河東泰之
河東 泰之(かわひがし やすゆき、1962年 - )は数学者。東京大学大学院数理科学研究科教授。専門は作用素環論。
略歴
麻布高等学校卒(1981年)。東京大学理学部数学科卒(1985年)。同大学院修士課程修了(1987年)。理学博士(東京大学)取得(1990年)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校博士号 (Ph.D) 取得(1989年)。東京大学理学部助手、同講師、同助教授を経て現職。2014年度は東大で、教養自然科学委員会委員、教養総合的教育改革実施特別委員会委員、教養総合科目運営委員会委員、全学カリキュラム改革部会委員を務めている。
人物
父親は石油会社勤務、母親は公文教室の先生という家庭環境で育つ[1]。本人も小学6年生時から中学1年生時にかけて公文を学習していた。また娘も公文を学習していたということで、三代続く公文一家である。小学校入学前に四則計算、小学6年生時には微分・積分の計算もできた。学校では浮いている方で、中学・高校時代の友達との会話も考えも多少ずれていると自覚はしていたが、悩むことはなかった。大学に入学してからはソフトウエアの本を何冊も書くようになり、その中の一冊が売れて、本の印税で学生生活をしていた。カリフォルニア大学ロサンゼルス校での指導教官は富田・竹崎理論の竹崎正道[2]。弟子に現在日本の作用素環論をリードする小沢登高、元同僚に作用素環論の研究者の泉正己[3]、麻布中学校・高等学校の同級生にコール賞受賞者の中島啓、麻布高校の5年後輩で現在の同僚に数学者の辻雄がいる。
エピソード
- 中学時代に東大生に数学を教えていた。
- フィールズ賞受賞者の前で発表して、自分の発表に意味がないと言われたので、反論をしてフィールズ賞受賞者を謝らせた。
- 自分が受け持つ大学生・院生用のセミナーのスタイルは厳しく、時間厳守や原稿を見ないで話せることを要求している。
- 妻におつかいを頼まれたが、電池や電球の買い方が分からなかった。
- 中学時代、東大の数学の自主セミナーに参加していた。
- 受験生時代は旺文社模試偏差値96をとり、麻布史上最高の天才といわれた。しかしTOEFLの点数は553点で留学の許可が下りる最低の点数に近かった。(大学院留学では550点以上必要)
- 博士論文はフランスで書いてアメリカに郵送した。本来は博士論文の発表審査会をやるはずだったが、フランスにいるからアメリカに行けないと言い張り、例外的に免除してもらった。
- 中学時代に東大数学科の図書館に入り浸っていた。
- 東大生と実際に接してみて、東大生もこんなもんかと思った[4]。
業績
最大の業績[5]は2004年にイタリアのRoberto Longoと共著で書いた「Classification of local conformal nets. Case c< 1」である。中心電荷が1未満という限定された条件で、Longo と共に分類理論を完成させた。
受賞歴
- 2000年 - 第1回作用素環賞受賞
- 2002年 - 日本数学会賞春季賞受賞