椿駅
椿駅(つばきえき)は、和歌山県西牟婁郡白浜町椿にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)紀勢本線(きのくに線)の駅。
椿温泉の玄関口ではあるが、その温泉街の中心部とはかなり離れており、ひっそりとした場所に位置する。
歴史
この駅は1935年(昭和10年)3月、国鉄紀勢西線の紀伊富田駅から当駅までの開通とともに、終着駅の紀伊椿駅(きいつばきえき)として開業した。椿駅を最初から名乗れなかったのは、当時の五能線にすでに椿駅が存在していたからである。開業のわずか1年後の1936年(昭和11年)10月に、国鉄紀勢西線は当駅から周参見駅まで延伸となり、当駅は終着駅でなくなった。
その後当駅は1959年(昭和34年)、今の紀勢本線が全通し亀山駅と和歌山駅(現在の紀和駅)の間が紀勢本線となったのを受けて国鉄紀勢本線の駅となり、さらに国鉄の分割民営化を経て現在に至っている。
なお駅名は、五能線において1964年(昭和39年)10月1日に八森駅が東八森駅と改称され、同年11月1日に椿駅が八森駅に改称されたのを受け、1965年(昭和40年)3月1日椿駅へ改称となった。同じ日には白浜口駅が白浜駅に、紀伊湯浅駅が湯浅駅に改称されている。
年表
- 1935年(昭和10年)3月29日 - 国鉄紀勢西線の紀伊椿駅(きいつばきえき)として開業[1]。
- 1936年(昭和11年)10月30日 - 国鉄紀勢西線が当駅から周参見駅まで延伸[1]。
- 1959年(昭和34年)7月15日 - 亀山駅と和歌山駅(現在の紀和駅)との間が紀勢本線とされ、当駅もその所属となる[1]。
- 1965年(昭和40年)3月1日 - 椿駅に改称。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 無人駅化(簡易委託駅化)[2]。一部の特急「くろしお」が停車を開始。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継[1]。
- 2003年(平成15年)11月1日 - 簡易委託解除、完全な無人駅となる。
- 2015年 (平成27年) 3月14日 - 特急「くろしお」の停車駅から外れる。
駅構造
単式ホーム・島式ホーム複合型の2面2線を有する、行違い可能な地上駅。かつては2面3線のホームであったが、現在は3番線の和歌山方のポイントと場内・出発信号機・架線が取り外され保線車両の材料線となっている。単式ホームから階段を下りたところに駅舎が置かれる。ホーム間の連絡は跨線橋による。1番のりばは若干幅が狭い。
古くから駅舎は木造瓦葺で、内部の待合所には出札窓口が残る。駅舎の「椿駅」の看板にはツバキの花の絵がかかれており、駅舎の周りにもツバキの木が植えられている。また、待合所には山形県西置賜郡飯豊町にある東日本旅客鉄道(JR東日本)米坂線の羽前椿駅の写真が飾られている。
2003年11月1日から無人駅(現在は紀伊田辺駅管理)となっているため、駅員はいない。それまでは簡易委託駅であり、駅舎の中の出札口で切符を販売していた。
国鉄時代には急行が停車し、当駅を起終点とする急行列車もあった。2015年3月13日までは特急列車が1日1往復停車していたが、翌14日のダイヤ改正により、特急の停車は取りやめられ[3]、以降は普通列車のみの停車となっている。なお、2011年3月11日までは特急は1日2往復停車していた。
のりば
のりば | 路線 | 行先 |
---|---|---|
1 | W きのくに線 | 白浜・和歌山方面 |
2 | 串本・紀伊勝浦・新宮方面 |
上表の路線名は旅客案内上の名称(愛称)で表記している。1番のりばは下り本線、2番のりばは上り本線。
利用状況
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1998年 | 78 |
1999年 | 68 |
2000年 | 58 |
2001年 | 49 |
2002年 | 33 |
2003年 | 31 |
2004年 | 28 |
2005年 | 31 |
2006年 | 31 |
2007年 | 36 |
2008年 | 37 |
2009年 | 38 |
2010年 | 40 |
2011年 | 38 |
2012年 | 38 |
2013年 | 32 |
2014年 | 29 |
2015年 | 27 |
2016年 | 20 |
駅周辺
この駅は、椿温泉で知られる椿集落の入口であるが、その中心部からはかなり離れている。海岸線沿いにある椿温泉からは当駅は内陸に位置するため、山中にひっそりと佇む駅といった風情である。椿地区の中心地にはバスなどの交通手段があるが、この駅の周辺には手つかずの山林が広がるのみで、駅はいたって寂しい場所にある。
駅前には朝来帰川(あさらぎがわ)が流れており、それに沿って椿の中心部たる朝来帰(あさらぎ)の集落まで、県道215号が伸びている。その道を駅からしばらく行くと、小規模な集落である朝来帰にたどりつく。そこから海岸線沿いの国道42号をさらにもう少し昇ると、ようやくホテルやリゾートマンション・釣具屋などがある椿温泉の温泉街にたどり付くことができる。
このように、駅から温泉まではかなり離れているため、駅前には旅行客が自由に使ってよい貸し自転車が置かれている。またこのため、観光客はホテルなどへの移動手段として、送迎バスを電話で呼んで駅まで来てもらうようになっている。
- 白浜町立椿小学校
- 白浜町役場椿出張所
- 椿郵便局
隣の駅
脚注
関連項目
外部リンク
- 椿駅(各駅情報) - 西日本旅客鉄道
- ■ 紀勢本線(新宮 - 和歌山 - 和歌山市)(きのくに線 : 新宮 - 和歌山 W)
- (亀山方面<<)新宮 - 三輪崎 - 紀伊佐野 - 宇久井 - 那智 - 紀伊天満 - 紀伊勝浦 - 湯川 - 太地 - 下里 - 紀伊浦神 - 紀伊田原 - 古座 - 紀伊姫 - 串本 - 紀伊有田 - 田並 - 田子 - 和深 - 江住 - 見老津 - (双子山信号場) - 周参見 - 紀伊日置 - 椿 - 紀伊富田 - 白浜 - 朝来 - 紀伊新庄 - 紀伊田辺 - 芳養 - 南部 - 岩代 - 切目 - 印南 - 稲原 - 和佐 - 道成寺 - 御坊 - 紀伊内原 - 紀伊由良 - 広川ビーチ - 湯浅 - 藤並 - 紀伊宮原 - 箕島 - 初島 - 下津 - 加茂郷 - 冷水浦 - 海南 - 黒江 - 紀三井寺 - 宮前 - 和歌山(>>天王寺方面) - 紀和 - 和歌山市