琉球エアーコミューター
琉球エアーコミューター株式会社(りゅうきゅうエアーコミューター、英称:RYUKYU AIR COMMUTER CO.,LTD.、略称:RAC)は、那覇空港をベースに沖縄及び奄美の離島路線を運航している航空会社。日本航空(JAL)グループの構成企業である。
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概要
2018年時点では沖縄県及び鹿児島県奄美群島で12路線を運航している。
日本航空(JAL)の系列会社の日本トランスオーシャン航空 (JTA)が株式の過半数を保有している。JALとの直接の資本関係はなく、JALに対しては一般にいう孫会社の関係であるが、JALが間接的にRACの議決権の過半数を所有しているため法令上はJALの連結子会社にあたる [1]。
また、ワンワールドのメンバーではない。JAL以外の航空会社のワンワールド・エメラルド会員のステイタスを保有している場合は、琉球エアーコミューターでの優先搭乗の適用はない。
同社のIATAコードは設定されていないが、JALマイレージバンクの搭乗履歴に表示される2レターコードは、親会社であるJTAのIATAコードである「NU」となる。また、JALグループのチェックインカウンターで発行された手荷物タグに表示される2レターコードは「RC」となる。
沿革
1982年から那覇 - 慶良間線を運航していた公共施設地図航空[注 1]の経営危機に伴い、同路線の運航継続の受け皿となるべく1985年12月24日に設立。公共施設地図航空が1986年に倒産し運航を停止した後、1987年2月17日にRACによって那覇 - 慶良間線の運航が再開された[2]1989年には那覇 - 粟国線を開設して、計2路線を運航することになった。
1991年に南西航空(SWAL。現JTA)の増資を受け傘下に入り、1992年にSWALからDHC-6で運航されていた6路線の移管を受けた。
年表
- 1985年12月24日: 琉球エアーコミューター株式会社(RAC)設立[3]。
- 1986年
- 1987年2月17日: 初の就航路線となる那覇 - 慶良間線開設(使用機種・BN-2Bアイランダー)。
- 1989年12月20日: 那覇 - 粟国線開設(BN-2Bアイランダー)[3]。
- 1991年: 南西航空(SWAL、現・日本トランスオーシャン航空 (JTA))からの増資を受け、同社の子会社となり、同時にJALグループの一員となる。
- 1992年11月16日: SWALから、同社のDHC-6就航路線(那覇 - 南大東・北大東・粟国、宮古・石垣 - 多良間、石垣 - 波照間)を移管[3]。
- 1997年
- 1月: DHC-6の後継機となるDHC-8-Q100(ダッシュ8)を導入[3]。
- 4月15日: 那覇 - 与論線をJTAから移管、機材はそれまでのYS-11に代わりDHC-8-Q100が就航[3]。
- 7月20日: 現・南大東空港開港により、那覇 - 南大東線にDHC-8-Q100が就航。
- 10月9日: 北大東空港の滑走路が1,500mに延長により、那覇 - 北大東線にDHC-8-Q100が就航。同時に南大東 - 北大東線を開設[3](ただし那覇 - 南大東 - 北大東 - 那覇あるいは那覇 - 北大東 - 南大東 - 那覇の三角運航)。
- 11月7日: 那覇 - 久米島線開設(DHC-8-Q100)[3]。
- 1999年2月1日: 那覇 - 奄美線開設[3](DHC-8-Q100、従来エアーニッポンが就航していた路線を継承)。
- 2000年7月21日: 那覇 - 与那国線、石垣 - 与那国線開設[3](いずれもDHC-8-Q-100で週4日運航)。
- 2002年1月23日: DHC-6が退役(同機が就航していた路線は、機材をBN-2Bに変更)。
- 2003年10月10日: 新多良間空港の開港に伴い、宮古 - 多良間線にDHC-8-Q100就航。宮古 - 石垣線開設(DHC-8-Q100)[3]。
- 2006年
- 3月31日: 那覇 - 慶良間線、石垣 - 多良間線廃止。
- 7月: 那覇 - 宮古線開設(DHC-8-Q100、7月半ば - 9月の季節限定運航)。
- 2007年
- 2009年5月31日: 那覇 - 粟国線運休。なお、運休後も6月4日 - 17日の期間、チャーター便が1日2便運航された[4]。
- 2011年4月: JAL同様ロゴを鶴丸に変更。鶴丸内の文字はJALのまま。
- 2013年1月8日: 那覇 - 石垣線開設[3]。
- 2015年12月31日: DHC-8-Q400CC初号機を受領[5]。
- 2017年2月22日:DHC-8-Q100が804便(宮古→那覇線)をもって定期便から退役した[4]。
就航路線
- 那覇空港 - 奄美空港、与論空港、久米島空港、北大東空港、南大東空港、宮古空港、新石垣空港、与那国空港
- 南大東空港 - 北大東空港
- 宮古空港 - 多良間空港、新石垣空港
- 新石垣空港 - 与那国空港[6]。
使用機材
- ボンバルディアDHC-8-Q400CC(Q400CC)
- DHC-8-Q100及びDHC-8-Q300の更新用として2015年から2017年にかけて5機導入された[7]。
- DHC-8-Q400の貨物室を拡大したカーゴコンビ仕様(Cargo Combi:貨客型仕様)で、座席数はDHC-8-Q300と同数とする一方、貨物室はDHC-8-Q400より拡大された。与那国線など日本トランスオーシャン航空から引き継いだ路線において機材の小型化により貨物搭載量減少が問題になっており[8]、貨物スペースを拡大した機材への更新でこの問題の解決が図られた[9]。
- 2015年9月30日に、琉球エアーコミューターが本タイプのローンチカスタマーの1社になること、及び、2015年12月に初号機が引き渡され、2016年4月から運行開始予定であることと座席数が50席になることが公式にアナウンスされた[10][11]。2016年1月10日にカナダから東回りでフェリーされた初号機(JA81RC。フェリー時はカナダ籍C-FKIYのレジ)が那覇空港に到着した。
かつての保有機材
- デ・ハビランド・カナダDHC-6(ツインオッター)
- ブリテン・ノーマン アイランダー(BN-2B)
- ボンバルディアDHC-8-100
- ボンバルディアDHC-8-Q300(Q300)
- JA5235RyukyuAirCommuter.JPG
粟国空港に駐機するBN-2Bアイランダー
- RAC DHC-8.jpg
与那国空港に駐機するDHC-8-Q100
- RAC newpaintship JA8936.jpg
「太陽のアーク」塗装で納入されたDHC-8-Q300
塗装
JALグループの一員となってからも長らく独自デザインを使用していたが、3代目からJALグループ各社と統一したデザインに変更している。
- 3代目
- 2007年4月より当時のJALグループの統一ビジュアルイメージであった「Arc of the Sun(太陽のアーク)」デザインが採用されたが、「JAL」が「RAC」(Aの横棒がなくノが入る)に置き換えられ、「RYUKYU AIR COMMUTER」表記を添えたものであった。同年4月導入のDHC-8-Q300はこの塗装で納入された。
- 4代目
- 2011年4月よりJALの鶴丸デザインに変更する。ホワイトボディに「RYUKYU AIR COMMUTER」と斜体字で表記されるが、垂直尾翼の鶴丸はJAL表記である。
- Shisa on the tail of a plane.jpg
2代目塗装の垂直尾翼
- RAC company logos.svg
3代目ロゴ
- Ryukyu Air Commuter Logo (2011, RAC).svg
4代目ロゴ
機内サービス
- 客室乗務員は基本的に全便1人しか乗務しない。
- ドリンクサービスはなかったが、2016年4月15日から所要時間1時間以上の路線で「さんぴん茶」「パイナップルジュース」のドリンクサービスと機内販売が開始された[17]。
- キャンディが配られる。
- 機内誌はJTAの「Coralway」のみ搭載され、『SKYWARD』や「JAL SHOP」は搭載されていない。
- 座席のリクライニングはできない。
- オーディオ、ビデオサービスはない。
注意点
運航開始当初は小型機のみの運航であり、設立経緯も異なるなどの事情から、親会社の日本トランスオーシャン航空をはじめ他のJALグループ各社とは異なる点があった。
- 持込手荷物・受託手荷物の重量制限があったが、機材が大型のDHC-8シリーズに統一されたため、これらは撤廃された。
- 各空港の設備が最新のものに置き換えられ、航空券が磁気券に切り替わり、JALのカウンターでそのまま手続きができるようになった。この結果webチェックインやICカード、おサイフケータイ、バーコード読取りによる搭乗などのJAL ICサービスも通常のJAL便と同様に使用でき、事前座席指定も可能となった。
- 以前は、JALマイレージバンク(JMB)のマイル加算対象となる路線は日本トランスオーシャン航空も運航している路線(那覇 - 宮古線、那覇 - 久米島線、石垣 - 与那国線、宮古 - 石垣線)と那覇 - 与那国線のみであり、その他の路線はマイル加算・特典航空券利用の対象外であったが、2012年7月18日搭乗分より残りの運航路線でマイルが積算され[注 3]、さらに同年9月1日より特典航空券利用もできるようになった[注 4]。
JALグループ企業
(グループ企業のうち、航空事業者)
◎JALグループは国際航空連合(アライアンス)「ワンワールド」に加盟している。ただし、※のある航空会社は経営施策上ワンワールドには加盟していない。
- 日本航空 (JAL)
- 日本トランスオーシャン航空 (JTA)
- ジェイエア (J-AIR)
- 北海道エアシステム (HAC) ※
- 日本エアコミューター (JAC) ※
- 琉球エアーコミューター (RAC) ※
ジェイエア、北海道エアシステムは「運送の共同引受」により全便をJAL便として運航。
脚注
注釈
- ↑ 一時期、金のペーパー商法で有名な豊田商事を傘下に持つ銀河計画のグループ会社だった。会社自体は現存しており、福井空港での遊覧飛行を行っている。
- ↑ パイロットの退職に伴い那覇 - 粟国便を休止し、運用が消滅する。当初2009年10月から運休する予定であったが、大阪の第一航空が2009年6月からの路線引継を表明したため休止を繰り上げた。
- ↑ ただし、那覇 - 南大東線を北大東経由で同日乗り継ぎする場合、または那覇 - 北大東線を南大東経由で同日乗り継ぎする場合は、南大東 - 北大東間の区間マイルは加算されない。これらの場合、マイル実績には那覇 - 経由地までの区間マイルとして記載される[18]。
- ↑ ただし、北海道・本州・四国・九州と沖縄(那覇、石垣、宮古、久米島)を結ぶ路線2区間と同時に予約することにより5,000マイルの追加で利用出来る「RAC離島路線」は引き続き対象外とされ、通常のマイル数が必要となる(RAC離島路線の対象は従来からマイル積算対象だった5路線のみのまま)。
出典
- ↑ “有価証券報告書 (PDF)”. 日本航空株式会社. . 2018閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 “慶良間空港”. 沖縄県. . 2018閲覧.
- ↑ 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「profile
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 4.0 4.1 RAC DHC8-Q100型機のご紹介 琉球エアーコミューター
- ↑ “ボンバルディア、Q400貨物拡張型ローンチ 琉球エアコミューターが初号機受領”. Aviation Wire. (2016年1月4日) . 2018閲覧.
- ↑ “航空路線案内”. 琉球エアーコミューター株式会社. . 2018閲覧.
- ↑ “JALグループ中期経営計画 ローリングプラン 2015 (PDF)”. 日本航空. p. 24 (2015年2月18日). . 2018閲覧.
- ↑ “「与那国線撤退、町に説明 RAC増便で対応 カジキ積載に制限 JTA」”. 八重山日報. (2012年9月14日) . 2018閲覧.
- ↑ 「琉球エアーコミューター 貨物室を拡大した地元待望の航空機を導入! (PDF) 」 、『明日の翼』第6号、日本航空、2016年、 14頁、. 2018閲覧.
- ↑ “RAC、ボンバルディア DHC-8-400型機の導入を決定” (PDF) (プレスリリース), 日本トランスオーシャン航空, (2015年9月30日) . 2018閲覧.
- ↑ “RAC、Q400貨物拡張型に更新 12月に初号機”. Aviation Wire. (2015年9月30日) . 2018閲覧.
- ↑ “琉球エアーコミューター 機材一覧 De Havilland Canada DHC-6 Twin Otter機材”. . 2017閲覧.
- ↑ “琉球エアーコミューター 機材一覧 Britten-Norman BN-2 Islander/Defender機材”. . 2017閲覧.
- ↑ 沖縄タイムス2008年11月27日付夕刊記事
- ↑ “琉球エアーコミューター 機材一覧 Bombardier DHC-8-100機材”. . 2017閲覧.
- ↑ “新機種の機体にシーサーをデザイン RAC”. 琉球新報. (1997年3月8日). オリジナルの2013年5月1日時点によるアーカイブ。 . 2018閲覧.
- ↑ “「ドリンクサービス始めました!」”. 琉球エアーコミューター株式会社. . 2018閲覧.
- ↑ “JAL国内線区間マイル表”. 日本航空株式会社 (2017年12月). . 2018閲覧.