松本幸四郎 (10代目)
じゅうだいめ まつもと こうしろう 十代目 松本幸四郎 | |
屋号 | 高麗屋 |
---|---|
定紋 | 四つ花菱 50px |
生年月日 | 1973年1月8日(52歳) |
本名 | 藤間 照薫(ふじま てるまさ) |
襲名歴 | 1. 三代目松本金太郎 2. 七代目市川染五郎 3. 十代目松本幸四郎 |
別名 | 松本錦升(舞踊) |
出身地 | 東京 |
十代目 松本 幸四郎(じゅうだいめ まつもと こうしろう、1973年(昭和48年)1月8日 - )は、日本の歌舞伎役者。歌舞伎名跡「松本幸四郎」の当代。屋号は高麗屋。定紋は四つ花菱、替紋は浮線蝶。
日本舞踊松本流の三世家元としての名取は松本 錦升(まつもと きんしょう)。本名は藤間 照薫(ふじま てるまさ)。
Contents
概要
豊かな演技力で古典から復活狂言、新作歌舞伎まで挑戦し、二枚目から実悪、色悪、女方までつとめる。また、『アマデウス』や劇団☆新感線の舞台など、歌舞伎以外の演劇でも幅広い活躍を見せ、テレビ俳優としても知られる。
2008年(平成20年)には江戸川乱歩の推理小説『人間豹』の歌舞伎化を企画。父・九代琴松(=九代目幸四郎)演出のもとで『江戸宵闇妖鉤爪(えどの やみ あやしの かぎつめ)』を国立劇場で上演した。原作の時代背景である昭和初期の東京を幕末の江戸に置き換えたこの新作歌舞伎で、染五郎は神谷芳之助と「人間豹」こと恩田乱学の二役を演じた。隠密廻り同心・明智小五郎は父・九代目幸四郎が演じている。
若手の歌舞伎役者を中心とした草野球チームを結成しており、染五郎は投手を務めている。このチームのメンバーには染五郎のほか、二代目中村獅童、十一代目市川海老蔵、二代目尾上松也などが名を連ねている。
1997年、18歳のときに交際していた6歳年上の元女優との間に、女子をもうけていたことが発覚した。記者会見で、すでに認知していると明かした。
2003年に、高校時代からの友人である関園子と結婚した。2005年に長男の齋(いつき)、2007年には長女の薫子(かおるこ)が生まれている。2009年に長男・齋は四代目松本金太郎を襲名して歌舞伎座で初舞台を踏み、2012年には長女・薫子が芸名・松田美瑠(まつだ みる)として舞踊の初舞台を踏んだ。
なお、美瑠の初舞台の公演(日本舞踊松本流「第十回松鸚会」宗家松本幸四郎古希記念舞踊公演、東京・国立劇場大劇場、2012年8月)で、舞踊劇に出演中の染五郎が舞台の迫(せり)から奈落に転落し、右手首複雑骨折などの大けがを負った。この負傷により、しばらく休業を余儀なくされたが、同年10月には復帰会見を行い[1]、翌2013年2月に日生劇場で行われた2月公演で歌舞伎舞台に復帰した[2]。
2016年12月、2018年1月に父が二代目松本白鸚を襲名することに伴い、自らも松本幸四郎を十代目として襲名し、同時に長男に染五郎の名を譲ることを発表した[3]。
2018年1月2日、高麗屋三代襲名披露公演『壽 初春大歌舞伎』(歌舞伎座)初日にて、十代目松本幸四郎を襲名した[4]。
年譜
- 1973年1月 - 六代目市川染五郎(当時の芸名)の長男として東京都に生まれる。姉は松本紀保、妹は松たか子。
- 1978年12月 - 父が主演したNHK大河ドラマ 『黄金の日日』の最終回に子役で出演。
- 1979年3月 - 歌舞伎座 『侠客春雨傘』で三代目松本金太郎を襲名して初舞台。
- 1981年10月 - 歌舞伎座 『仮名手本忠臣蔵』七段目の大星力弥ほかで七代目市川染五郎を襲名。
- 1991年 - 暁星高等学校卒業後國學院大學文学部日本文学科入学(のち中退)。
- 1997年 - 18歳のとき交際していた6歳年上の女性との間に、女子をもうけていたことが発覚(認知済み)。
- 2003年11月 - 高校時代からの友人・関園子と結婚。
- 2005年3月 - 長男・藤間齋(ふじま いつき)誕生。
- 2007年2月 - 長女・藤間薫子(ふじま かおるこ)誕生。
- 2007年6月 - 歌舞伎座『侠客春雨傘』で藤間齋が初お目見え。父・九代目幸四郎と共に高麗屋三代の顔見世。
- 2009年6月 - 歌舞伎座『門出祝寿連獅子』で齋が四代目松本金太郎を襲名して初舞台。
- 2012年8月27日 - 国立劇場『第十回松鸚会 宗家松本幸四郎古希記念舞踊公演』にて、長女・薫子が芸名・松田美瑠(まつだ みる)としてデビューした。この舞台での共演の途中、染五郎が舞台の迫から奈落に転落し重傷を負う[5]。
- 2016年12月8日 - 十代目松本幸四郎襲名を発表[3]。
- 2018年1月2日 - 歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』にて、松本幸四郎を十代目として襲名[4]
受賞歴
- 1987年 『大石最後の一日』で眞山青果賞新人賞
- 1989年 『熊野』で眞山青果賞奨励賞
- 1990年 『京人形』で松竹永山会長賞
- 1993年 『おちくぼ物語』『菅原伝授手習鑑・寺子屋』『天衣紛上野初花』(河内山)で歌舞伎座賞
- 1995年 『アマデウス』で松竹永山会長賞
- 1996年 『松壽操り三番叟』で歌舞伎座賞、『将軍頼家』で眞山青果賞奨励賞
- 1999年 『マトリョーシカ』で紀伊国屋演劇賞個人賞
- 2003年 芸術選奨新人賞
- 2005年 『阿修羅城の瞳』『蝉しぐれ』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、報知映画賞主演男優賞、日刊スポーツ映画大賞主演男優賞
- 2015年 第6回 ラティーノ JAPAN賞[6]、浅草芸能大賞奨励賞
出演
歌舞伎
- 女殺油地獄の河内屋与兵衛
- 好色芝紀嶋物語(怪談敷島譚)の傾城敷島・藤代屋十三郎・女房お玉
- 一谷嫩軍記(熊谷陣屋)の小次郎・敦盛
- 操り三番叟
- 勧進帳の富樫左衛門
- 恋飛脚大和往来(封印切・新口村)の亀屋忠兵衛
- 染模様恩愛御書(細川の男敵討)の大川友右衛門
- 椿説弓張月の源為朝
新作歌舞伎
- 葉武列土倭錦絵(ハムレット)の葉叢丸・実刈屋姫 役
- 決闘! 高田馬場(パルコ歌舞伎)の中山安兵衛・中津川祐範 役
- 江戸宵闇妖鉤爪(豹人間)の神谷芳之助・恩田乱学 役
- 新作 陰陽師 滝夜叉姫の安倍晴明 役
- 阿弖流為(アテルイ)[7]の阿弖流為 役[8]
- 幻想神空海 沙門空海唐の国にて鬼と宴すの空海 役[9]
テレビドラマ
NHK
- 大河ドラマ
- 父の詫び状(1986年) - 吉岡少年 役
- 龍-RON-(1995年) - 押小路龍 役
- 美しき夢追い人達(1995年)
- ヒマラヤの桜 華道家 安達瞳子の夢(1995年)
- 妻は、くノ一(2013年) - 雙星彦馬 役
- 妻は、くノ一 〜最終章〜(2014年)
日本テレビ
TBS
- 源氏物語 上の巻・下の巻(1991年) - 冷泉帝 役
- ヨイショの男(2002年) - 白石英二 役
- 猟奇的な彼女(2008年) - 野々村俊介 役
フジテレビ
- 天皇陛下の野球チーム(1990年) - 摂政宮裕仁親王 役
- 悪霊島(1991年) - 越智竜平(回想) 役
- 学校の怪談 春のたたりスペシャル(1999年)- 吸血鬼 役
- 古畑任三郎 若旦那の犯罪 (1999年) - 気楽家雅楽 役
- BRAND(2000年) - 神崎宗一郎 役
- ロケットボーイ(2001年) - 田中武徳 役
- 世にも奇妙な物語 春の特別編「株式男」(2001年) - 高桑喜一郎 役
- プライド(2004年) - 池上友則 役
- 鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女(2008年) - 井上玄庵 役
- 鬼平犯科帳スペシャル 盗賊婚礼(2011年) - 弥太郎 役
テレビ朝日
テレビ東京
映画
- 遥かなる走路(1980年) - 豊田喜一郎(少年時代) 役
- ラヂオの時間(1997年) - 斎明寺公彦 役
- 四月物語(1998年) - 兄 役
- 恋の門(2004年) - 本屋の店員 役
- 阿修羅城の瞳(2005年) - 病葉出門 役
- 蝉しぐれ(2005年) - 牧文四郎 役
- 今度の日曜日に(2009年) - 松元茂 役
- 相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿(2009年) - 天野達之 役
- 天地明察(2012年) - 宮栖川友麿 役
舞台
- バイ・マイセルフ
- マトリョーシカ
- アマデウス - モーツァルト 役
- 阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES 再演・再々演(2000年・2003年) - 病葉出門 役
- アテルイ(2002年) - アテルイ 役
- 髑髏城の七人〜アオドクロ(2004年) - 玉ころがしの捨之介 / 天魔王 役
- 朧の森に棲む鬼(2007年) - ライ 役
- 女教師は二度抱かれた(2008年) - 天久六郎 役
劇場アニメ
- ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ(2016年) - ボルケニオン 役
ゲーム
教育番組
- からだであそぼ(2006年、NHK教育)
- 謎解き!江戸のススメ(2012年4月 - 9月、BS-TBS)
CM
脚注
- ↑ “市川染五郎 復帰会見で謝罪「基本的なミスでご迷惑をおかけした」”. スポニチ (スポーツニッポン新聞). (2012年10月17日) . 2015閲覧.
- ↑ 上村以和於 (2013年2月13日). “日生劇場2月公演 染五郎復帰、再生の早春”. 日本経済新聞 (日本経済新聞) . 2015閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 “歌舞伎 松本幸四郎さんが白鸚に…親子孫3代で同時襲名へ”. 毎日新聞デジタル. 毎日新聞社. (2016年12月8日) . 2016閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 “松本白鸚「父も喜んでいると思います」高麗屋が3代同時襲名”. スポーツ報知. 報知新聞社. (2018年1月2日) . 2018-1-3閲覧.
- ↑ 染五郎大けが 舞台から3メートル転落 日刊スポーツ 2012年8月28日
- ↑ クエルボ・イ・ソブリノスが「第6回 ラティーノ JAPAN賞」を開催
- ↑ 2002年の劇団☆新感線の舞台『アテルイ』の歌舞伎化
- ↑ “市川染五郎、アテルイ歌舞伎化「完璧です」”. SANSPO.COM (2015年7月5日). . 2015閲覧.
- ↑ “空海演じる染五郎、高野山で成功祈願「力をください」”. SANSPO.COM (株式会社 産経デジタル). (2016年3月10日) . 2016閲覧.
- ↑ “市川染五郎:ドラマ「陰陽師」で堂本光一と初共演”. まんたんウェブ (2015年6月3日). . 2015閲覧.