空港を建設して移転・ジェット化が行なわれた[注釈 2]。
年間利用客数は、開港以来1996年度の144.9万人にいたるまで年々増加の一途をたどっていたが、1997年の秋田新幹線開業を境に減少に転じた。2000年以降は110 - 130万人の利用者数を維持している[2]。2014年度は、国内1,199,081人・国際29,055人[3]。利用者のうち東京便の占める割合は65%程度である。
滑走路は10/28方向に2,500mであり、滑走路全体に渡り、平行誘導路を有する。着陸帯の幅は300mであり、計器着陸に対応している。ILSは滑走路28に、カテゴリIが設置されている。
滑走路の西側エプロン地区(航空自衛隊の秋田分屯基地)には、昭和62年より航空救難部隊として、捜索救難ジェット(U-125A)と救難ヘリ(UH-60J)を保有する航空救難団秋田救難隊が駐屯している。また、秋田県警ヘリ「やまどり」および秋田県消防防災航空隊の秋田県防災ヘリ「なまはげ」の各隊などは、秋田救難隊に隣接するヘリポートを使用している。
1996年(平成8年)に滑走路の3,000m化が閣議決定されているが、資金不足と費用対効果の面で実現の目処はまったく立っていない。
歴史
旧空港
- 1960年(昭和35年)9月12日 - 空港整備施行の承認にともない工事開始。
- 1961年(昭和36年)10月1日 - 秋田市新屋町字割山(東経140度3分56秒北緯39.69944度 東経140.06556度)にD級第三種空港として開港。現在の国道7号・秋田南バイパスと県道65号寺内新屋雄和線が交差する南浜交差点付近にあった(勝平参照)。1,200m×30m(17/35)滑走路供用開始。
- 1969年(昭和44年)3月 - 滑走路延長・拡幅工事完了。1,500m×45m(17/35)滑走路供用開始。[4]
現空港
- 1981年(昭和56年)6月26日 - 第二種空港新秋田空港、河辺郡雄和町(現・秋田市)に開港。2,500m×60m(10/28)の滑走路供用開始。(旧)秋田空港廃止と同時に新秋田空港を秋田空港に改称[2]。
- 1984年(昭和59年)10月 - 防衛庁(現防衛省)と秋田県が航空自衛隊秋田救難隊の設置運用に関する協定を締結。
- 1987年(昭和62年)3月31日 - 航空自衛隊秋田救難隊が新設。
- 1993年(平成5年)7月5日 - 国際線ターミナルビル竣工。
- 2001年(平成13年)10月29日 - 国際定期便(仁川国際空港便)就航。
- 2010年(平成22年)9月9日 - 立体駐車場の供用開始。
- 2012年(平成24年)3月25日 - 運用時間が22時までに延長される。
施設
空港ターミナルビルは、滑走路南側に国内線棟・国際線棟の2棟が隣接して配置されている。ボーディング・ブリッジは国内線棟に2基、国際線棟に1基を備える[注釈 3]。秋田空港ターミナルビル株式会社が運営。地上3階建て。
開港当初は国内線ターミナルビルしかなく、国際線ターミナルビルは韓国との定期航路開設に備えて、後から国内線ターミナルビルの隣りに建設された。なお、2階と3階に双方の連絡通路がある。
2013年4月26日、国内線ターミナル2階の改装工事が完成し、売店エリアが拡充され「おみやげ広場あ・えーる」としてリニューアルオープンしたほか、デジタルサイネージ等が設置された。実物大の竿燈の設置や、壁や柱の一部に秋田杉を使用して秋田らしさを演出している。
国内線ターミナルビル
1階
- 航空会社カウンター・事務所(日本航空、全日本空輸)
- 到着ロビー
- 有料待合室(要予約)
- ファミリーマート秋田空港店
- ATM
- 秋田市内ゆきリムジンバス券売機
- レンタカー会社カウンター(トヨタレンタカー、日産レンタカー、ニッポンレンタカー、オリックスレンタカー、タイムズカーレンタル)
- 秋田東警察署秋田空港警備派出所
- 総合案内所
2階
- 出発ロビー
- 保安検査場
- 搭乗待合室
- 無限堂 売店(軽食・土産物など)
- 有料待合室「ロイヤルスカイ」
- 搭乗待合室側からは利用できない。
- 一部のクレジットカード会社のゴールド以上のカード、及び利用当日の搭乗券を提示することで無料で利用できる。
- 特別待合室(要予約)
- レストラン
- あきた茶房(和食・洋食・中華)
- 杉のや(和食、郷土料理)
- レストラン DININGそら(洋食)
- カフェ
- こもれびカフェ(軽食)
- 土産物店・売店
- 中央売店(おみやげ広場あ・えーる)
- ANA FESTA
- リラクゼーションルーム
- 空港管理事務所
3階・屋上
- 送迎デッキ
- 資料展示室「みんなのひろば くぅ」
- 秋田空港ターミナルビル株式会社
国際線ターミナルビル
1階
- 航空会社カウンター・事務所(大韓航空)
- 入国税関検査場
- 動物・植物検疫施設
- 税関カウンター
- 到着ロビー
2階
- 入国審査場
- 出発ロビー
- 保安検査場
- 出国審査場
- 搭乗待合室
- 免税売店
- 秋田東警察署秋田空港警備派出所
3階・屋上
- 送迎デッキ
- 国際線ビルの送迎デッキは国内線ビルの送迎デッキからつながっているが、通常は閉鎖されている。
駐車場
2010年9月に立体駐車場を増築し、4か所2232台分(うち、障害者用25台)の駐車場となった。入出庫時間は6:00 - 22:15である[5]。
- 立体駐車場(4層5段)
- 第1駐車場
- 第2駐車場
- 第3駐車場
なお、2017年6月26日より、事前精算機利用者専用出口・優先駐車スペースが設けられている[6]。立体駐車場の西側出口と第1駐車場の南側出口が専用出口となり、立体駐車場の西側出口付近が優先駐車スペースとなっている。ただし、優先駐車スペースは予約手続き等をしなくても利用できる。
- Akita airport 2.jpg
管制ビル
- Akita Airport Multistory parking garage 2.jpg
立体駐車場
拠点・焦点都市としている航空会社
この空港をハブ空港(拠点都市)としている航空会社は無い。
就航路線
航空会社が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便である。
国内線
廃止された路線
統計
年 | 路線 | 旅客数 | 座席利用率 | 国内線順位 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
平成26年(2014年) | 東京国際空港 | 774,736人 | 56.0% | 36位 | [8] |
平成25年(2013年) | 東京国際空港 | 770,351人 | 55.2% | 35位 | [9] |
平成24年(2012年) | 東京国際空港 | 765,654人 | 51.8% | 30位 | [10] |
平成23年(2011年) | 東京国際空港 | 780,460人 | 70.0% | 26位 | [11] |
平成22年(2010年) | 東京国際空港 | 705,072人 | 61.5% | 33位 | [12] |
平成21年(2009年) | 東京国際空港 | 710,491人 | 54.7% | 33位 | [13] |
平成20年(2008年) | 東京国際空港 | 804,321人 | 59.6% | 33位 | [14] |
平成19年(2007年) | 東京国際空港 | 863,052人 | 66.3% | 31位 | [15] |
平成18年(2006年) | 東京国際空港 | 872,459人 | 66.5% | 32位 | [16] |
平成17年(2005年) | 東京国際空港 | 904,550人 | 63.5% | 27位 | [17] |
平成16年(2004年) | 東京国際空港 | 931,268人 | 62.3% | 27位 | [18] |
平成15年(2003年) | 東京国際空港 | 946,639人 | 61.3% | 28位 | [19] |
平成14年(2002年) | 東京国際空港 | 930,253人 | 66.4% | 26位 | [20] |
平成13年(2001年) | 東京国際空港 | 949,070人 | 63.7% | 24位 | [21] |
平成12年(2000年) | 東京国際空港 | 857,601人 | 61.5% | 30位 | [22] |
平成 7年(1995年) | 東京国際空港 | 973,913人 | [23] |
国際線
空港へのアクセス
秋田市街まで約20 km(25分)
路線バス
乗合タクシー
- 秋田エアポートライナー(各方面により、キングタクシー・湯沢タクシー・中仙タクシー・象潟合同タクシーがそれぞれ分担)[33]
- 秋田市内、秋田県の県央、県南各方面へ運行。
- スカイアクセス(秋田中央トランスポート)[34]
- 秋田市内へ運行。
道路
事故・インシデント
重大インシデント
- 2007年(平成19年)1月6日、仁川国際空港を発し秋田空港へ向かっていた大韓航空所属のボーイング737-900型機は、同機の機長および副操縦士が秋田空港滑走路南側の平行誘導路を滑走路と誤認し、滑走路ではなく誘導路に誤着陸した。たまたま誘導路走行中の他機はなく事故には至らず、乗客・乗員(計133名)に死傷者はなかったが、「閉鎖中の滑走路への着陸」に準ずる事態であり、重大インシデントとして運輸安全委員会の調査を受けた。同調査では、当時の卓越視程は10km程度の有視界気象状態であり、航空管制官の航空機支援に過失はなく、機長は滑走路を視認できた時点で目視による進入に切り替えるべきところ、計器指示に頼った進入を継続したため誤認を是正できなかった可能性が高いと結論づけている[35][36]。
- 2013年(平成25年)11月16日、秋田県上空での航空測量用の空撮のため埼玉県本田エアポートから秋田県へ飛来し、由利本荘市上空での空撮を終え能代市上空へ向かう予定だった本田航空所属の小型セスナ機が、エンジントラブルのため旧秋田空港の滑走路跡地に不時着した。機体は小破したものの負傷者はいなかった。これは飛行中における発動機の継続的停止にあたり、重大インシデントとして運輸安全委員会の調査を受けた。同調査では、エンジン振動が伝わりホースがエンジン本体側のハウジングから外れ潤滑油が漏洩し、潤滑油欠乏のまま運転を続けたためエンジンが損壊し、不時着直前にエンジン停止に至った可能性が高いと結論づけている[37][38]。
脚注
注釈
- ↑ 滑走路は標高95mで造成されている。周囲の三角点を見ると、北西に標高102m(三等三角点「糠塚山」)、北東に標高122m(二等三角点「萱木台」)、南に122m(四等三角点「山籠」)などがあるが、制限表面は満たすものと見られる。
- ↑ 跡地には滑走路やエプロンの遺構が残っていて、イベントなどに使用されている。
- ↑ 国際線棟の1基については、国内路線でも使用される。
- ↑ ジェイエアの機材・乗務員で運航する便あり。
- ↑ ANAウイングスの機材・乗務員で運航する便あり。
- ↑ なお、2016年3月26日までの運休とはされているが、運航再開の見通しは立っていない[30]。
- ↑ なお、2017年10月までの運休とはされているが、運航再開の見通しは不明のまま[31]。
出典
- ↑ 中村俊甫 (2014年6月23日). “秋田空港:記念行事 こども航空教室や制服試着会を開催”. 毎日新聞
- ↑ 2.0 2.1 “秋田空港”. 管内空港の現況. 国土交通省東京航空局. . 2015-9-17閲覧.
- ↑ “管内空港の利用状況概況集計表(平成26年度速報値)” (PDF) (プレスリリース), 国土交通省東京航空局
- ↑ http://www.cab.mlit.go.jp/tcab/conditions/02_tohoku/05_akita.html 秋田空港 | 国土交通省東京航空局。なお、昭和43年とあるが実際には「昭和43年度」である。
- ↑ 秋田県空港管理条例の一部を改正する条例 - 秋田県公報号外第1号 - 秋田県条例第68号(平成23年12月27日) (PDF) 〔2012年3月25日から適用。それまでの入出庫時間は6:00 - 21:45であった。〕
- ↑ http://www.akita-airport.com/pages/news/p1095 - これまでこのようなスペース、設備は設けられていなかった。
- ↑ EVA, All Nippon Work Together to Expand Japan Service - エバー航空
- ↑ “平成25年航空輸送統計(暦年)の概況について (PDF)”. 国土交通省 (2015年3月6日). . 2015-9-30閲覧.
- ↑ “平成25年航空輸送統計(暦年)の概況について (PDF)”. 国土交通省 (2014年3月12日). . 2015-9-30閲覧.
- ↑ “平成24年航空輸送統計(暦年)の概況について (PDF)”. 国土交通省 (2013年3月29日). . 2015-9-30閲覧.
- ↑ “平成23年(暦年)航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2012年3月28日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成22年(暦年)航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2011年3月29日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成21年(暦年)航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2010年3月15日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成20年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2009年5月19日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成19年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2008年4月18日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成18年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2007年3月16日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成17年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2006年3月13日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成16年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2005年3月18日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成15年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2004年3月4日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成14年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2003年3月14日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成13年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2002年3月13日). . 2012閲覧.
- ↑ “平成12年航空輸送統計速報 (PDF)”. 国土交通省 (2001年3月13日). . 2012閲覧.
- ↑ 秋田魁新報 1996年1月19日「利用者133万 過去最高に 昨年の秋田空港 前年を7.6%上回る」
- ↑ JAL、大韓航空の日韓線全便でコードシェアを開始 4月22日より Traicy 2014年4月21日付
- ↑ JAL、大韓航空とコードシェア拡大 日本/韓国全路線が対象に FlyTeam 2014年4月21日付
- ↑ 池田一生; 松本紫帆 (2012年10月28日). “大韓航空:秋田−ソウル便再開 観光行事集中、冬季「回復」見込む”. 毎日新聞
- ↑ “韓国便(大韓航空)運航再開のお知らせ”. 秋田空港ターミナルビル株式会社 (2011年5月2日). . 2015閲覧.
- ↑ “秋田-ソウル定期便を再開 大韓航空”. 河北新報 ONLINE NEWS (2014年9月13日). . 2015閲覧.
- ↑ “秋田-ソウル便が再開 MERSで一時運休”. 河北新報 ONLINE NEWS (2015年9月4日). . 2015閲覧.
- ↑ 30.0 30.1 秋田魁新報 2015年12月1日 1面
- ↑ 31.0 31.1 秋田空港の利用者 120万人超える(秋田放送)2017年5月12日
- ↑ リムジンバス時刻表
- ↑ あきたエアポートライナー
- ↑ スカイアクセス
- ↑ “航空重大インシデントの概要”. 運輸安全委員会. . 2013閲覧.
- ↑ “航空重大インシデント調査報告書 AI2008-01 (PDF)”. 運輸安全委員会 (2008年11月28日). . 2013閲覧.
- ↑ “航空重大インシデントの概要”. 運輸安全委員会. . 2015閲覧.
- ↑ “航空重大インシデント調査報告書 AI2015-03 (PDF)”. 運輸安全委員会 (2015年4月23日). . 2015閲覧.
関連項目
- 大館能代空港
- IRIS-アイリス-#日本のロケ地(秋田県のロケ地を巡る韓国人観光客増につながった)