東京大学史料編纂所
東京大学史料編纂所(とうきょうだいがくしりょうへんさんじょ、英称:Historiographical Institute, the University of Tokyo)は、東京大学の附置研究所(共同利用・共同研究拠点)の一つであり、日本史に関する史料の編纂と刊行を行っている。
沿革
史料編纂所の起源は、1793年(寛政5年)に開設された塙保己一の和学講談所とされる。明治維新後、史料編輯国史校正局、大学校国史編輯局、太政官歴史課、臨時修史局などと変遷している。
1888年(明治21年)、帝国大学(現・東京大学)に修史事業が移管されるが、のちに編年史の編纂は中止と決まり、代わって蒐集した史料自体を編纂、刊行することになり、1895年(明治28年)文科大学(現・文学部)に史料編纂掛が設置される。1901年(明治34年)に「大日本史料」「大日本古文書」の刊行を開始、現在まで事業が続けられている。1929年(昭和4年)に史料編纂所と改称。
戦後は、1950年4月に文学部から独立し、1954年より教授・助教授(現在は准教授)・助手(現在は助教)の教官制となった。
組織
現在の編纂所は研究部、図書部、史料保存技術室、事務部から構成されており、研究部は、古代史料部門(古代から鎌倉時代の末)、中世史料部門(建武の新政・1333年から江戸幕府成立・1603年)、近世史料部門(江戸幕府の成立から廃藩置県 1871年)、古文書(武家文書と寺社文書)・古記録部門(朝廷貴族の日記)、特殊史料部門(史料学、歴史地理、日本関係海外史料、外国関係日本史料)の5部門がある。
また、附属施設として画像史料解析センターと前近代日本史情報国際センターを持つ。
所在地
- 東京大学本郷キャンパス内の赤門そばに所在する。
刊行史料
- 「大日本史料」1901〜刊行
- 「大日本古文書」1901〜刊行
- (正倉院文書、東大寺文書、高野山文書、浅野家文書など)
- 「幕末外国関係文書」1910〜刊行
- 大日本古文書の一つ
- 「大日本維新史料」1938〜刊行
- 「大日本古記録」1952〜刊行
- 「大日本近世史料』1953〜刊行
- 「日本関係海外史料」(欧文)1974〜刊行
指定文化財
国宝
重要文化財
- 台記 1巻 古写本 仁平三年冬 三条家旧蔵
- 愚昧記 8巻(自筆本7、古写本1)附:目録並覚書等5巻 - 三条実房の日記。紙背文書の検非違使庁関係文書や、広田社歌合も史料的価値が高い。
- 後愚昧記 30巻 自筆本 附:写本1冊
- 拾芥抄 1巻 - 14世紀・南北朝時代の古写本。『拾芥抄』は鎌倉時代末から南北朝時代にかけて成立した、種々の事物・事象の種類・名称を部門別に列挙し、必要ならば若干の説明を付した百科全書的な書物。
- 和歌真字序集 1巻
- 南無阿弥陀仏作善集 1巻 -鎌倉時代に東大寺復興で活躍した重源が、晩年の1203年(建仁3年)頃にまとめた、自らの作善(仏教において功徳があるとされる作業)を記したもの。重源自筆ともいわれる。
- 西大寺寺領絵図 8幅 附:西大寺現存堂舎絵図 1幅
- 近藤重蔵関係資料 著述稿本類77点、文書・記録類149点、書状類74点、考証資料類426点、地図・絵図類34点
- 薩摩国伊作庄日置北郷下地中分絵図 1幅
- 薩藩旧記雑録 362冊
- 実隆公記 106巻、1帖、44冊、1紙
- 台明寺文書 7巻(178通)
- 上井覚兼日記 27冊 附:伊勢守心得書1冊、天正四年正月中御規式之日帳1冊
- 江戸幕府儒官林家資料 文書・記録類274点、著述類437点、典籍類331点、絵画・器物類120点 附:林昇関係資料784点[2]
- 二階堂家文書 48巻、27冊(476通)附:文書箱3合[3]
- 比志島家文書 7巻[4]
- 慈鎮和尚夢想記 1帖[5]
- 蒋洲咨文 日本国対馬島宛 1幅 嘉靖35年(弘治2年、1556年)11月3日付[6]
- 中院一品記 13巻(自筆本11巻、古写本2巻)[7][8]
- 明国箚付 前田玄以宛[9]
※典拠:2000年までの指定物件については『国宝・重要文化財大全 別巻』(所有者別総合目録・名称総索引・統計資料)(毎日新聞社、2000)による。
※東京大学保管の重要文化財については、東京大学総合研究博物館の項も参照のこと。
脚注
参考文献
- 東京国立博物館 東京大学史料編纂所編集 『東京大学史料編纂所史料集発刊100周年記念 時を超えて語るもの 史料と美術の名宝』 東京大学史料編纂所発行、2001年
関連項目
外部リンク