瀬棚線
停車場・施設・接続路線(廃止当時) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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瀬棚線(せたなせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線(地方交通線)。北海道渡島支庁(現在の渡島総合振興局)管内の山越郡長万部町の国縫駅で函館本線から分岐し、渡島半島を横断して檜山支庁(現在の檜山振興局)管内の瀬棚郡瀬棚町(現在の久遠郡せたな町)の瀬棚駅に至る路線であった。国鉄再建法の施行により第2次廃止対象路線に指定され、1987年(昭和62年)3月16日に廃止された[1][2][新聞 1]。
路線データ
- 管轄:日本国有鉄道(国鉄)
- 区間(営業キロ):国縫駅 - 瀬棚駅間 48.4 km[1][2][新聞 2]
- 軌間:1,067 mm(狭軌)[1]
- 駅数:11(起点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)[1]
- 閉塞方式:タブレット閉塞式
- 交換可能駅:3(花石・今金・丹羽)[注釈 1]
- 有人駅:瀬棚・北檜山・丹羽・今金・種川・花石
歴史
本線開通以前には、国縫駅と瀬棚町の間に毎日乗合馬車が運行されていた。1918年(大正7年)には毎日1本、午前8時に国縫と瀬棚から出発し、珍古辺と今金で中継した。到着は瀬棚に午後8時、国縫に午後7時で、料金180銭。冬には馬橇を使った[3]。
瀬棚線は軽便鉄道法にもとづいて計画された路線で、1922年(大正11年)の改正鉄道敷設法に記載はない。改正鉄道敷設法には、函館本線八雲駅から分岐して今金に至る鉄道(別表第130号)が規定されていたが、こちらは全く着手されなかった。
1929年(昭和4年)12月13日から1932年(昭和7年)11月1日にかけて全通した。
1980年(昭和55年)12月27日に国鉄再建法が成立すると、第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年(昭和62年)3月16日に全線廃止となった。
年表
- 1929年(昭和4年)12月13日:国有鉄道瀬棚線として、国縫駅 - 花石駅間 (16.6km) が新規開業[2][4][新聞 3]。同区間に茶屋川・美利河・花石の各駅を新設[1][5]。
- 1930年(昭和5年)10月30日:瀬棚線の花石駅 - 今金駅間 (14.0km) が延伸開業[2][4][新聞 4]。同区間に種川・今金の各駅を新設[1][5]。
- 1932年(昭和7年)11月1日:今金駅 - 瀬棚駅間 (17.8km) が延伸開業し、瀬棚線が全通[2][4][新聞 5]。丹羽・東瀬棚・瀬棚の各駅を新設[1][5]。
- 1949年(昭和24年)6月1日:日本国有鉄道法施行に伴い、日本国有鉄道(国鉄)に移管。
- 1956年(昭和31年)12月25日:北住吉駅を新設[1][5]。
- 1957年(昭和32年)10月1日:旅客列車がすべて気動車での運行となる[4]。
- 1961年(昭和36年)
- 1966年(昭和41年)10月1日:東瀬棚駅を北檜山駅に改称[1]。函館駅 - 瀬棚駅間に急行「せたな」を新設[4]。
- 1974年(昭和49年)6月30日:蒸気機関車の運行を終了[6]。長万部駅 - 瀬棚駅間で「SLさよなら」列車を運転(C11 207牽引)[4]。
- 1979年(昭和54年)3月10日:美利河駅が無人化される。
- 1982年(昭和57年)11月22日:第2次特定地方交通線として廃止承認を申請[4]。
- 1983年(昭和58年)9月1日:全線 (48.4km) の貨物営業を廃止[2][4]。
- 1984年(昭和59年)
- 1987年(昭和62年)
運行形態
線内は普通列車のみで、原則的に長万部駅から発着していた。全線を通して運転する列車のほか、終点側の今金駅 - 瀬棚駅間に区間列車が設定されていた。
1966年(昭和41年)10月1日からは、函館駅 - 瀬棚駅間を直通する急行「せたな」が1日1往復運転されていた[4][9]が、1984年(昭和59年)2月1日に快速列車となった(詳細は後身の快速「アイリス」の項を参照)。なお、快速格下げ前時点で「せたな」は瀬棚線内では普通列車として運転していた[9]。長万部駅所属の車掌(旧長万部車掌区・旧函館車掌区長万部支区)が乗務していた。
- 1986年11月1日改正時点(廃止前年)のダイヤ[10]
-
- 長万部駅 - 今金駅間:下り7本・上り6本
- 今金駅 - 瀬棚駅間:下り8本・上り9本
駅一覧
所在地・接続路線の事業者名は廃止時点のもの。全駅北海道に所在。
駅名[1] | 駅間キロ | 営業キロ[1] | 接続路線 | 所在地 | |
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国縫駅 | - | 0.0 | 日本国有鉄道:函館本線 | 渡島支庁[注釈 2] 山越郡長万部町 | |
茶屋川駅 | 5.6 | 5.6 | |||
美利河駅 | 6.6 | 12.2 | 檜山支庁[注釈 2] 瀬棚郡 |
今金町 | |
花石駅 | 4.4 | 16.6 | |||
北住吉駅 | 6.1 | 22.7 | |||
種川駅 | 3.1 | 25.8 | |||
今金駅 | 4.8 | 30.6 | |||
神丘駅 | 3.3 | 33.9 | |||
丹羽駅 | 3.5 | 37.4 | 北檜山町[注釈 3] | ||
北檜山駅 | 5.6 | 43.0 | |||
瀬棚駅 | 5.4 | 48.4 | 瀬棚町[注釈 3] |
廃止後の状況
- 今金駅跡地には、「オランダ通り」という公園が建設された。また付近にJR北海道直営の今金トラベルセンターが設置されたが、2000年頃に廃止された。
- 北檜山駅は、旧駅舎をそのまま生かして函館バス北檜山ターミナルとなった。
- 花石駅 - 北住吉駅間の線路跡には、国道230号のバイパスが建設された。
- 廃止後の鉄道代替バスは、函館バスが瀬棚線として、国・北海道・沿線3町(今金町・長万部町・せたな町)の補助金を受け、上三本杉 - 長万部バスターミナル間を運行している。通学路線としての色合いを強めており、土日祭日・学休日運休の区間便が設定されている。2011年4月現在、全線通しでは7往復が設定され、これとは別に鉄道時代から一部のルートを変更した快速「瀬棚号」1往復(北海道道263号八雲今金線経由)が函館バスセンターまで乗り入れている。この他、通学客向けの区間便として、今金(または今金小学校前) - 桧山北高校前、桧山北高校前 - 北桧山ターミナル発着が設定されている[11][12]。
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 『日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』1号・北海道 27頁
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 『鉄道廃線跡を歩く IV』 205頁
- ↑ 北海道鉄道管理局『北海道鉄道沿線案内』、1918年、38-39頁。荒山正彦監修・解説『シリーズ明治・大正の旅行 第I期 旅行案内書集成』第13巻(北海道旅行案内/樺太の鉄道旅行案内)、ゆまに書房、2014年、60-61頁。
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 176-177頁
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 316-317頁
- ↑ 『カラー世界の鉄道 1975年版』 179頁
- ↑ 『鉄道総合年表1972-93』 84・98頁
- ↑ “さよならに万感の思い 瀬棚線 3月15日でお別れ 『広報いまかね』 339号(昭和62年4月号) (PDF)”. 今金町. 2015年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
- ↑ 9.0 9.1 『日本鉄道旅行歴史地図帳―全線全駅全優等列車―』1号・北海道 38頁
- ↑ 『交通公社の時刻表』1986年12月号 509頁
- ↑ “路線バス時刻表(平成21年4月1日改正)”. 今金町 (2009年4月1日). 2009年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2009閲覧.
- ↑ “函館バス時刻表(平成26年3月15日改正)”. せたな町 (2014年3月15日). 2015年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
新聞記事
- ↑ 1.0 1.1 “「これが最後-」”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1987年3月16日)
- ↑ “瀬棚線 バス転換 正式決定”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1986年2月4日)
- ↑ “鉄道省告示第253号・第254号”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (内閣印刷局). (1929年12月5日). オリジナルの2015年6月20日時点によるアーカイブ。 . 2015閲覧.
- ↑ “鉄道省告示第277号・第278号”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (内閣印刷局). (1930年10月22日). オリジナルの2015年6月20日時点によるアーカイブ。 . 2015閲覧.
- ↑ “鉄道省告示第422号・第423号”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (内閣印刷局). (1932年10月26日). オリジナルの2015年8月16日時点によるアーカイブ。 . 2015閲覧.
参考文献
書籍
- 西尾源太郎(編集) 『カラー世界の鉄道 1975年版』63、山と溪谷社〈山渓カラーガイド〉、1975。ISBN 4-635-02663-9。ISBN 978-4-635-02663-5。
- 池田光雅(編著) 『鉄道総合年表 1972‐93』 中央書院、1993-08、84・98頁。ISBN 4-924420-82-4。ISBN 978-4-924420-82-3。
- 宮脇俊三(編著) 『鉄道廃線跡を歩く IV 実地踏査失われた鉄道60 国鉄廃線区間の変遷史』 JTB〈JTBキャンブックス〉、1997-12。ISBN 4-533-02857-8。ISBN 978-4-533-02857-1。
- 石野哲(編集長) 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』 JTBパブリッシング、1998-09-19。ISBN 4-533-02980-9。ISBN 978-4-533-02980-6。
- 田中和夫(監修) 『写真で見る北海道の鉄道』上巻 国鉄・JR線、北海道新聞社(編集)、2002-07-15、172-177頁・311-319頁。ISBN 4-89453-220-4。ISBN 978-4-89453-220-5。
- 今尾恵介(監修) 『日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』1号・北海道、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2008-05-17。ISBN 4-10-790019-3。ISBN 978-4-10-790019-7。
- 今尾恵介・原武史(監修) 『日本鉄道旅行歴史地図帳―全線全駅全優等列車―』1号・北海道、日本鉄道旅行地図帳編集部(編集)、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2010-05-18。ISBN 4-10-790035-5。ISBN 978-4-10-790035-7。
- 北海道鉄道管理局『北海道鉄道沿線案内』、1918年。荒山正彦監修・解説『シリーズ明治・大正の旅行 第I期 旅行案内書集成』第13巻(北海道旅行案内/樺太の鉄道旅行案内)、ゆまに書房、2014年に収録
雑誌
- 『交通公社の時刻表』1986年12月号、日本交通公社、1986年12月、 509頁。