海南駅
海南駅(かいなんえき)は、和歌山県海南市名高にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)紀勢本線(きのくに線)の駅である。事務管コードは▲622088[1]。
海南市の代表駅で、特急「くろしお」を含むすべての定期列車が停車する。
Contents
歴史
日方地域に最初に出来た駅はこの駅ではなく野上軽便鉄道(後の野上電気鉄道)の「日方駅」(ひかたえき)である。「日方駅」は野上軽便鉄道の日方駅から野上駅(後に紀伊野上駅に改称)までの開通と共に1916年(大正5年)に開業した。日方地域に次にできた駅がこの駅で、旧来からの「日方駅」とは場所が違う。
当駅は1924年(大正13年)2月、国鉄・紀勢西線の最初の開通区間として和歌山駅(現在の紀和駅)から東和歌山駅(現在の和歌山駅)を経て箕島駅までが開通したと同時に、紀勢西線の日方町駅(ひかたまちえき)として開業した。「日方駅」は当駅の北東に位置していた。国鉄側からの要請で「日方駅」の構内に当駅への「連絡口」専用のホームが設けられた時期は後のことである。「日方駅」のホームに入る手前で列車はこのホームに停車、国鉄線に乗り換える人が下車した。
「日方町駅」はその後1934年(昭和9年)に海南市が誕生したことを受け、1936年(昭和11年)に「海南駅」(かいなんえき)に改称、1959年(昭和34年)には今の紀勢本線が全通し亀山駅と和歌山駅(現在の紀和駅)の間が紀勢本線とされている。「日方駅」は野上電気鉄道が1994年(平成6年)に全線廃止となり姿を消した。野上電鉄が存続していれば「日方駅」が当駅東口に乗り入れる予定であったが、実現しなかった(海南市海南駅高架関連公文書によるとJR海南駅に対してほぼ直角に日方駅を移設、ただし日方駅は地上に設置)。
← 新宮方面 |
地上時代の日方駅との位置関係(1992年) | → 和歌山方面 |
↓ 登山口方面 | ||
凡例 出典:[2] |
沿革
- 1916年(大正5年)2月4日 - 野上軽便鉄道(後の野上電気鉄道)が日方駅から野上駅(後に紀伊野上駅に改称)まで開通し「日方駅」(ひかたえき)が開業する。
- 1924年(大正13年)2月28日 - 国鉄紀勢西線の「日方町駅」(ひかたまちえき)が日方駅の南西に開業する[3]。
- 1928年(昭和3年)9月10日 - 野上軽便鉄道が野上電気鉄道に社名を変更する。
- 1929年(昭和4年)6月1日 - 京阪電気鉄道和歌山線(後の南海和歌山軌道線)内海駅(後の海南駅前駅)が開業する。
- 1936年(昭和11年)7月1日 - 「日方町駅」が海南駅(かいなんえき)に改称となる。
- 1959年(昭和34年)7月15日 - 亀山駅と和歌山駅(現在の紀和駅)の間が紀勢本線とされる[3]。
- 1971年(昭和46年)1月10日 - 南海和歌山軌道線海南駅前駅 - 和歌浦口駅間廃止。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - ダイヤ改正により特急「くろしお」の一部の列車の停車駅となる。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる[3]。
- 1994年(平成6年)4月1日 - 野上電気鉄道の全線(日方駅から登山口駅)が廃止となり「日方駅」も廃止される。
- 1998年(平成10年)10月10日 - 高架化。
- 1999年(平成11年)3月31日 - 駅レンタカー営業所営業終了[4]。
- 2005年(平成17年)3月1日 - この日行われたダイヤ改正によって海南駅に「くろしお」系統(「オーシャンアロー」2往復を除く)の全列車が停車。
- 2011年(平成23年)3月12日 - この日行われたダイヤ改正によって「オーシャンアロー」と「スーパーくろしお」の運用差し替えにより、速達タイプのオーシャンアローの一部が停車するとともに一部の「スーパーくろしお」が通過となる。
- 2012年(平成24年)
- 2015年(平成27年)
- 2016年(平成28年)3月9日 - セブン-イレブン ハートインJR海南駅改札口店が開業。
駅構造
島式ホーム2面4線の待避設備を有する高架駅である。上り本線が先に高架新線に切り替わり、下り本線の工事完成を待って1998年(平成10年)10月10日に高架駅となった(平成10年10月10日で10並びの日)。駅舎は高架下に位置し近代的である。みどりの窓口が設置されている。駅構内はエスカレータ・エレベータが設置されている。和歌山方面からの折返し列車は配線の都合上1番のりばで折返す。コンコースにコンビニエンスストアー セブン-イレブン ハートインJR海南駅改札口店がある。このセブンイレブンはキヨスク売店を改装増床のうえ2016年3月9日に開店したもので、リニューアルに合わせて旧キヨスク売店横のコインロッカー、飲料水の自動販売機および公衆電話は撤去されている。コインロッカーは2016年4月下旬に西口外壁面に再設置された。なお、飲料水の自動販売機と公衆電話の再設置は行われていないが、自動販売機はICカード対応のものが改札内及び上下プラットホーム上に、公衆電話は西口駅前広場に従来からのものが設置されている。 みどりの窓口の向かいに観光案内所と物産店を兼ねた海南市物産観光センター(愛称かいぶつくん)があり、午前9時から午後6時まで営業している[6]。物産観光センターには無料で利用可能な本棚のほか、テレビモニターも設置されている。構内に食堂などの飲食設備はない。
直営駅であり、和歌山駅(管理駅)傘下の地区駅として地区駅長が配置されている。かつては管理駅として広川ビーチ駅 - 黒江駅間の各駅を管理していた。
万一の急病人発生に備えて自動体外式除細動器(AED)が1台設置されており、全駅係員が迅速かつ適切に対応できるよう講習と訓練を受けている。近年、子供を狙った犯罪から守るため「こども110番の駅」にも指定されている。西口外壁面と改札内にそれぞれトイレが設置されている。
なお、きのくに線でICカードICOCAが使用できるのは和歌山駅から当駅までの区間と「くろしお」の停車駅のみである。
のりば
のりば | 路線 | 行先 |
---|---|---|
1・2 | W きのくに線 | 和歌山・天王寺・新大阪方面 |
3・4 | 御坊・白浜・新宮方面 |
- 上表の路線名は旅客案内上の名称(愛称)で表記している。
- 内側の2線(2番・3番のりば)が本線、外側の2線(1番・4番のりば)が副本線(待避線)であり、通常の停車には2番・3番のりばが使われる。
- 朝ラッシュ時には、当駅始発の新大阪行き特急・天王寺行き快速(和歌山駅までは各駅停車)・和歌山行き普通が設定されている。
- ダイヤ改正毎で状況に変化があるが、御坊方面に特急列車と普通列車の相互接続が設定されたり、早朝の和歌山方面普通列車が当駅始発の特急列車に接続する(本線停車中の普通列車が信号待ちを行い副本線(待避線)停車中の特急列車が先に発車)ことがある。(2015年(平成27年)3月14日改正のダイヤでは御坊方面行きのみ、臨時で特急を先に通す列車の設定があった)
- 和歌山方面行き待避線(1番のりば)及び特急接続がない場合の御坊方面行き待避線(4番のりば)には、線路保守目的を兼ねて普通列車の一部が停車する。
利用状況
海南市中心部のやや東側にあり利用者が多い。JR紀勢本線の和歌山県内の駅としては、和歌山駅に次いで利用者が多い。
年度 | 1日平均 乗車人数 |
---|---|
1998年 | 3,591 |
1999年 | 3,459 |
2000年 | 3,345 |
2001年 | 3,278 |
2002年 | 3,239 |
2003年 | 3,155 |
2004年 | 3,101 |
2005年 | 3,023 |
2006年 | 3,053 |
2007年 | 3,047 |
2008年 | 3,042 |
2009年 | 2,938 |
2010年 | 2,894 |
2011年 | 2,938 |
2012年 | 3,042 |
2013年 | 3,113 |
2014年 | 2,956 |
2015年 | 3,014 |
2016年 | 2,991 |
駅周辺
海南市中心部のやや東側にある。出入口は東西にあり、中心部に近い西口側には駅前広場やバスターミナルが整備されるなど発展している。これは地上駅時代にはこちら側にのみ駅舎が有ったことによる。一方、東口は宅地や小規模農地などが雑然と入り混じり駅前の整備が遅れていたが、近年整備事業が開始され、2012年3月からは駅前広場及び同広場内の市営駐車場の供用が開始されている。また、駅の高架下南側にはJR系列の有料駐輪場が、同高架下北側には月極駐車場が営業中。
東口
- 駅前広場
- 駅前広場に市営駐車場、周辺部に民間駐車場
- 海南市役所(駅より東方約3kmの丘上にある新庁舎に移転、2017年11月6日より一部の部局を除き新庁舎で業務開始)
但し公共交通機関利用の場合は一旦西口を出て海南市コミュニティバス又はタクシー利用となる。
- 松代王子跡
- 菩提房王子跡
- 祓戸王子跡
- 藤白王子社(藤白神社)
- 藤白坂
- 伊勢部柿本神社
但し各王子跡、神社ともに一旦西口を出て観光案内板に従うのが観光上での順路となる。
西口
- 駅前広場
- 駅前広場および同広場北側(日本国有鉄道清算事業団より取得の元海南駅貨物用地)に市営駐車場
- 路線バス及びタクシー乗降場
- 元海南市役所(2017年12月7日現在元庁舎別館に水道局等極一部の部局が残る)
- 海南駅前交番
- 海南医療センター
- 紀陽銀行海南駅前支店
- 温山荘園
- 和歌山県立自然博物館
- 和歌山マリーナシティ
バス路線
その他
- 紀三井寺の観桜など行楽期を中心に紀州路快速が「ぶらり海南」や「紀三井寺桜まいり号」として当駅まで延長運転されることがあった。
- 第1回近畿の駅百選に選定されている。
- 往復特急利用すると48時間の駐車料金が無料になるパーク&ライドを実施中(1日限定15台)。ただし、海南駅にて当駅と天王寺以遠の往復に必要な乗車券類を同時購入し、申告の上、駐車場無料サービス券引き換え券を入手のうえで、乗車当日改札通過前に引き換え券を無料サービス券本券に引き換えた場合に限る(旅行終了後では原則利用(引き換え券の本券への引き換え)できない)。なお白浜、新宮方面及び天王寺までの近距離区間は対象外。又、夏季など1年の内の数日、駐車場をイベント会場とすることから利用出来ない日がある。
- 毎年、2月中旬から3月にかけて、雛人形の大雛壇がおかれる。
- 紀州漆器の職人により製作された漆塗りの駅名板が、駅出入口付近に設置されている。
隣の駅
かつて存在した路線
- 南海電気鉄道
- 和歌山軌道線
- 野上電車前駅 - 海南駅前駅
かつて接続した路線バス・その他
- 和歌山バス
- 和歌山駅東口行(亀川・向陽高校前経由)
- 藤白浜行(日限下経由)(2017年4月1日路線廃止)
- 有田鉄道バス
- 旧花園村行和歌山線(旧花園村へは金屋口での乗り継ぎとなる)
- 定期観光周遊バス(2007年以降運行されず2013年8月3日現在運行再開の予定は発表されていない。)
脚注
- ↑ 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
- ↑ 宮脇俊三・原田勝正 『近畿470駅 (JR・私鉄全線各駅停車)』、pp.132 ,176、小学館、1992年12月、ISBN 978-4093954082
- ↑ 3.0 3.1 3.2 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「sone25
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 『JR時刻表』1999年4月号
- ↑ 地区駅長制度:JR西が導入、来月から4駅 自治体、住民と連携 /和歌山 2012年5月22日配信
- ↑ “海南市物産観光センター(かいぶつくん)/海南市ホームページ”. 海南市. . 2015閲覧.
- ↑ 『和歌山県統計年鑑』及び『和歌山県公共交通機関等資料集』
- ↑ 平成26年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
関連項目
外部リンク
- ■ 紀勢本線(新宮 - 和歌山 - 和歌山市)(きのくに線 : 新宮 - 和歌山 W)
- (亀山方面<<)新宮 - 三輪崎 - 紀伊佐野 - 宇久井 - 那智 - 紀伊天満 - 紀伊勝浦 - 湯川 - 太地 - 下里 - 紀伊浦神 - 紀伊田原 - 古座 - 紀伊姫 - 串本 - 紀伊有田 - 田並 - 田子 - 和深 - 江住 - 見老津 - (双子山信号場) - 周参見 - 紀伊日置 - 椿 - 紀伊富田 - 白浜 - 朝来 - 紀伊新庄 - 紀伊田辺 - 芳養 - 南部 - 岩代 - 切目 - 印南 - 稲原 - 和佐 - 道成寺 - 御坊 - 紀伊内原 - 紀伊由良 - 広川ビーチ - 湯浅 - 藤並 - 紀伊宮原 - 箕島 - 初島 - 下津 - 加茂郷 - 冷水浦 - 海南 - 黒江 - 紀三井寺 - 宮前 - 和歌山(>>天王寺方面) - 紀和 - 和歌山市