生活困窮者自立支援法
生活困窮者自立支援法 | |
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日本の法令 | |
法令番号 | 平成25年12月13日法律第105号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 社会保障法 |
主な内容 | 生活困窮者自立支援について |
関連法令 | 生活保護法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
生活困窮者自立支援法(せいかつこんきゅうしゃじりつしえんほう、平成二十五年法律第一〇五号)とは、生活保護に至る前あるいは保護脱却の段階での自立支援の強化を図るための法律[1]。
Contents
法制定の経緯
戦後の日本では日本国憲法第25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という理念に基き1950年に全面改正された生活保護法が国民のセーフティーネットとしての役割を果たしてきた。しかし減少を続けてきた受給者数が1995年ごろから増加に転じた。経済のグローバル化にともなう非正規雇用の増加がその一因である。さらにリーマン・ショックや東日本大震災を契機に生活保護受給者数は急増した。また従来は高齢者、障害者、傷病者、母子家庭が生活保護の主な対象であったが、稼動年齢層の受給者も増加していった。それらは国家財政を圧迫する事態となり、生活保護の不正受給や稼動年齢層で働く能力がありながら受給を続ける者に対して、厳しい対応が迫られた。2012年、そのような背景のもと政府は社会保障審議会に「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を設置、2013年に報告書[2]が提出され、2015年、生活保護法の改正に合わせて、未だ生活保護の対象にならない生活困窮者に対する支援にあたる本法律が制定された[3]。
法の構成
- 第一章 総則(第一条―第三条)
- 第二章 都道府県等による支援の実施(第四条―第九条)
- 第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定(第十条)
- 第四章 雑則(第十一条―第十九条)
- 第五章 罰則(第二十条―第二十三条)
- 附則
下位法令
生活困窮者の定義
本法第2条において『この法律において「生活困窮者」とは、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。』としている。
支援事業のあらまし
- 支援事業の主体は市(特別区を含む)および福祉事務所を置く町村および都道府県である。(3条)
- 必須事業[6]
- 自立相談支援事業(2条2、4条)
- 住居確保給付金の支給(2条3、5条)
- 任意事業[7]
- 就労準備支援事業(2条4、6条)
- 一時生活支援事業(2条5、6条)
- 家計相談支援事業(2条6、6条)
- 生活困窮世帯の子どもの学習支援(6条)
- 就労訓練事業の認定(10条)
自立相談支援事業
就労の支援その他、自立に関する相談を受ける。また認定就労訓練事業の斡旋を行う。支援計画を記載した計画を作成する[8]。
住居確保給付金の支給
経済的に困窮し住宅の所有権を失う、または賃貸住宅の家賃の支払いが困難になった者の住居の確保を支援する。申請日に65歳未満で公共職業安定所において就職の斡旋を受けていること、その他所得条件、資産条件を満たしている事を要する[9]。
就労準備支援事業
雇用による就労が著しく困難な者に一定の期間に限り就労に必要な訓練を行う。申請日に65歳未満で所得基準、資産基準を満たしている事[10]。
一時生活支援事業
一定の住居を持たない困窮者に対して宿泊場所の提供等を行う。収入条件、資産条件を満たしている事[11]。
家計相談支援事業
生活困窮者の家計に関する問題につき相談を受ける。また支出の節約に関する指導、資金の貸付を行う[12]。
生活困窮世帯の子どもの学習支援
生活困窮家庭の子供に対する学習支援や保護者への進学助言を実施し[13]、貧困の世代間の連鎖を断ち切る。
就労訓練事業の認定
雇用による就業が困難な生活困窮者に対して就労の機会を提供し、また就労に必要な知識、能力の向上に必要な訓練、生活支援、健康管理の指導等を行う者を、都道府県知事が基準を満たしているかどうか判定し、就労訓練事業の認定または認定の取り消しを行う[14]。
脚注
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、1頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書 厚生労働省 2013年1月25日(PDF)
- ↑ 『改正生活保護法・生活困窮者自立支援法のポイント』中央法規出版編集部、2014年2月、2-17頁。ISBN 978-4-8058-3976-8。
- ↑ 生活困窮者自立支援法施行令(平成二十七年二月四日政令第四十号) e-Gov
- ↑ 生活困窮者自立支援法施行規則(平成二十七年二月四日厚生労働省令第十六号) e-Gov
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、23頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、24頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、28頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、29-32頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、32-33頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、33-34頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、34頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
- ↑ 『改正生活保護法・生活困窮者自立支援法のポイント』中央法規出版編集部、2014年2月、34頁。ISBN 978-4-8058-3976-8。
- ↑ 岡部卓『生活困窮者自立支援ハンドブック』中央法規出版、2015年6月、34-35頁。ISBN 978-4-8058-5230-9。
関連項目