水間鉄道
水間鉄道株式会社(みずまてつどう)は、大阪府貝塚市を中心に鉄道事業およびバス事業を運営している会社である。本社所在地は大阪府貝塚市。一般に、同社のバス事業については、「水鉄バス」という呼称がある。東証1部上場企業である株式会社グルメ杵屋の完全子会社。
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概要
水間観音への参詣鉄道として小規模ながらも堅実な経営を続けていたが、バブル期に沿線外での不動産事業を積極的に展開、最盛期には約20億円の売上を計上していた。しかし、バブル崩壊後は不動産事業が不振に陥り、そのための多額の借り入れが経営を圧迫。さらに、主たる利用者であった通学客も少子化などによって減少したことから自主再建を断念し、2005年4月30日に大阪地方裁判所へ会社更生法の適用を申請した。同年6月30日に外食チェーンのグルメ杵屋が支援企業に決定した後は同社傘下で再建が進み、2006年6月16日に会社更生計画が終結し、新生会社として再出発した。また、タクシー事業(水鉄タクシー株式会社)については、グルメ杵屋ではなく、岸交グループ(岸和田交通)入りし岸交グループ水鉄タクシーとなっている。
南海電気鉄道との結び付きが強く、かつては筆頭株主だった。ただし、南海の傘下およびグループ企業とはならず経営破綻するまで独立系のままだった。水間線では1990年まで南海から譲渡された車両を使用していた。また貝塚駅の自動改札機は、南海で1980年代に使用していたものを転用していたこともあった。
これまで、水間線やバスでは、カード式の乗車券は利用できなかったが、2007年6月よりスルッとKANSAIに加盟しており、第7回バスまつりから参加してバス車両を出展している[1]。その後、水間線は中間駅がすべて無人駅であることから、精算機を電車内とバス車内に設置することで、2009年6月1日よりPiTaPa・ICOCAが利用可能になった(コミュニティバス「は〜もに〜ばす」は除く)[2][3]。さらに、2013年3月23日より交通系ICカード全国相互利用に対応しているすべてのカードが利用可能なった。「は〜もに〜ばす」についても、2015年11月15日よりICカードが利用可能となり、運営しているすべての路線でICカード対応が完了している[4]。
歴史
- 1924年(大正13年)4月17日 設立。
- 1925年(大正14年)12月24日 水間線開業。
- 1950年(昭和25年)12月8日 バス営業開始。
- 1990年(平成2年)8月 バス熊取・粉河線運行開始。
- 2003年(平成15年)9月1日 貸切バス事業を株式会社ミズマ(現:日本観光)に譲渡。
- 2005年(平成17年)4月30日 大阪地方裁判所に会社更生法の適用を申請、経営破綻。
- 2006年(平成18年)1月1日 バス熊取・粉河線の運行から撤退。
- 2006年(平成18年)4月6日 グルメ杵屋の完全子会社となる。
- 2006年(平成18年)6月16日 大阪地方裁判所より会社更生計画終結の決定を受け、会社更生手続きが完了。
- 2007年(平成19年)2月1日 小型バス6台にて貸切バス事業を再開。
- 2009年(平成21年)6月1日 PiTaPaを導入[2][3](コミュニティバス「は〜もに〜ばす」は2015年11月15日導入[4])。
- 2013年(平成25年)3月23日 交通系ICカード全国相互利用開始に伴い、Suica・PASMOなど8種類のカードにも対応。
- 2015年(平成27年)12月17日 三ツ松駅付近で2013年8月27日に発生した踏切事故で、不作動の遮断機があったのに放置していたとして、助役や運転士らを書類送検[5]。
- 2017年(平成29年) 弘南鉄道とコラボレーションを実施。
鉄道事業
路線
水間線は、全線単線で交換駅は名越駅のみ。ほとんどの列車がこの駅で交換する。車庫は水間観音駅に隣接。
このほか、途中の清児(せちご)駅から分岐して、和泉山脈を超えて和歌山県粉河町(現紀の川市)まで連絡する線路を建設する計画を持っていたが、すでに計画は消滅しており、路線建設用に買収していた土地のなかには住宅地になった場所もある。「幻の分岐延長計画」を参照のこと。
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日現在[6][7]。
キロ程 | 運賃(円) |
---|---|
初乗り1.5 km | 170 |
1.6 - 3.0 | 220 |
3.1 - 4.5 | 270 |
4.6 - 5.5 | 290 |
車両
- 1000形電車: 主力車両
バス事業
2006年8月28日から一般路線バスを「コスモスライナー」の名称で、黄・ピンク・ライトグリーンの単色にMIZUMAというロゴと貝塚市の花であるコスモスをあしらったカラフルなバスで運行している。バリアフリー対応のワンステップバスで、車種はいすゞ・エルガミオである。
同社で使用していた中古車両は九州産交バスや因の島運輸に転出している。
運賃
全線最低運賃は160円、以降乗車距離に応じて加算される対キロ制である(2014年4月1日現在)。
- 南海貝塚駅東口 - 貝塚駅下り 160円
- 南海貝塚駅東口 - 市民の森 240円
- 南海貝塚駅東口 - 人工島内 320円
乗車時に中扉から乗り、右にある整理券発券機から整理券を取って降車時に前方に掲示されている次停表示機の下段に表示された整理券番号に応じた運賃を支払う。整理券にはバーコードが印刷されているので降車時運賃投入前に整理券を投入する。ICカードは乗車・降車時にカード読み取り機にカードを触れさせる。なお、整理券は始発停留所から発行される。運賃箱は両替方式なので、予め小銭の用意をするか停車中に両替をしておく必要がある。
公式サイトでは南海貝塚駅東口 - ふれあい運動広場南までの運賃を記しているが、実際には始発地の南海貝塚駅東口から人工島内を通って再び戻ることも可能で、その場合の運賃は160円となる。
運行系統
下記の2路線に大別される。二色海浜緑地公園線がメインで毎日運行。蕎原線は休日ダイヤ設定日のみに運行される。当節では主に二色海浜緑地公園線について触れる。
蕎原線
- 4番 水間観音駅 - 蕎原(そぶら)
- 土休日のみ運行。平日は同じ経路で「は〜もに〜ばす」が運行される。
二色海浜緑地公園線
- 6番 南海貝塚駅東口 → 海浜緑地・国華園前 → 三洋電機正門前 → 明治関西工場前 → 商工会議所南 → ふれあい運動広場南(9番に続行)
- 南海貝塚駅東口乗り場から臨海部にあるアジュール二色団地等を擁す二色地区(パークタウン)を経由し、二色大橋を渡って人工島にある二色の浜公園海浜緑地来園者や大型園芸スーパーである国華園への来店者および島内にある工場の通勤客輸送が主体。平日はほぼ終日、土休日は朝夕以降に運行する。人工島内にあるすべての停留所に立ち寄るので基本系統とみなされる。尚、22時以降に南海貝塚駅東口を発車する便はふれあい運動広場南で打ち切りとなり、回送となる。
- 7番 南海貝塚駅東口 → 海浜緑地・国華園前 → 三洋電機正門前(10番に続行)
- 6番の明治関西工場前・商工会議所南・ふれあい運動広場南経由を省いたもの。平日にのみ運行される。
- 8番 南海貝塚駅東口 → 海浜緑地・国華園前 → 明治関西工場前 → 商工会議所南 → ふれあい運動広場南(9番に続行)
- 6番の三洋電機北門前・三洋電機正門前経由を省いたもの。平日の22時以降、土・休日の昼間に運行。
- 9番 ふれあい運動広場南 → 市民の森 → 合同宿舎前 → 貝塚駅下り → 南海貝塚駅東口(6番・8番の復路)
- 10番 三洋電機正門前 → 市民の森 → 合同宿舎前 → 貝塚駅下り → 南海貝塚駅東口(7番の復路)
いずれの系統も南海貝塚駅東口- 貝塚駅下り・合同宿舎前・二色アジュール前・五中前・二色住宅・市民の森間を往復する。
上記のように行先番号が付与されているが、実際はバスの前方、側面の表示器には番号表示はなされず、「二色海浜緑地公園行」「貝塚駅東口バスターミナル行」と単に行先のみが記されている(側面の表示には経由地が示される)。
毎年7月の海の日直前の土曜・日曜日に行われる感田神社夏祭り(ふとん太鼓)期間中およびふとん太鼓の試験担ぎの行われる日は、一部の時間帯で合同宿舎前 - 南海貝塚駅東口間で迂回運行され、貝塚駅下り停留所は休止となる。また、毎年10月第2土曜・日曜日に行われるだんじり祭りの期間中およびだんじり試験曳きの行われる時間帯は南海貝塚駅東口停留所ではなく西口のかつてあったバス停留所の位置から発着する。
休止中の系統
いずれも、2011年12月1日 - 2014年6月30日の間「は〜もに〜ばす」実証運行に伴い運行を休止している。
- 1番 水間駅前 → 和泉橋本駅(三ツ松住宅経由)
- 2番 和泉橋本駅 → 水間駅前(貝塚サンヨー前経由)
- 3番 和泉橋本駅 → 貝塚サンヨー前 → 橋本団地 → 和泉橋本駅(橋本団地経由)
廃止・撤退系統
- 5番 貝塚駅東口 - 久保住宅前 …(2006年10月1日廃止)
- 6番 貝塚駅東口 - 七山(王子口経由)…(2006年10月1日廃止)
- 7番 貝塚駅東口 - 七山(王子経由)…(2006年10月1日廃止)
上記の系統の経由地は、「は〜もに〜ばす」が経由している。
- 8番 貝塚駅東口 - 蕎原
- 熊取・粉河線(熊取駅前 - 粉河駅前)…南海ウイングバス南部・和歌山バス那賀と共同運行(2006年1月1日撤退)
コミュニティバス
貝塚市からコミュニティバス「は〜もに〜ばす」の運行を受託している。水間鉄道やバスがPiTaPaに対応した後も利用はできなかったが、前記の通り2015年11月15日よりICカードが使用可能になった[4]。
脚注
- ↑ “「第7回スルッとKANSAIバスまつり」の詳細が決まりました (PDF)”. 2008年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2007/08/28閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 水間鉄道、「ピタパ」電車内OK バス型の精算機導入 NIKKEI NET 2008年8月19日
- ↑ 3.0 3.1 いよいよ水間鉄道にPiTaPaが導入されます! (PDF) 水間鉄道 2009年5月14日
- ↑ 4.0 4.1 4.2 水間鉄道公式サイト、2015年11月23日閲覧による。
- ↑ 水間鉄道助役らを書類送検、踏切事故で安全対策怠った疑い 大阪府警 産経新聞 2015年12月17日
- ↑ 消費税率引上げに伴う旅客運賃の改定申請(鉄道・バス)について (PDF) - 水間鉄道、2014年1月24日
- ↑ 運賃 - 水間鉄道、2014年4月5日閲覧