浮世絵
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浮世絵(うきよえ)
江戸時代に発達した風俗画の一様式。遊里と芝居町に代表される都市の歓楽境,いわゆる「浮世」に取材し,主要な表現手段として大量生産のできる版画形式を用いた点に特色がある。浮世絵版画技法は,初め万治年間 (1658~61) に菱川師宣が墨摺絵を制作。その後延宝~正徳期 (73~1716) 頃,墨摺絵に筆彩色する丹絵,紅絵が流行,享保~寛保期 (16~44) 頃には漆絵も行われた。次いで延享期 (44~48) 頃,墨摺絵に紅や緑など2~3色の色板を重ねて摺る板摺版画の紅摺絵を工夫。それをさらに発達させて,明和2 (65) 年鈴木春信らが多色摺木版画である錦絵を創始し,浮世絵の黄金時代を迎えた。浮世絵は江戸時代の民衆の生活を主題とし,美人画,役者絵,相撲絵,あぶな絵,春画,歴史画,風景画,花鳥画などに分類される。浮世絵作家としては,菱川師宣,宮川長春,懐月堂安度,鳥居清信,奥村政信,石川豊信,鈴木春信,鳥居清長,喜多川歌麿,東洲斎写楽,一筆斎文調,勝川春章,歌川豊国,国貞,国芳,葛飾北斎,歌川広重などが有名であるが,明治初年の小林清親らを最後としてその芸術的生命を終えた。錦絵はヨーロッパにもたらされて,フランスの印象派の成立に影響を与えた。