東宝東和
東宝東和株式会社(とうほうとうわ)は、映画の輸入および配給を主事業とする日本の映画会社。本社所在地は、東京都千代田区一番町。東宝株式会社の傘下。
概説
1928年、川喜多長政により外国映画輸入配給業を事業とする「東和商事合資会社」として設立された。戦前においてはドイツをはじめとする欧州映画の輸入・配給の最大手であり、『自由を我等に』『巴里祭』『会議は踊る』『女だけの都』『望郷』『民族の祭典』などを輸入・配給した。また日本作品の海外輸出にも先駆的な役割を果たした。1937年には初の日独合作映画『新しき土』を製作した。1951年に東和映画株式会社と改称し、その後に東和株式会社を経て、1975年に現在の社名となった。
歴代の社長は、創業者の川喜多長政と2代目社長の白洲春正(白洲次郎と白洲正子の長男)の在任期間が長かったこともあり、80数年の歴史でもわずか5人である。2008年4月に、3代目社長の平沼久典に代わり、4代目社長として松岡宏泰(松岡功東宝名誉会長の長男で、元テニスプレーヤーの松岡修造の実兄)が就任したが、2015年5月に会長となった。5代目社長には星野智彦が就任した。
また、1970年代後半から1980年代前半にかけては、印象的すぎる独特の邦題と大げさな宣伝手法(本編と無関係な小道具や人物をメインに配置したり、ホラー映画では上映中に死亡した場合、ハワイの墓地に埋葬される。小型車を大型車のようにして描く、「バイオSFX方式上映」[1]など特殊な上映方法で公開しているなど)で、映画ファンにある種の「夢」を与えたことでも知られている(『映画秘宝 映画懐かし地獄70's』洋泉社、『映画宣伝ミラクルワールド 東和ヘラルド松竹富士独立系配給会社黄金時代』(斉藤守彦著)洋泉社を参照)。
2000年代に入ると年間配給作品の数が減少傾向にあったが、2007年後期からユニバーサル映画作品の配給を開始し、その後は年間配給作品が増加傾向となった。ユニバーサル作品が中心となった現在でも、同社作品以外の映画を時折配給している。
2014年7月、日活と合同でゴールデン・アジアのレーベルを設立。第1弾としてチャウ・シンチー監督の『西遊記』が同年の秋に公開された。
2015年10月8日、パラマウントと劇場配給契約を締結し、2016年2月1日から東宝東和の新子会社「東和ピクチャーズ」がパラマウント作品の劇場配給を行うことを発表した。
主な作品
- 白い恋人たち(1968年)
- サスペリア(1977年)
- カプリコン・1(創立50周年記念作品・1977年)
- 死亡遊戯(創立50周年記念作品・1978年)
- 極底探険船ポーラーボーラ(1977年)
- がんばれ!!タブチくん!!(1979年、1980年)
- 象物語 (1980年)
- ランボー(1982年)
- 幻魔大戦(1983年)
- ゴルゴ13(1983年)
- プロ野球を10倍楽しく見る方法(1983年)
- プロ野球を10倍楽しく見る方法PART2(1984年)
- サランドラ(1984年)
- 残酷を超えた驚愕ドキュメント・カランバ(1984年)
- ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年)
- バタリアン(1985年)
- ガバリン(1986年)
- プロジェクトAシリーズ
- 霊幻道士シリーズ
- アナザー・ウェイ ―D機関情報―(創立60周年記念作品・1988年)
- NEMO/ニモ(1989年)
- ダンス・ウィズ・ウルブズ(1991年)
- ターミネーター2(1991年)
- チャーリー(1993年)
- メジャーリーグ2(1994年)
- 幕末のスパシーボ(1997年)
- メジャーリーグ3(1998年)
- シックス・デイ(2000年)
- トータル・フィアーズ(2002年)
- ターミネーター3(創立75周年記念作品・2003年)
- トゥームレイダーシリーズ
- Mr.&Mrs. スミス(2005年)
- ラッシュアワー3(2007年)
- レッドクリフ(創立80周年記念作品・2008年)
- ワルキューレ(2009年)
- ノウイング(2009年)
- スマーフ(2011年)
- タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密(2011年)
- スマーフ2 アイドル救出大作戦!(2013年)
- 追憶の森(2016年)
ユニバーサル映画作品
2007年11月10日公開『ボーン・アルティメイタム』から、UIP映画日本法人解散によりユニバーサル・スタジオ作品の日本での配給を担当している。同作以降はジェネオンエンタテインメントが新作映画のソフト発売を担当していたが、後にユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンとの合併や商号変更を経て、現在のNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンに至っている。
2018年3月21日公開『ボス・ベイビー』から、全世界に先駆けドリームワークス・アニメーション制作作品をユニバーサル映画として公開する。
主な公開作品
日付は日本全国公開日。
2008年
- Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!(2008年1月19日)
- アメリカン・ギャングスター(2008年2月1日)
- エリザベス:ゴールデン・エイジ(2008年2月16日)
- チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(2008年5月24日)
- つぐない(2008年4月26日)
- ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(字幕版/吹替版、2008年8月16日)
- ウォンテッド(字幕版/吹替版、2008年9月20日)
- かけひきは、恋のはじまり(2008年11月8日)
- デス・レース(2008年11月29日)
2009年
- ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー(2009年1月9日)
- マンマ・ミーア!(2009年1月30日)
- チェンジリング(2009年2月20日)
- フロスト×ニクソン(2009年3月28日)
- デュプリシティ 〜スパイは、スパイに嘘をつく〜(2009年5月1日)
- 消されたヘッドライン(2009年5月22日)
- 路上のソリスト(2009年5月30日)
- マーシャル博士の恐竜ランド(字幕版/吹替版、2009年9月18日)
- ワイルド・スピード MAX(字幕版/吹替版、2009年10月9日)
- パイレーツ・ロック(2009年10月24日)
- イングロリアス・バスターズ(2009年11月20日)
- パブリック・エネミーズ(2009年12月12日)
2010年
- 恋するベーカリー(2010年2月19日)
- ダレン・シャン(字幕版/吹替版、2010年3月19日)
- ウルフマン(2010年4月23日)
- グリーン・ゾーン(2010年5月14日)
- 怪盗グルーの月泥棒 3D(3D・2D 吹替版/字幕版、2010年10月29日)
- ロビン・フッド(2010年12月10日)
- きみがくれた未来(2010年12月23日)
2011年
- 僕が結婚を決めたワケ(2011年1月14日)
- アジャストメント(2011年5月27日)
- ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ(2011年7月2日)
- イースターラビットのキャンディ工場(吹替版/字幕版、2011年8月19日)
- サンクタム(3D・2D 字幕版/吹替版、2011年9月16日)
- ワイルド・スピード MEGA MAX(字幕版/吹替版/IMAX版、2011年9月23/24/25日先行上映、2011年10月1日)
2012年
- ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬(2012年1月21日)
- ペントハウス(2012年2月3日)
- バトルシップ(字幕版/吹替版、ユニバーサル映画100周年記念作、2012年4月13日)
- スノーホワイト(字幕版/吹替版、2012年6月15日)
- デンジャラス・ラン(2012年9月8日)
- ボーン・レガシー(字幕版/吹替版、2012年9月28日)
- ロラックスおじさんの秘密の種(3D・2D 吹替版/字幕版、2012年10月6日)
- レ・ミゼラブル(2012年12月21日)(IMAX版、2013年4月6日 3週間限定上映)
2013年
- テッド(字幕版/吹替版、2013年1月18日)
- 野蛮なやつら/SAVAGES(2013年3月8日)
- オブリビオン(字幕版/IMAX版/4DX版、2013年5月31日)
- ワイルド・スピード EURO MISSION(字幕版/吹替版/IMAX版/4DX版、2013年7月10日)
- 怪盗グルーのミニオン危機一発(3D・2D 吹替版/字幕版/4DX版、2013年9月14・15・16日先行上映、2013年9月21日)
- ゴースト・エージェント/R.I.P.D.(3D・2D 字幕版、2013年10月18日)
- 47RONIN(3D・2D 字幕版/吹替版/4DX版、2013年12月6日)
2014年
- キック・アス/ジャスティス・フォーエバー(2014年2月22日)
- ローン・サバイバー(2014年3月21日、ポニーキャニオンとの共同配給)
- LUCY/ルーシー(2014年8月29日)
- ドラキュラ ZERO(字幕版/IMAX版、2014年10月31日)
- 6才のボクが、大人になるまで。(2014年11月14日)
2015年
- トラッシュ! -この街が輝く日まで-(2015年1月9日)
- フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(2015年2月13日)
- 博士と彼女のセオリー(2015年3月13日)
- ワイルド・スピード SKY MISSION(字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2015年4月17日)
- ブラックハット(2015年5月8日)
- ミニオンズ (3D・2D 吹替版/字幕版、2015年7月31日)
- ジュラシック・ワールド (3D・2D 字幕版/吹替版、2015年8月5日)(IMAX3D版/4D版、2015年8月7日)
- テッド2 (字幕版/吹替版、2015年8月28日)
- ヴィジット (2015年10月23日)
- エベレスト 3D (3D・2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版、2015年11月6日)
2016年
- クリムゾン・ピーク(2016年1月8日)
- スティーブ・ジョブズ(2016年2月12日)
- リリーのすべて(2016年3月18日)
- ヘイル、シーザー!(2016年5月13日)
- スノーホワイト/氷の王国(字幕版/吹替版、2016年5月27日)
- ウォークラフト(2016年7月1日)
- ペット(3D・2D 字幕版/吹替版、2016年8月11日)
- ジェイソン・ボーン(字幕版/IMAX版/4D版、2016年10月7日)
- ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期(2016年10月29日)
- ガール・オン・ザ・トレイン(2016年11月18日)
2017年
- SING/シング(2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版、2017年3月17日)
- グレートウォール(3D・2D 字幕版/IMAX3D版/4D版、2017年4月14日)
- ワイルド・スピード ICE BREAK(字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2017年4月28日)
- スプリット(2017年5月12日)
- フィフティ・シェイズ・ダーカー(2017年6月23日)
- 怪盗グルーのミニオン大脱走(2D 字幕版/吹替版、2017年7月21日)
- ザ・マミー/呪われた砂漠の王女(2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2017年7月28日)
- 僕のワンダフル・ライフ(字幕版/吹替版、2017年9月29日)
- バリー・シール/アメリカをはめた男(2017年10月21日)
- ゲット・アウト(2017年10月27日)
2018年
- ボス・ベイビー(2D 字幕版/吹替版、2018年3月21日)
- ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2018年3月30日)
- パシフィック・リム: アップライジング(3D・2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2018年4月13日)
- レディ・バード(2018年6月1日)
- ジュラシック・ワールド/炎の王国(3D・2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2018年7月13日)
- マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(2018年8月24日公開予定)
- スカイスクレイパー(2018年9月21日公開予定)
- フィフティ・シェイズ・フリード(2018年10月5日公開予定)
- ルイスと不思議の時計(2018年10月12日公開予定)
- グリンチ(2018年12月14日公開予定)
2019年
パラマウント映画作品
パラマウント映画は、UIP映画日本法人の解散以降、パラマウントの日本法人であるパラマウント・ピクチャーズ・ジャパンが独自配給を行っていたが、2016年2月1日から東宝東和の新子会社「東和ピクチャーズ」がパラマウント作品の劇場配給を行うことが発表された。
なお、親会社が配給するユニバーサル作品と比べると年間配給作品は少なく、『ベン・ハー』や『マザー!』のように当初は日本での劇場公開が内定していた作品や、アカデミー賞を受賞した『フェンス』といった作品の公開が見送られた例もある。
主な劇場配給作品
日付は日本全国公開日。
2016年
- マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年3月4日)
- 10 クローバーフィールド・レーン(字幕版/IMAX版/4D版、2016年6月17日)
- ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>(3D・2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2016年8月26日)
- スター・トレック BEYOND(2D 字幕版/IMAX3D版/4D版、2016年10月21日)
- ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(字幕版/IMAX版/4D版、2016年11月11日)
2017年
- マリアンヌ(2017年2月10日)
- トリプルX:再起動(2D 字幕版/IMAX3D版/4D版、2017年2月24日)
- ゴースト・イン・ザ・シェル(2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2017年4月7日)
- トランスフォーマー/最後の騎士王(3D・2D 字幕版/吹替版/IMAX3D版/4D版、2017年8月4日)
- 不都合な真実2 放置された地球(2017年11月17日)
2018年
- ダウンサイズ(2018年3月2日)
- ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2D 字幕版/吹替版/IMAX版/3D 4D版、2018年8月3日)
- クワイエット・プレイス(2018年9月28日公開予定)
2019年
- バンブルビー(2019年)
関連団体
脚注
外部リンク