泥炭

提供: miniwiki
移動先:案内検索

泥炭(でいたん、英語: Peat)は、状ので、石炭の一種。石炭の中では植物からの炭化度が少ない。石炭と泥の中途半端のような状態のものであると言える。見た目は湿地帯の表層などにある何の変哲のない普通の泥だが、可燃物である。採取して乾かせば燃料として使用できる一方で、山火事の延焼要因ともなる[1]。別名にピート、あるいは草炭そうたんとも呼ばれる。

概要

蓄積する条件

主に気温の低い涼しい気候の沼地で、植物の遺骸が十分分解されずに堆積して、濃縮されただけの状態で形成される。泥炭が蓄積した湿地帯を泥炭地と呼び、、日本では主に北海道地方を中心に北日本に多く分布する。泥炭は寒暖の差に関係なく形成され、熱帯地域では木質遺骸によって(トロピカルピートと呼ばれている)形成される場合も少なくない。いずれも植物遺骸など有機物の堆積する速度が、堆積した場所にいる微生物などが有機物を分解する速度を上回った時に泥炭が形成される。泥炭は石炭の成長過程の最初の段階にあると考えられている。また、炭化が十分に進んでないせいか植物の遺骸がそのまま残っていることが多いので、石炭と違って長い年月をかけておらず、蓄積してから数年程度しか経ってないことを確認できる。総じて、泥炭は炭化の過程がかなり短く、少ない時間でできる為、単純な条件下でできる。世界中に大量に埋蔵されており、無くなる事がまず無いと言える。

主な用途

炭素の含有率が低く(不純物が多く)、含水量も多い質の悪い燃料である。このため、日本では工業用燃料としての需要は少ないが、第二次世界大戦末期には貴重な燃料として使われた。またスコットランドではスコッチ・ウイスキーの製造で大麦を発芽させて麦芽にした後、麦芽の成長を止めるために乾燥させる際の燃料として、香り付けを兼ねて使用される。この時つく香気をピート香と言う。ただし、泥炭だけで乾燥を行うことは少なく、他の燃料も併用することが多い。現在、日本ではニッカウヰスキーなどの会社が自社用のために石狩平野で採掘を行っているほか、工業用脱臭剤などの理由で個人で小規模な採掘が行われていることが多い。

このほか、繊維質を保ち、保水性や通気性に富むので、園芸では腐植土として培養土に混入し、土質を改善させるために肥料として重宝される。泥炭中の微生物が有機酸を生成するために酸性であるので、アルカリ土壌を好む植物に使用する場合は石灰などで中和する必要があるが、逆にアルカリ土壌を中和させるためにそのまま使われることもある。また泥炭をプレスして播種、育苗用の植木鉢としたものもあり、これは時間が経つと土と同化するので、植物を抜かずにそのまま植え替えることができる。

泥炭はわずかな荷重で圧縮されるため、泥炭地は地盤として流砂並みに軟弱である。建築のみならず道路などの敷設においても大きな問題と見なされ、十分な基礎工事が必要となる。

近年は火力発電のエネルギー源として主に北欧などで大規模に利用されている。たとえばフィンランド一国の泥炭埋蔵量は北海油田の埋蔵量の2倍に匹敵し[2]、泥炭発電は同国のエネルギー消費の7%を賄っている[3]

火災の危険性

泥炭地は土そのものが可燃物であるため、落雷放火などの人為的・自然的な発火を問わず、一旦火がつけばすぐに延焼が発生し、長期にわたり大きく燃え上がる。このため、早期消火が非常に困難な事態になる。現在でも東南アジアなどの泥炭地が多くある場所ではしばしば泥炭による火災が発生し、煙害や、温暖化ガスである二酸化炭素排出、資源浪費の面から大きな問題となっている。

インドネシアではプランテーション開発のため熱帯林を伐採したうえで、その下にある泥炭湿地に溝を掘って水を抜き、二酸化炭素排出量と森林火災のリスクを増やしている問題が指摘されている。このためインドネシア政府は2016年に「泥炭復興庁」を設置した[4][5]

ギャラリー

脚注

  1. 宇宙開発利用/森林火災の検知と抑制文部科学省(2018年8月1日閲覧)。
  2. "The leading supplier of peat"(2007年3月12日時点のアーカイブ)、VAPO社(英語)
  3. "再生エネルギーと泥炭"(2006年8月18日時点のアーカイブ)、フィンランド通産省(英語)
  4. 京都大学、人間文化研究機構、およびインドネシア共和国泥炭復興庁による共同声明を発表しました。 京都大学(2016年4月25日)2018年8月1日閲覧。
  5. 【科学の扉】温暖化の脅威 地中にも『朝日新聞』朝刊2018年7月30日(2018年8月1日閲覧)。

関連項目

テンプレート:Earth-sci-stub