破裂音

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テンプレート:調音方法 破裂音(はれつおん、英語: plosive)とは、鼻腔と口腔の双方の通気を同時に完全閉鎖するように、喉頭部または声門を閉鎖するか、あるいは口蓋帆を上げて鼻腔内を通る声道を閉鎖した上、口腔内の上下の調音器官を密着させて口腔内の声道も閉鎖することによって、閉鎖位置までの気圧を高め、その閉鎖を開放することによって発生する音(子音)を指す。

用語と定義

国際音声記号では「破裂音」の語を使っているが、閉鎖音(へいさおん、stop または occlusive)という語を使う学者も多い。破裂音と閉鎖音は区別しないことも少なくないが、異なる定義で使っていることもある。

服部四郎は「破裂音」を外破の際の噪音の意味に限って用い、閉鎖のあとの出わたりの噪音が聞こえないものについて「閉鎖音」の語を用いる。鼻音は含まない[1]

ピーター・ラディフォギッドも「閉鎖音」の語を用い、鼻音を含むように定義することも可能だが、含まないのが普通であるとする。また破擦音を閉鎖音の一種とする[2]

現在の音声学では使われないが、古くは黙音(もくおん、mute)とも言った。伝統的なラテン語の文法書などで「名詞第三曲用の黙音幹」のように使用される。

調音過程

破裂音の調音過程は以下のような段階に分けられる。

  1. 閉鎖の形成 - 口腔内で閉鎖を作って気流が逃げないようにする。ここから閉鎖音の名がある。鼻音の場合は、口蓋帆が下がって気流が鼻腔から抜ける。
  2. 閉鎖の持続
  3. 閉鎖の開放・破裂 - 閉鎖が開放される瞬間に空気の破裂が生じる。ここから破裂音と呼ばれる。

内破・不破

上記の過程1、閉鎖を形成する際に、開かれた状態から急激に閉鎖を作った場合にも破裂の音が生じることがある。これを内破といい、過程3の閉鎖の開放で作られる破裂を外破とよぶ。通常の破裂音は外破の音であるが、いくつかの言語の語末で閉鎖を開放せず、内破のみで終わる音を持つものがある。これを内破音と呼ぶ。開放がないことから無開放閉鎖音と呼ばれることもある。ただし、無声の状態から閉鎖が形成されたときには内破は起こらないので、これは不破と呼ばれる。

破裂鼻音

なお、口蓋帆を下げて鼻腔を通る声道を開放した状態で、口腔内で閉鎖を作って鼻腔に共鳴させる音を鼻音という。調音方法として口腔内に閉鎖を作っていることから鼻音を破裂鼻音と呼び、鼻腔への通路を閉鎖して発する通常の破裂音を破裂口音と呼ぶことがある。なお鼻音は次の母音にわたる瞬間に口腔内の閉鎖が開放され破裂が起こっている。このことは有声の鼻音では顕著に表れないが、無声の鼻音では聞き取ることができる。

鼻腔開放・側面開放

破裂音の調音過程のうち最後の閉鎖の開放の段階で、口蓋帆を下げて鼻腔から開放するものを鼻腔開放、舌の両脇を開放するものを側面開放と呼ぶ。それぞれ同じ調音位置鼻音側面音が続く場合に発生することが多い。

前鼻音化

鼻腔開放とは逆に、閉鎖の形成時に鼻音を伴うことを前鼻音化と呼ぶ。

破擦化

破裂音を調音した後で、閉鎖を一気に開放せず、同じ調音部位で隙間を作ると摩擦音が伴うことになる。これを破擦化といい、この2つの音は連続していて音節の切れ目が存在しないので1つの音として扱われ破擦音と呼ばれる。

無声・有声・帯気音

閉鎖が開放されてから声帯の振動が開始するまでの時間(VOT: voice onset time)によって、子音は無声音と有声音に分かれる。また、VOT がとくに長いものを有気音(帯気音)と呼ぶ。実際の VOT の長さは言語により大きく異なる。

帯気音は原則として無声音である。ヒンディー語のいわゆる「有声帯気音」は、無声の帯気音とは機構が異なり、実際には息もれ声である。

テンス

朝鮮語の無声破裂音では喉頭の筋肉の緊張を伴うか(テンス)そうでないか(ラックス)によって意味を弁別している。

国際音声記号

脚注

  1. 服部四郎 『音声学 カセットテープ, 同テキスト付』 岩波書店、1984年(原著1950年)。
  2. Ladefoged, Peter (2001). A Course in Phonetics, Fourth, Heinle & Heinle, 10, 147-149. ISBN 0155073192. 
子音
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