東京モノレール
東京モノレール株式会社(とうきょうモノレール、英: TOKYO MONORAIL CO., LTD.)は、東京都内で東京国際空港(羽田空港)アクセスモノレール路線「東京モノレール羽田空港線」を経営する鉄道会社である。東日本旅客鉄道(JR東日本)の経営権下にあり、JR東日本グループの一員である[1]。
Contents
概要
東京モノレール株式会社は1964年(昭和39年)9月17日に開業した東京モノレール羽田空港線の運営のほか、、駐車場事業などもおこなっている。
以前は日立グループの会社であったが、2002年(平成14年)にそれまで日立物流が保有していた株式の70%がJR東日本に、30%が日立製作所に譲渡され、それ以降はJR東日本が同社の親会社となっている[2]。2012年3月現在の株主はJR東日本が79%、日立製作所が12%、ANAホールディングス が9%となっている(数値は株式所有率)[3]。
Suica発行事業者であり、東京モノレール羽田空港線全線でSuicaおよびPASMOなどSuicaと相互利用可能なICカードが使用できる。同社発行のSuicaカードは「モノレールSuica」という名称を持ち、カードは、緑色でモノレールが描かれたカードが発売されている[4]。
沿革
- 1959年(昭和34年)8月7日 - 大和観光株式会社設立[5]。
- 1960年(昭和35年)
- 1963年(昭和38年)5月1日 - 浜松町 - 羽田間の工事着工[7]。
- 1964年(昭和39年)
- 1965年(昭和40年)12月 - 名古屋鉄道が東京モノレールの経営から撤退する(同社から89名の従業員が出向していたが1965年度末を持って打ち切り[6])。
- 1967年(昭和42年)11月1日 - 日立運輸株式会社、(初代)東京モノレール株式会社、西部日立運輸株式会社の3社が合併(存続会社は東京モノレール株式会社)し、日立運輸東京モノレール株式会社に商号変更[8]。日立製作所が株式の81%を取得し、同社の子会社となる[8]。
- 1981年(昭和56年)
- 1993年(平成5年)9月27日 - 整備場駅 - 羽田空港駅間開業[10]。整備場駅 - (旧)羽田駅廃止。
- 2002年(平成14年)
- 2004年(平成16年)12月1日 - 羽田空港駅 - 羽田空港第2ビル駅間開業[12]。羽田空港駅は羽田空港第1ビル駅へと改称[12]。
- 2007年(平成19年)
- 2010年(平成22年)10月21日 - 羽田空港国際線ビル駅開業[13]。
- 2014年(平成26年)8月19日 - 国土交通省交通政策審議会の小委員会で、東京駅までの路線延伸計画を説明[14]。
路線
- MO 東京モノレール羽田空港線:モノレール浜松町駅 - 羽田空港第2ビル駅間 (17.8km)
都心と東京国際空港(羽田空港)を結ぶ公共交通機関として、1964年(昭和39年)10月10日の東京オリンピック開会23日前の9月17日に開業した。当時はモノレール浜松町 - 羽田間の途中駅はなく15分で終点に到着した。京浜急行電鉄の鉄道や京浜急行バス、東京空港交通の乗合バスなどと極めて激しい競合関係にある。
- Mono-shibaura.jpg
芝浦アイランド付近
- TokyoMonorailAroundHamamatsuchoStation.jpg
浜松町駅を発車しJR線より離れる(2007年4月30日)
所有車両
東京モノレールは日立グループとの係わりが強く、すべての車両は主要株主でもある日立製作所製となっている。
なお、2014年度より新型車両10000形電車を導入することが発表された[15]。同形式は「スマートモノレール」を設計コンセプトとして[15]、車体のカラーリングは「緑豊かな沿線をイメージしたグリーン」と「空と海をイメージしたスカイブルーとブルーのグラデーション」の2系統の色を配したものとされる[15]。車内は「和のおもてなし」をコンセプトとしたデザインとなる予定で[15]、その他スーツケース置き場の拡充や無線LANサービスの提供などが実施される[15]。10000形は2014年7月より6両編成1本が運用を開始し、経年20年を超過し老朽化が進行した1000形を順次代替する予定である[15]。
現用車両
- 東京モノレール10000形.jpg
10000形
- Monorail2000n-wiki.jpg
2000形(新塗装車)
- Tokyo Monorail 2031 Showajima 20060521.jpg
2000形
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1000形(新塗装車)
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1000形
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羽田空港国際線ビル駅の1000形記念車両(2010年10月25日撮影)
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同左(2010年10月25日撮影)
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同左(2010年10月25日撮影)
過去の車両
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・ICカードの場合は1円未満切り捨て、切符購入の場合は10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[16]。
キロ程 | 運賃(円) | |
---|---|---|
ICカード | 切符購入 | |
初乗り0.1 - 1.5km | 154 | 160 |
1.6 - 4.5 | 195 | 200 |
4.6 - 7.5 | 267 | 270 |
7.6 - 10.5 | 340 | 340 |
10.6 - 13.5 | 411 | 420 |
13.6 - 17.8 | 483 | 490 |
羽田便が発着する日本各地の空港(新千歳・伊丹・関西・福岡・那覇空港など17空港)や北海道旅客鉄道の一部駅(札幌駅など)でも羽田空港第2ビル駅・羽田空港第1ビル駅を発駅とする東京モノレール線乗車券を取り扱っており[17]、航空便で東京へ向かう前に購入できるようにしている。これは京急線も同様であり、羽田空港の地上交通旅客争奪戦は出発前から始まっている。
1964年(昭和39年)開業時の「浜松町 - 羽田」間13.1kmの運賃は大人250円(小児130円)で所要時間は約15分だった。この運賃は当時の日本国有鉄道(国鉄)の11 - 14kmの区間の運賃(大人40円)と比較しても6倍以上も高く、初乗り運賃(20円)の12.5倍もする高額さであった。参考までに浜松町駅から当時の国鉄運賃250円で行ける駅は、神奈川県小田原市の東海道本線根府川駅 (87.4km) だった。
このため人数が4名以上の場合はモノレールを使うよりタクシーを使ったほうが安かった。これほど運賃が高額になった理由は、建設にあたり国から一切の融資を受けられなかったことによる。通常、このような鉄道建設を民間が行う場合は国から長期低金利の政府資金融資が受けられることが多い。東京モノレールは国からそのような融資を受けることができなかったので建設費用のすべてを民間の金融機関から借金して作った。そのため、高度経済成長当時の民間金融機関は金利がきわめて高く、しかも政府融資がない(言うなれば100%自己資金で建設した)などの事情を考慮した運輸省(現・国土交通省)は東京モノレール側から申請された「運賃・大人250円」の案を認めざるを得なくなり、このようなきわめて高額な運賃が採用された[18] 。その一方、銀座から羽田空港まで100円で直通バスが運行されていた。以上のことから、モノレールの割高運賃が敬遠され、乗客数は期待を下回るものであったが数年後に150円に値下げされ、路面交通の混雑もあって競争力をつけ、乗客数は増えていった。
企画乗車券
- モノレール羽割往復きっぷ
- 800円(こども半額)。発売日から10日間有効。通常、浜松町 - 羽田空港各駅間は往復980円かかるが、このきっぷを使用すると180円割引となる。以前は駅の自動券売機でも購入できたが、2015年4月より地方空港に設置している自動券売機のみでの販売となっている。
- モノレール&山手線内割引きっぷ
- 羽田空港各駅から浜松町経由(乗り換え)でJR東京山手線内の各駅まで500円(こども半額)で利用できる。池袋・目白・高田馬場まで利用すると250円割引となる。発売日当日限り有効。発売期間および利用日は、土曜・日曜・祝日やゴールデンウィーク・夏休み・年末年始などに限定されている。
- 東京モノレール沿線お散歩1dayパス
- 東京モノレール線1日乗車券。700円(こども半額)と安いため、浜松町 - 羽田空港各駅間を往復するだけでも元をとることができる。発売期間および利用日は、土休日・正月三が日に限定されている。
マスコットキャラクター
CMキャラクター
- HKT48
- 2014年3月から、指原莉乃はじめメンバー7名がCMキャラクターを務める。同月7日から「HKT48モノレール派宣言!」と題する特設ウェブサイトを開設しているほか、モノレール浜松町駅、羽田空港第1ビル駅、羽田空港第2ビル駅の各駅に東京モノレール社員の制服姿のメンバーの等身大パネルを設置している。同年4月15日から5月31日までの間に、一部の列車において指原による沿線案内放送を実施したほか[21]、同年7月18日には、4名が羽田空港第2ビル駅の一日駅長に就任、同駅にて、同日より営業運行を開始した10000形電車の出発式に参加した[22]。
その他
- 営業運転開始前日の1964年(昭和39年)9月16日に浜松町駅にて開業記念式典が開催され、関係者約300名とマスコミ多数を集め河野一郎オリンピック担当大臣、松浦周太郎運輸大臣、犬丸徹三社長らがテープカットをおこなった。
- 開通当初は浜松町駅 - 羽田駅(現・天空橋駅)間13.1kmを最高速度100km/hでノンストップで走った[23]。
- 当初は始発・朝6時20分から終電・夜10時50分まで上りと下りを合わせて合計206本が約7分間隔で運行された。
- 建設当時は海岸線や海上、運河沿いなど地形が複雑で地盤も軟弱で工事は難航し、特殊な工法で建設され開業した。
- 日立運輸東京モノレール時代には、日立グループの一員として、「日立の樹」CMにもロールで流れていた(第1代:1973年 - 第5代:1984年、第7代:1989年 - 2001年頃)[24]。
- 運転士の養成(動力車操縦者免許取得)は、研修所を持つ他鉄道会社に委託している。
- フランスのタイヤメーカーであるミシュランは東京モノレールの車両向けゴムタイヤを納入したことがきっかけで日本に本格進出を果たした。
- 開業前、軌道に詳しい技術者である高橋憲雄は、国鉄の研究所から依頼を受け、横浜市磯子区にある自身の土地に実験棟とレールを設置し、ゴムタイヤの摩擦軽減や騒音解消に関する研究を行なっていた。2016年現在、実験棟は骨組を活用する形でログハウスに改修され、コンクリート製枕木も敷地の塀として再利用されているほか、当時のタイヤや鉄製の部品も良好な状態で敷地内に残っている[25]。
脚注
- ↑ 会社概要 東京モノレール株式会社のウェブサイト、平成24年6月29日閲覧
- ↑ 2.0 2.1 2.2 50年史、p.73。
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「mono50th-74
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 新モノレールSuica発売開始について (PDF)
- ↑ 5.0 5.1 5.2 50年史、p.247。
- ↑ 6.0 6.1 50年史、p.10。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 50年史、p.248。
- ↑ 8.0 8.1 50年史、p.11。
- ↑ 9.0 9.1 50年史、pp.19-21。
- ↑ 50年史、p.257。
- ↑ 11.0 11.1 11.2 11.3 50年史、p.260。
- ↑ 12.0 12.1 12.2 12.3 50年史、p.262。
- ↑ 50年史、p.264。
- ↑ “モノレール、東京駅まで延伸構想 羽田まで6分短縮”. 東京新聞 (August 20,2014). . August 21, 2014閲覧.
- ↑ 15.0 15.1 15.2 15.3 15.4 15.5 東京モノレール、17年ぶりの新型車両「10000形」導入…2014年7月運行開始へ - Response. 2013年9月10日(火) 17時57分配信
- ↑ 鉄道旅客運賃の認可および改定について (PDF) - 東京モノレール、2014年3月5日(2014年4月9日閲覧)
- ↑ 京浜急行・東京モノレール券売機
- ↑ 朝日新聞昭和39年9月21日記事
- ↑ 19.0 19.1 東京モノレールが新しいゆるキャラ 「モノルン」20日デビュー - MSN産経ニュース
- ↑ 東京モノレールのキャラクターを「モノルン」に決定! (PDF) - 東京モノレール、2012年10月10日
- ↑ HKT48モノレール派宣言! 指原莉乃さんによる沿線案内放送を実施します (PDF) - 東京モノレール、2014年4月14日
- ↑ “HKT48が一日駅長、東京モノレール新型車出発式”. RBB Today (IID, Inc.). (2014年7月18日) . 2015閲覧.
- ↑ 朝日新聞昭和39年9月17日・朝刊の10面・東京モノレールの全面広告の記載による。
- ↑ 日立の樹オンライン
- ↑ “磯子区の住宅街、東京モノレールの走行実験車庫の跡地があるって本当?”. はまれぽ.com(アイ・ティ・エー) (2016年7月10日). . 2016閲覧.
参考文献
- 佐藤信之「鉄道・軌道プロジェクトの事例研究 29 開業40周年を迎える 東京モノレール」
- 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2004年4月号 No.450 pp.114-119
- 東京モノレール株式会社社史編纂委員会 『東京モノレール50年史』 東京モノレール株式会社、2014-09。
- 東京モノレール株式会社監修『東京モノレールのすべて』戎光祥出版 2015年8月。
関連項目
- 空港連絡鉄道
- 名鉄モンキーパークモノレール線 - 日立製作所と名鉄が共同でモノレールを開発するために開業した路線。東京モノレールの先行実践線・乗務員訓練線としての性格をもっていた。
- 熱海モノレール - 未成線となったが、株主として日立製作所と共に名を連ねていた。
- 多摩都市モノレール - 同社と同じく東京都内にあるモノレール路線である多摩都市モノレール線を運営している。
- 大阪高速鉄道 - 伊丹空港に乗り入れる大阪モノレール線を運営している。
- 沖縄都市モノレール - 那覇空港に乗り入れる沖縄都市モノレール線を運営している。
外部リンク
- 東京モノレール - 各駅の施設や構造の図示、時刻表、運賃などについてのQ&A集、などがある。
- 東京モノレール【公式】 - 公式YouTubeチャンネル(車両紹介やCMギャラリーの他、開業当初の宣伝用フィルムなどが公開されている)