特殊関数

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特殊関数(とくしゅかんすう、: special functions)は、何らかの名前や記法が定着している関数であり、解析学関数解析学物理学、その他の応用分野でよく使われる関数であることが多い。

何が特殊関数であるかのはっきりした定義は存在しないが、しばしば特殊関数として扱われるものには、ガンマ関数ベッセル関数ゼータ関数楕円関数ルジャンドル関数超幾何関数ラゲール多項式エルミート多項式などがある。一般には初等関数の対義語ではなく、ある関数が初等関数であって同時に特殊関数とされる場合もある。

特殊関数の一覧

特殊関数の多くは、微分方程式の解や初等関数積分の解として現れる。したがって、積分法の一覧[1]には特殊関数の記述がよく見られ、特殊関数の一覧[2]には最も重要な積分、すなわちその特殊関数の積分形式の表現が含まれていることが多い。

Mathematica[3]などの解析的計算のための言語は、多くの特殊関数を認識する。そのようなシステムが常に効率的アルゴリズムで計算(評価)するとは限らない(特に複素平面の場合)。

特殊関数の記法

多くの場合特殊関数には標準的記法があり、関数の名前、添え字(もしあれば)、括弧開き、引数列(コンマで区切る)、括弧閉じの順に記述する。このような記法を使うことで解釈が容易になり、曖昧さを排除できる。国際的に記法が確立している関数としては、sin、cos、exp、erf、erfc などがある。

場合によっては1つの特殊関数が複数の名前を持つこともある。自然対数には Log、log、ln などの記法があり、文脈によって使い分けられる。例えば正接関数は Tan、tan、tg(ロシアの書籍に多い)などの記法がある。逆正接関数は atan、arctg、tan−1 などの記法がある。ベッセル関数Jn(x) と記されることが多いが、besselj(n,x) や BesselJ[n,x] も同じ関数を意味している。

引数を示すのに添え字がよく使われる(整数が多い)。まれにセミコロン (;) やバックスラッシュ (\) を分離文字として使うこともある。このような場合、論理的に解釈する際に曖昧さが生じ、混乱することがある。

肩文字はべき乗を示すだけでなく、関数の修飾を意味することがある。例えば、次のような例がある。

  • cos3(x) は (cos(x))3 を意味する。
  • cos2(x) は (cos(x))2 を意味するのが普通で、cos(cos(x)) と解釈することは滅多にない。
  • cos−1(x) は arccos(x) を意味するのが普通で、(cos(x))−1 という意味ではない。この例は上の2つの例とは異なるため、ここで混乱することが多い。

特殊関数の評価

特殊関数の多くは複素変数の関数と見なされる。それらは解析的であり、特異点とカットで記述される。微分形式や積分形式が知られており、テイラー級数漸近級数に展開できる。さらに、他の特殊関数との関係式が分かっている場合もあり、複雑な特殊関数をもっと単純な関数を使って表現できる。評価にはこれらの様々な表現を使う。最も単純な評価方法は、テイラー級数に展開することである。しかし、級数で表しても収束がゆっくりな場合がある。有理数の近似値を使うこともよくあるが、引数が複素数の場合にはそれもうまくいかないことがある。

関連項目

脚注・出典

  1. Gradshtein, Israel Solomonovich; Iosif Moiseevich Ryzhik.. Table of integrals, sums, series and products. Academic press. 
  2. Abramovitz, Milton; Irene Stegun. Table of mathematical functions. 
  3. Mathematicaにある特殊関数の一覧

参考文献

外部リンク