椎名麟三
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椎名 麟三(しいな りんぞう、1911年10月1日 - 1973年3月28日)
小説家。本名,大坪昇。職業を転々とする下積みの青春時代を過した。敗戦後の現実を背景に人間存在や思想の意味を懐疑し,現代における生の可能性を問うという実存的なテーマの『深夜の酒宴』 (1947) ,『重き流れのなかに』 (47) でたちまち戦後派文学の代表作家と目された。死からの解放,極貧層との連帯感から生の肯定を主題とした『永遠なる序章』 (48) へと進み,キリスト教への接近を深めながら,『自由の彼方で』 (53~54) ,『美しい女』 (55) などの自伝的長編では平凡愚劣な現実を全体として強く肯定する態度を貫いて新境地を開いた。ほかに小説『深尾正治の手記』 (48) ,『罠と毒』 (60) ,戯曲『タンタロスの踊り』 (56) ,『蠍 (さそり) を飼う女』 (60) など。