本谷有希子
本谷 有希子(もとや ゆきこ、1979年7月14日 - )は、日本の劇作家、小説家。演出家、女優、声優なども兼ねる。石川県出身。「劇団、本谷有希子」主宰。夫は詩人・作詞家の御徒町凧。
Contents
経歴
- 1979年、石川県白山市に生まれる。中学生時代はソフトテニス部に所属し部長を務める。石川県立金沢錦丘高等学校時代に演劇部に所属。上京後、ENBUゼミナール演劇科に入学、松尾スズキのクラスに在籍する。在学中より主に舞台において女優活動を開始。
- 1998年、アニメ『彼氏彼女の事情』で声優デビュー。ENBUゼミを見学に来ていた監督の庵野秀明が、庵野を見て騒ぐ生徒たちの中で一人我関せずの態度を取っていた本谷を気に入ったためのオファーであった。このときの役は、「文化祭で上演する劇の台本を書く」少女の役であった。
- 2000年9月、「劇団、本谷有希子」を創立。劇作家・演出家としての活動を開始する。
- 2002年、『群像増刊エクスタス』に「江利子と絶対」を発表し小説家デビュー。サイトで連載していた小説を読んだ編集者が声をかけたことがきっかけとなった。
- 2005年4月から2006年3月までの1年間、ラジオ番組『本谷有希子のオールナイトニッポン』のパーソナリティを務めた。この番組がきっかけで彼女を知った人も多い。同年に、小説『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が第18回三島由紀夫賞候補となる。
- 2006年、小説『生きてるだけで、愛。』で第135回芥川龍之介賞候補となる。
- 2007年、『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を史上最年少で受賞、小説『生きてるだけで、愛。』が第20回三島由紀夫賞候補となる。同年『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が佐藤江梨子主演で映画化された。
- 2008年、小説『遭難、』で第21回三島由紀夫賞候補となる。
- 2009年、「幸せ最高ありがとうマジで!」で第53回岸田國士戯曲賞(白水社主催)を受賞。同年、「あの子の考えることは変」で第141回芥川賞候補となる。同年10月には雑誌『VOGUE』により、日本を代表する女性10人を選ぶ『ヴォーグ ニッポン ウィメン・オブ・ザ・イヤー2009』を受賞。
- 2011年、小説『ぬるい毒』で第24回三島由紀夫賞候補、第145回芥川賞候補、第33回野間文芸新人賞受賞。
- 2013年、小説『嵐のピクニック』で第7回大江健三郎賞受賞。5月7日、シンガーソングライターで映画監督の御徒町凧と入籍。
- 2014年、小説『自分を好きになる方法』で第27回三島由紀夫賞受賞。
- 2015年10月、第1子女児を出産[1]。
- 2016年、小説『異類婚姻譚』で第154回芥川龍之介賞受賞。笙野頼子、鹿島田真希に続いて3人目の純文学新人賞三冠作家となる。
人物
卒業公演の際、「在学中に何もやっていない」という焦りから台本執筆を買って出たところ、松尾スズキに「役者よりも台本を書いた方がいいかもね」と言われ、これが執筆活動を開始するきっかけとなった。劇団旗揚げ後の一時期はメディアに“松尾チルドレン”として一括りにされることを嫌い、松尾と接点を持たないようにしていたという。2006年に『生きてるだけで、愛。』が芥川賞候補になった際にも松尾との作風の類似が指摘された[2]。現在では松尾がスーパーバイザーを務める季刊誌『hon-nin』に小説を寄稿するなど、接点を回復している。このことについて本谷は「ようやく違うぞ、と余裕が出てきた」と述べている。
小説の書き方について本谷は、書きあげている最中は完全に登場人物になりきってしまうと言っている。本谷の友人いわく、「執筆中に会うと作品ごとに別人格になっている」ほどである。また、感情移入するのは主人公だけではなく登場人物全般で一人称より三人称が得意だという[3]。
声優の能登麻美子とは同郷の友人で、地元時代は同じ劇団に所属していた事がある。のちに『QuickJapan』vol.59で対談を行なっている。
アイドルが好きであり、本谷がMCを務めた『本谷有希子のオールナイトニッポン』では、好きなハロープロジェクトのグループに関する好意を語ったり[4]、AKB48メンバーを呼んだコーナーを進行したりしていた[5]。
また、中高生時代にはいわゆるおたく趣味に傾倒していた。これまでで好きな漫画には『お父さんは心配症』、『幽☆遊☆白書』、『HUNTER×HUNTER』、『銭ゲバ』、『アシュラ』を挙げている[6]。その中で、『幽☆遊☆白書』の登場人物・蔵馬のファンで、作品中の蔵馬登場シーンの切り抜きなどを収集し、蔵馬の小説も書いていたほどだった[7]。
2014年頃までは小説をPCで執筆していた。しかし大変時間がかかるうえ、妊娠した際「目を酷使してのPC作業をすると、お腹の子は神経質になる」という話を聞き、手書きで執筆するようになった。その結果行き詰まったときなどは、イメージ絵や2重丸などの書き込みをして飛ばしておき、時間をおいて客観的に見返すことで、原稿を早く仕上げることができるようになった。本人にとっても、手書きの方が向いているという事を実感できたという。[8]。
作品
舞台(作品)
劇団、本谷有希子公演
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外部公演
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テレビドラマ(作品)
出演
舞台(出演)
テレビドラマ(出演)
- 演技者。「TRASHMASTAURANT」(2003年11月18日 - 12月9日、フジテレビ) - 北方 役
- ディビジョン1「1242kHz こちらニッポン放送」(2005年6月22日 - 7月20日、フジテレビ)
テレビアニメ
テレビ番組
- つながるテレビ@ヒューマン(NHK総合、2006年1月14日 - 2008年、月1サポーター)
- 週刊ブックレビュー(NHK衛星第2、レギュラーではなかったが、小説出版のたびに出演)
- トップランナー(NHK総合、2007年5月12日)
- めざましテレビ(フジテレビ、2007年7月2日、「広人苑II」に出演)
- NEWS ZERO(日本テレビ、2008年10月22日)
- ボクらの時代(フジテレビ、2011年7月17日)
- ゴロウ・デラックス(TBS、2012年2月10日/2016年2月26日)
- 旅のチカラ「ショーの嵐に飛び込め!〜本谷有希子 ラスベガス〜」(NHK BSプレミアム、2012年9月20日)
- セブンルール(関西テレビ、2017年4月18日 - )
OVA
ラジオ番組
- 本谷有希子のオールナイトニッポン(ニッポン放送、2005年4月1日 - 2006年3月31日、毎週金曜日担当)
- ザ・トップ5<シーズン4>(TBSラジオ、2014年10月2日 - 2015年3月19日) - 木曜日コメンテーター
受賞歴
- 2007年 - 第10回鶴屋南北戯曲賞(『遭難、』)
- 2009年 - 第53回岸田國士戯曲賞(『幸せ最高ありがとうマジで!』)
- 2011年 - 第33回野間文芸新人賞(『ぬるい毒』)
- 2013年 - 第7回大江健三郎賞(『嵐のピクニック』)
- 2014年 - 第27回三島由紀夫賞(『自分を好きになる方法』)
- 2016年 - 第154回芥川龍之介賞(『異類婚姻譚』)
著書
戯曲
- 「乱暴と待機」(2005年冬号、『せりふの時代』小学館)
- 『遭難、』(2007年、講談社、ISBN 9784062140744)
- 「ファイナルファンタジックスーパーノーフラット」(2007年秋号、『せりふの時代』小学館)
- 『偏路』(2008年、新潮社、ISBN 9784103017738)
- 『幸せ最高ありがとうマジで!』(2009年、講談社)
- 『来来来来来』(2010年、白水社)
小説
- 『江利子と絶対 本谷有希子文学大全集』(2003年、講談社)(2007年、講談社文庫)
- 江利子と絶対(『群像』2003年5月号)
- 生垣の女(同上)
- 暗狩(同上)
- 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2005年、講談社)(2007年、講談社文庫)
- 初出:『群像』2004年12月号
- 『ぜつぼう』(2006年、講談社)
- 初出:『群像』2005年11月号
- 『生きてるだけで、愛。』(2006年、新潮社)(2009年、新潮文庫)
- 生きてるだけで、愛。(『新潮』2006年6月号)
- あの明け方の(書き下ろし)
- 『乱暴と待機』(小説版)(2008年、メディアファクトリー)
- 『ほんたにちゃん』(2008年、太田出版)
- 『グ、ア、ム』(2008年、新潮社)(2011年、新潮文庫)
- 初出:『新潮』2008年1月号
- 『あの子の考えることは変』(2009年、講談社)(2013年、講談社文庫)
- 初出:『群像』2009年6月号
- 『ぬるい毒』(2011年、新潮社)(2014年、新潮文庫)
- 『嵐のピクニック』(2012年、講談社)(2015年、講談社文庫)
- アウトサイド
- 私は名前で呼んでる
- パプリカ次郎
- 人間袋とじ
- 哀しみのウェイトトレーニー
- マゴッチギャオの夜、いつも通り
- 亡霊病
- タイフーン
- Q&A
- 彼女たち
- How to burden the girl
- ダウンズ&アップス
- いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか
- 『自分を好きになる方法』(2013年、講談社)(2016年、講談社文庫)
- 初出:『群像』2013年5月号
- 『異類婚姻譚』(2016年、講談社)
- 異類婚姻譚
- 初出:『群像』2015年11月号
- 〈犬たち〉
- 〈この町から〉(「GRANTA JAPAN with 早稲田文学01」掲載)を大幅に改稿・改題
- トモ子のバウムクーヘン
- 初出:『新潮』2014年1月号
- 藁の夫
- 初出:『群像』2014年2月号
- 異類婚姻譚
単行本未収録作品
- 「被害者の国」(『新潮』2005年4月号)
随筆・コラム等
単行本
- 『イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集』(2007年、駒草出版、ISBN 9784903186511)
- 『かみにえともじ』(2012年8月10日、講談社)
- 『本谷有希子のこの映画すき、あの映画きらい』(2012年8月13日、日経BP)
- 『日経エンタテインメント!』にて連載中(2009年2月〜)の「本谷国際映画祭」をまとめた書籍。
雑誌
脚注
- ↑ “人気劇作家の本谷有希子さんが10月に第1子女児出産「私そっくりだ」”. スポーツ報知 (株式会社報知新聞社). (2016年1月1日). オリジナルの2016年1月3日時点によるアーカイブ。 . 2017閲覧.
- ↑ 文学賞メッタ斬り! 第135回芥川賞レース予想
- ↑ “EXCLUSIVE INTERVIEW 本谷有希子さん”. 学芸カフェ. . 2014閲覧.
- ↑ “本谷有希子の妄想日記”. 劇団、本谷有希子 (2005年6月25日). . 2014閲覧.
- ↑ 『サイゾー』2013年1月号
- ↑ “突撃型ガールズトーク おしえて、センパイ!#8”. 東京女子プロジェクト. . 2014閲覧.
- ↑ 『イママン』87ページ〜
- ↑ “芥川賞作家 本谷有希子が語る 「ラジオは、聴き手の包容力・懐の深さが一番深いメディア」”. 吉田尚記、カルチャー情報サイト. . 2016閲覧.
外部リンク
テンプレート:岸田國士戯曲賞
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