漢音
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漢音(かんおん)
日本の漢字音の一つ。呉音に次いで,隋唐時代に遣唐使や留学僧などにより日本に伝えられたもの。平安時代には学習・教授すべき正規の音と定められたため,「正音」ともいう。おもに洛陽や長安 (現西安) などの西北方言に基づいている。呉音とのおもな相違は,(1) 呉音では漢語の清濁の対立をとどめている (糟〈ザウ〉,曹〈サウ〉) のに対し,漢音ではすべて清音 (ともに〈サウ〉) である。 (2) 呉音では漢語の/m/,/n/ をマ行,ナ行で取入れている (萬〈マン〉,奴〈ヌ〉) が,漢音ではバ行,ダ行 (〈バン〉,〈ド〉) である。 (3) 漢語の/-t/ が呉音ではチとなることがある (質〈シチ〉) のに対し,漢音ではすべてツ (〈シツ〉) となっていることなどである。