標的艦
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標的艦(ひょうてきかん)は海軍の艦種の一つである。名前のとおり、爆撃訓練や砲撃訓練、新型砲弾・ミサイルの実験などで標的として使うことを目的とする軍艦である。(分類上は艦船とされる場合も多くあいまいである。詳しくは軍艦の項目を参照。)標的艦は実艦的とも呼ばれる。
廃艦(廃船)となった艦船の船体をそのまま実弾の標的として処分することもよくある。すでに艦船ではなく単なる標的なので艦と呼ぶのは不適切な表現だが、こちらもしばしば標的艦と呼ばれる。
標的艦
日本海軍
1923年(大正12年)9月29日、特務艦の1類別として制定され、10月1日に「摂津」が編入される。当初は標的を曳航するだけで実際の標的艦としては使用されなかった。昭和に入り無線操縦技術が実用化され「摂津」は1937年(昭和12年)に無線操縦の標的艦に改装された。後年には乗員が乗りこみ爆撃回避の訓練にも使われた。その後に爆撃訓練の機会も増え、「摂津」では速力も遅く運動能力も高くなかったので、「矢風」が標的艦に改造され、更に専用の艦が建造されることとなった。
- 摂津 - 旧式となった戦艦から改造。本艦はさらに無線操縦爆撃標的艦(ラジコン標的艦)に改造。
- 矢風 - 摂津の操縦艦をしていたが後に自身も標的艦に改造。
- 波勝 - 戦時急造計画で建造。初めから標的艦として造られた艦。
- 大浜 - 戦時急造艦。
- 大指 - 大浜の同型艦、未成。
アメリカ海軍
- アイオワ - 無線操縦標的艦に改造。パナマ湾での演習時に沈没した。
- Stoddert - 無線操縦標的艦に改造。
- ユタ - 無線操縦標的艦に改造。真珠湾攻撃で魚雷を受けて沈没した。
- Lamberton - 無線操縦標的艦に改造。
- Boggs - 無線操縦標的艦に改造。
- Kilty - 無線操縦標的艦に改造。
ドイツ海軍
- ヘッセン (戦艦) - ブラウンシュヴァイク級の一隻を無線操縦のラジコン艦に改装した。
標的
標的として処分された例。
- 肥前 - ロシア帝国海軍の戦艦レトヴィザンを接収、後に改造。1924年7月25日豊後水道で標的として撃沈処分。
- 壱岐 - ロシア帝国海軍の戦艦インペラートル・ニコライ1世。1915年10月3日、伊勢湾外で、巡洋戦艦金剛、比叡 の36 cm主砲の標的として撃沈処分。
- 石見 - ロシア帝国海軍の戦艦アリヨール。1924年7月10日、横須賀及び三浦半島城ヶ崎西方で爆撃実験の標的として撃沈処分。
- 長門 - 太平洋戦争後の1946年、アメリカ軍によって原爆の水中爆発実験の標的になり、2回の核爆発に耐え4日間その姿を留めたが、4日後の7月29日未明に沈没。
- 響 - 太平洋戦争後の1947年、戦時賠償艦としてソ連に渡り、ヴェールヌイとなる。1970年代にウラジオストク沖にて標的として撃沈処分。
参考文献
- 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第13巻 小艦艇I』(光人社、1990年) ISBN 4-7698-0463-6
- 中川努「日本海軍特務艦船史」
- 『世界の艦船 増刊第47集』(海人社、1997年3月号増刊、第522集)
関連項目
出典
外部リンク
- "Robot Warships" Popular Mechanics, July 1934, pp. 72-75 conversion of the Boggs to a radio controlled target ship