煙台市
中華人民共和国 山東省 煙台市 | |
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山東省中の煙台市の位置 | |
中心座標 東経121度16分0秒北緯37.4度 東経121.26667度 | |
簡体字 | 烟台 |
繁体字 | 煙台 |
拼音 | Yāntái |
カタカナ転写 | イェンタイ |
国家 | 中華人民共和国 |
省 | 山東 |
行政級別 | 地級市 |
面積 | |
総面積 | 13,745.74 km² |
人口 | |
総人口(2014) | 702 万人 |
人口密度 | 219.99 人/km² |
経済 | |
GDP(2008) | 343.4億源元 |
一人あたりGDP | 49012元 |
電話番号 | 0535 |
郵便番号 | 264001 |
ナンバープレート | 魯F |
行政区画代碼 | 370600 |
公式ウェブサイト: http://www.yantai.gov.cn/ |
煙台市(えんたい-し、中国語:烟台市、英語:Yantai)は中華人民共和国山東省に位置する地級市。山東半島東部に位置する港湾都市である。山東半島の北海岸を占め渤海湾に面し、東は威海に、南と西は青島にそれぞれ接する。
山東省最大の漁港であり、なおかつ最初期に対外経済開放された沿岸都市の一つで、産業都市としても急発展している。現在は環境のよさ、景観のよさ、投資環境のよさが中国でも指折りと評価されている。海岸線に沿って広がる砂浜や断崖は、観光地として全中国から人が集まる。
かつて西洋人にはチーフー(Chefoo)の名で知られたが、これは伝統的に煙台の行政中心であった市の東寄りにある「芝罘」(チーフー、Zhifu)という陸繋島に由来する。今日の「煙台」という名は明の洪武帝の治世だった1398年(洪武31年)に初出する。この年、倭寇対策のために奇山北麓に城が築かれ、その北の山に倭寇襲撃時に警報の狼煙を上げる塔が建設された。これが簡単に「煙台」とよばれるようになった。
Contents
地理
煙台は山東半島の北岸の中心部である。北の渤海をはさんで遼東半島と向かい合い、東は黄海をはさんで朝鮮半島と対峙する。市の中心がある芝罘島は典型的な陸繋島で、その他にも大小63の島や岩礁が沿岸に点在しており、廟島諸島(Miaodao)が北の渤海中央部に向かって伸びている。有人島の数は15。西側は渤海の最南部の湾、莱州湾に面している。
海岸線の長さは909kmで、地形は36.62%が山地、39.7%が丘陵地(100m - 300m)、20.78%が平野、2.9%が水面である。山地の平均標高は500mで、最高点は昆崳山の922.8m。市街地化した面積は 2643.60平方km。
5km以上の長さの川は121ある。大きな川には、五龍河、大沽河、大沽夾河、王河、界河、黄水河、辛安河がある。
海に面しており、夏は比較的涼しく冬は温暖で、年平均気温は11.8度。
歴史
新石器時代の遺物が市域内から発見されている。かつては東夷族の居住地があり夏朝の時代に国を建てたといわれている。殷、周、春秋時代には莱国の地とされ、戦国時代には斉の領土となった。秦代には斉郡に、前漢の時代には東莱郡に属した。始皇帝は3回、武帝は1回芝罘島を訪れたと言われている。隋の時代に莱州に、唐、宋、元の時代に登州や莱州が置かれた。明、清の時代には莱州府が、後に登州府が置かれている。
1858年7月、清は天津条約を結び、登州は煙台と改名され西洋諸国に開港されることとなった。なお、第2次アヘン戦争の際にイギリス・フランス連合艦隊が煙台を占領して艦隊を集結させている。煙台は1861年5月に外国商人たちに対して開港したが、正式に国際貿易港とされたのは、要塞・東海関の竣工にあわせた8月22日のことである。17カ国が煙台に領事館を設置した。ここで1876年に芝罘条約が結ばれている。漁港だった煙台はイギリスの条約港となり急速に都市化したが、20世紀初頭に山東半島全域でドイツ帝国の力が増すと、煙台もドイツに支配されることとなった。また、清も北洋艦隊の拠点とし、1903年に設置された煙台海軍学校は1928年まで中国の海軍士官を育成した。
1905年には、日露戦争後の講和会議の開催候補地のひとつとなった。
第一次世界大戦でのドイツの敗戦により、煙台はアメリカ海軍のアジア艦隊の夏の駐留港となった。日本も交易のために煙台に拠点を置き、両国の影響が市内の政治や建物の様式におよぶことになった。
中国の革命史上でも煙台は重要な役割を果たした。1911年11月12日、中国革命同盟会の山東支部は煙台で決起し、辛亥革命に合流した。翌日には山東軍政府が創設され、その翌日には山東煙台軍政分府と改称した。1914年、煙台を中心とする膠東道が設置され、1925年には東海道と改称された。煙台はこの時期までは膠東道および東海道の福山県(ふくざんけん)に属したが1934年に煙台特別行政区が発足し山東省の直轄地となった。もとは煙台を含んでいた福山県は以後煙台の街の拡大とともに範囲が削られ、現在の福山区となっている。1938年1月19日、日中戦争の最中、膠東軍政委員会が設立されこの地域の抗日運動の中心となった。
中華人民共和国建国後、対外的にもChefooはYantaiに改称された。1983年には再編され地級市となり、1984年には対外開放された。戦後対外開放されるまでは外国人の立ち入りが制限された事もあり、日本国への直行航空便は無い状態が続いたが、2015年に中国LCC大手春秋航空により、愛知県常滑市の中部国際空港と煙台市を結ぶ定期路線が新規開設された。
行政区域
4市轄区・7県級市・1県から構成される。
煙台市の地図 |
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年表
膠東行政区
膠東行政区北海専区
- 1949年10月1日 - 中華人民共和国山東省膠東行政区北海専区が成立。竜口市・黄県・棲霞県・招北県・蓬莱県・福山県・招遠県・棲東県・長山島特区が発足。(1市7県1特区)
- 1950年1月3日 (1市6県1特区)
- 1950年5月9日
- 竜口市・黄県・棲霞県・蓬莱県・招遠県・棲東県・長山島特区が莱陽専区に編入。
- 福山県が文登専区に編入。
莱陽専区
- 1950年5月9日 - 膠東行政区南海専区莱陽県・平南県・莱西県・平東県、膠東行政区北海専区竜口市・黄県・棲霞県・蓬莱県・招遠県・棲東県・長山島特区、膠東行政区西海専区平度県・掖南県・平西県・掖県を編入。莱陽専区が成立。(13県1特区)
- 竜口市が黄県に編入。
- 1952年8月18日 - 平南県が蓼蘭県に改称。(13県1特区)
- 1953年7月2日 (10県1特区)
- 棲東県が棲霞県に編入。
- 平東県が平度県に編入。
- 平西県が蓼蘭県に編入。
- 1954年12月31日 - 棲霞県の一部が文登専区福山県・牟平県に分割編入。(10県1特区)
- 1956年2月24日 (1市18県1特区)
- 1956年3月6日 (1市14県1特区)
- 掖南県および昌濰専区蓼蘭県の一部が掖県に編入。
- 石島県が栄成県に編入。
- 即東県が即墨県・海陽県に分割編入。
- 崑崙県が牟平県・文登県に分割編入。
- 1956年5月 (1市14県1特区)
- 乳山県の一部が文登県に編入。
- 莱陽県の一部が莱西県に編入。
- 莱西県の一部が莱陽県・掖県に分割編入。
- 即墨県の一部が昌濰専区膠県に編入。
- 1956年5月18日 - 文登県の一部が威海市に編入。(1市14県1特区)
- 1956年5月25日 - 長山島特区が県制施行し、長島県となる。(1市15県)
- 1956年6月 - 文登県の一部が栄成県に編入。(1市15県)
- 1956年9月7日 - 文登県の一部が威海市に編入。(1市15県)
- 1956年11月8日 - 福山県・牟平県の各一部が煙台市に編入。(1市15県)
- 1958年4月 - 招遠県の一部が掖県に編入。(1市15県)
- 1958年7月 - 文登県の一部が牟平県・威海市に分割編入。(1市15県)
- 1958年10月20日 - 福山県の一部が煙台市に編入。(1市15県)
- 1958年11月 - 莱陽専区が煙台専区に改称。
煙台市(第1次)
- 1950年9月 - 文登専区煙台市が地級市の煙台市に昇格。一区から五区までの区が成立。(5区)
- 1951年10月 - 五区が四区に編入。(4区)
- 1954年12月31日 - 文登専区福山県の一部が四区に編入。(4区)
- 1956年2月24日 - 一区・二区・三区・四区を廃止。(1市)
- 1956年11月8日 - 莱陽専区福山県・牟平県の各一部を編入。(1市)
- 1958年10月20日 - 莱陽専区福山県の一部を編入。(1市)
- 1958年11月 - 煙台市が煙台専区に編入。
煙台地区
- 1958年11月 - 莱陽専区が煙台専区に改称。(2市14県)
- 煙台市を編入。煙台市が県級市に降格。
- 即墨県が青島市に編入。
- 文登県・栄成県のそれぞれ一部が威海市に編入。
- 牟平県の一部が乳山県に編入。
- 1958年12月20日 (2市8県)
- 長島県・黄県が蓬莱県に編入。
- 莱西県が莱陽県に編入。
- 乳山県が文登県・煙台市・海陽県に分割編入。
- 牟平県・福山県が煙台市に編入。
- 1960年3月28日 - 煙台市の一部が分立し、牟平県が発足。(2市9県)
- 1961年5月23日 - 青島市即墨県を編入。(2市10県)
- 1961年9月 - 青島市嶗山郊区の一部が即墨県に編入。(2市10県)
- 1961年10月5日 (2市14県)
- 1963年6月29日 - 蓬莱県の一部が分立し、長島県が発足。(2市15県)
- 1965年8月 (2市15県)
- 煙台市の一部が福山県・牟平県に分割編入。
- 威海市の一部が文登県・栄成県に分割編入。
- 1966年11月 - 青島市嶗山県の一部が即墨県に編入。(2市15県)
- 1967年2月 - 煙台専区が煙台地区に改称。(2市15県)
- 1978年11月17日 - 即墨県が青島市に編入。(2市14県)
- 1983年8月30日
- 煙台市が地級市の煙台市に昇格。
- 威海市・栄成県・文登県・牟平県・乳山県・海陽県・莱陽県・掖県・招遠県・棲霞県・黄県・蓬莱県・長島県・福山県が煙台市に編入。
- 莱西県が青島市に編入。
煙台市(第2次)
- 1983年8月30日 - 煙台地区煙台市が地級市の煙台市に昇格。(2市12県)
- 1983年10月15日 - 芝罘区・福山区を設置。(2区1市12県)
- 1986年9月23日 - 黄県が市制施行し、竜口市となる。(2区2市11県)
- 1987年2月20日 - 莱陽県が市制施行し、莱陽市となる。(2区3市10県)
- 1987年6月15日 (2区2市7県)
- 威海市が地級市の威海市に昇格。
- 栄成県・文登県・乳山県が威海市に編入。
- 1988年2月24日 - 掖県が市制施行し、莱州市となる。(2区3市6県)
- 1991年11月30日 - 蓬莱県が市制施行し、蓬莱市となる。(2区4市5県)
- 1991年12月21日 - 招遠県が市制施行し、招遠市となる。(2区5市4県)
- 1994年9月29日 (4区5市3県)
- 1995年11月30日 - 棲霞県が市制施行し、棲霞市となる。(4区6市2県)
- 1996年4月29日 - 海陽県が市制施行し、海陽市となる。(4区7市1県)
- 2002年9月17日 - 蓬莱市の一部が福山区に編入。(4区7市1県)
- 2009年3月9日 - 牟平区の一部が莱山区に編入。(4区7市1県)
経済
煙台は現在、半島南部の港湾都市・青島に次ぎ山東省第二の産業都市である。
煙台経済技術開発区(1984年開設)、煙台輸出加工区(2000年開設)という二つの全国国家級開発区があり、煙台経済技術開発区は全国でもトップ10に入る規模となっている。
1892年に創業した張裕釀酒公司は、現在では中国でも第一のワイン製造会社となっている。
軍事
青島・旅順・葫芦島を拠点とする北海艦隊が煙台にも小規模な基地を持つ。
教育
- 煙台大学
- 魯東大学
- 山東工商学院
- 浜州医学院
交通
- 飛行機
- 煙台蓬莱国際空港が煙台市の北西約43kmの位置にある。国内線は北京、瀋陽、寧波、大連を含む複数都市から毎日フライトがある。国際線は大阪の関西国際空港、韓国の仁川空港を結ぶ便がある。
- 2015年5月28日の煙台蓬莱国際空港開港以前は、民間便は煙台莱山国際空港を利用していた。
- 船舶
- 大連から毎日複数の船が出ている。所要時間は約6時間半。
- 鉄道
出身人物
- 丘長春 (1148-1227、道士)
- 王懿栄 (1845-1900、考古学者)
- ニコラス・ポッペ(1897-1991、言語学者)
- 張瑞敏(1949-、実業家)
- 張紀中(1951-、ドラマプロデューサー)
- 張煒(1956-、小説家)
友好都市
- アンガス, スコットランド
- 別府市, 日本
- 群山市, 大韓民国
- 宮古市, 岩手県、日本
- オレブロ(Örebro), スウェーデン
- プーケット県, タイ王国
- サンディエゴ, アメリカ合衆国
- タウランガ, ニュージーランド
- 蔚山広域市, 大韓民国
- ウラジオストク, ロシア
- 原州市, 大韓民国
関連項目
外部リンク
- 煙台市人民政府(中国語、英語、日本語、韓国語)