松井孝典

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松井 孝典(まつい たかふみ、1946年3月7日 - )は、日本惑星科学者東京大学名誉教授宇宙政策委員会委員長代理、国家基本問題研究所客員研究員、行政刷新会議民間議員公益財団法人東京財団名誉研究員[1]理学博士。専門は、固体地球物理学惑星物理学比較惑星学静岡県周智郡森町出身[2]

日本の惑星科学の第一人者。学際的な地球学をとなえている。1986年英国の科学雑誌『ネイチャー』に海の誕生を解明した「水惑星の理論」を発表し世界の地球科学者から注目を集めた。地球物理学者上田誠也地質学者鎮西清高ら他の地球科学者とともにNHKで放送された『地球大紀行』の制作に関わり、特に松井は企画段階から参加した。2007年、著書『地球システムの崩壊』(新潮選書)が、第61回毎日出版文化賞(自然科学部門)を受賞した。

略歴

学歴

職歴

指摘・発言

科学技術について

2009年11月13日行政刷新会議(事業仕分け)に民間有識者の一員として参画し、科学技術関連事業の予算削減議論に携わった。次次世代スーパーコンピュータへの開発予算を削減しようとする蓮舫参院議員に同調し、「ハードで世界一になればソフトにも波及というが分野で違う」と発言した[7]

また、はやぶさ計画を含む旧宇宙科学研究所宇宙探査計画や宇宙科学研究については極めて否定的であった。
「小惑星からのサンプルリターンを目指す『はやぶさ』も、地球に帰還しなければ失敗である。500メートル程度の小惑星の画像に数百億円の価値を見出すことは難しい。」「日本の場合、そもそも惑星探査計画といっても、実はそれぞれ全てが、工学試験衛星という位置づけになっているため、失敗して当り前という建前なのである。」「研究者としてはまだひよこのような未熟な惑星科学者が、1回につき何百億円もかかる惑星探査に漠然と関わり、次から次へと提案され、実現していく探査計画を、責任感を感じることなく、無邪気に楽しんでいる(原文ママ)。」と述べていた[8]

石原慎太郎「ババア発言」について

ババア発言文明がもたらした最も悪しき有害なものはババア)」について石原慎太郎は、「おばあさん仮説」についての松井の発言が出所と主張したが、松井は「石原氏の発言を見ると、私の言っていることとまったく逆のことだからね。私はこういう言い方はどこでもしたことはないし、おばあさん仮説という理論を私はいろんなところで話しているから、それを見てもらえば分かるでしょう」[9]と述べた。おばあさん仮説は、ヒトの女性が生物としては例外的に生殖可能年齢を超えて生存することで「おばあさん」が集団の記憶装置としての役割を果たし、そのことで文明の誕生が可能になったとするものだが、松井はさらに結果としてヒトの文明地球環境を蝕む結果をももたらしているというもので、「おばあさん」の存在が地球環境を蝕んだことを論じている。

著作

著書

  • 『惑星探査と生命・惑星の表面』(恒星社厚生閣 現代天文学講座 1979年)
  • 『パノラマ太陽系』(講談社ブルーバックス 1981年)
  • 『青い惑星・地球』(講談社ブルーバックス 1982年)
  • 『惑星への旅』(日本放送出版協会 1985年)
  • 『水惑星はなぜ生まれたか』(講談社ブルーバックス 1987年)
  • 『地球=誕生と進化の謎』(講談社現代新書 1990年)
  • 『地球進化論』(岩波書店 1988年、岩波現代文庫 2008年)
  • 『地球・46億年の孤独』(徳間書店 1989年、徳間文庫 2000年)
  • 『サンサーラ地球・宇宙・人間』(徳間書店 1989年)
  • 『地球=誕生と進化の謎』(講談社現代新書 1990年)
  • 『宇宙誌』(徳間書店 1993年、徳間文庫 1998年、岩波現代文庫 2009年、講談社学術文庫 2015年)
  • 『最後の選択―文明・人類はどこへ行くのか』(徳間書店 1994年)
  • 『地球進化探訪記』(岩波書店・岩波科学ライブラリー、1994年)
  • 『地球倫理へ』(岩波書店 1995年)
  • 『150億年の手紙』(徳間書店 1995年)
  • 『惑星科学入門』(講談社学術文庫 1996年)
  • 『地球・宇宙・そして人間』全3巻(徳間書店、1987-95年)
  • 『巨大隕石の衝突―地球大異変の歴史を読み解く』(PHP研究所 1997年)
  • 『地球学―長寿命型の文明論』(ウェッジ 1998年)
  • 『地球大異変―恐竜絶滅のメッセージ』(ワック 1998年)
  • 『再現!巨大隕石衝突―6500万年前の謎を解く』(岩波書店 1999年)
  • 『地球・46億年の孤独―ガイア仮説を超えて』(徳間書店 2000年)
  • 『1万年目の「人間圏」』(ワック 2000年)
  • 『絶滅恐竜からのメッセージ―地球大異変と人間圏』(ワック 2002年)
  • 『宇宙からみる生命と文明―アストロバイオロジーへの招待』(日本放送出版協会、2002年)
  • 『宇宙人としての生き方』(岩波新書 2003年)
  • 『宇宙生命、そして「人間圏」』(ワック 2005年)
  • 『宇宙で地球はたった一つの存在か』(ウェッジ 2005年)
  • 『松井教授の東大駒場講義録』(集英社新書 2005年)
  • 『コトの本質』(講談社 2006年)
  • 『われわれはどこへ行くのか?』(ちくまプリマー新書 2007年)
  • 『「わかる」と「納得する」―人はなぜエセ科学にはまるのか』(ウェッジ 2007年)
  • 『地球システムの崩壊』(新潮選書 2007年)
  • 『探査機でここまでわかった太陽系』(技術評論社「知りたい!サイエンス」、2011年)
  • 『我関わる、ゆえに我あり ―地球システム論と文明』(集英社 2012年)
  • 『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』(文春新書 2013年)
  • 『スリランカの赤い雨 生命は宇宙から飛来するか』(角川学芸出版 2013年)
  • 『天体衝突 斉一説から激変説へ 地球、生命、文明史』(講談社ブルーバックス 2014年)
  • 『銀河系惑星学の挑戦 地球外生命の可能性をさぐる』(NHK出版新書 2015年)
  • 『文明は〈見えない世界〉がつくる』(岩波新書、2017年)
  • 『138億年の人生論』(飛鳥新社、2018年)

共著

  • 『地球惑星科学入門・太陽系のなかの地球』(岩波書店「岩波講座 地球惑星科学I」、1996年)
  • 『いま、いのちを考える』(梅原猛河合隼雄との共著、岩波書店、1999年)
  • 『親子で読もう 地球の歴史』(岩波書店 2012年)

訳書

  • J.ネーゲンダンク『身近な地球科学 宇宙船「地球号」を探る』大久保修平本田勝彦共訳(講談社 1980年)
  • ジョナサン・ワイナー『プラネット・アース』監訳 旺文社 1986年)
  • パトリック・ムーアほか『われらの太陽系 3・水星のすべて』(朝倉書店 1986年)
  • チャンドラ・ウィックラマシンゲ『彗星パンスペルミア』監修・所源亮訳(恒星社厚生閣 2017年)
  • チャンドラ・ウィックラマシンゲ『宇宙を旅する生命』監修・所源亮訳(恒星社厚生閣 2018年)

監修

  • 『宇宙はこうなっている』(徳間書店 1993年)

テレビ番組

関連項目

脚注

  1. 研究員一覧 - 東京財団。
  2. 『新訂 現代日本人名録 2002 4. ひろ~わ』 日外アソシエーツ、2002-01-28。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 “退職教員紹介”. 学内広報 (東京大学広報委員会) 1384: 30-31. (2009-03-13). 
  4. “人事異動(教員)”. 学内広報 (東京大学広報委員会) 1385: 79. (2009-04-23). 
  5. 「新任紹介」『NEWS CIT』2009.5.15、5面。
  6. “名誉教授称号授与”. 学内広報 (東京大学広報委員会) 1388: 15. (2009-07-27). 
  7. “【事業仕分け】最先端科学も“敗北” 「スパコン世界一」を否定 ノーベル賞受賞の野依氏憤慨”. 産経新聞. (2009年11月13日). http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091113/stt0911131914010-n1.htm . 2009年11月21日閲覧. 
  8. wedge 2006年7月号
  9. 月刊『自然と人間』 2003年2月号

外部リンク