民衆扇動罪

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民衆扇動罪(みんしゅうせんどうざい、: Volksverhetzung)とは、ドイツ刑法典130条に定められている罪。特定の人々に対する憎悪を煽動したり尊厳を傷つける行為をした者に適用される。1990年代ホロコースト否認が、2005年には、ドイツ再統一後に多発したネオナチの示威行為やホロコースト記念碑建設反対運動に関連して、アドルフ・ヒトラーナチス・ドイツを礼讃・讃美する言動(ナチスの意匠や出版物等を流布するなど)が適用対象に加えられた。

概要

ドイツにおいては過去、ナチスが民主主義的手段によって全権掌握を果たしたことを反省し、民主主義を否定することを認めない民主主義(戦う民主主義)を理念の一つとしてきた。その流れの中で民主主義の否定やヘイトスピーチと認められる言動に対してドイツ人・非ドイツ人問わず刑事罰を課す罪状が民衆扇動罪である。この法律に違反した場合、最長5年の禁固に科せられる。2011年2月にはオンケル&オンケル社のカードゲーム「指導者カルテット」で、一部が隠されたハーケンクロイツ、ヒトラーの顔が使われている事が問題になり、ゲームは発売禁止になった。アルファベットのA、H、S、数字の1、8、19を濫用するのもタブーとなっている(それぞれアドルフ、ヒトラー、親衛隊ジークハイルの頭文字及び暗喩になる)。

日本においては木戸衛一大阪大学大学院国際公共政策研究科教員)が、アジア記者クラブに寄稿した「ドイツの『民衆扇動罪』『在特会』が跋扈する日本で考える」において、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の活動を人種差別的であるとして、「『民衆扇動罪』のような歯止めが必要だ」と主張している。

関連項目

外部リンク