有理型関数
提供: miniwiki
複素解析において、有理型関数(ゆうりけいかんすう、ゆうりがたかんすう、英: meromorphic function)あるいは、関数が有理型(ゆうりけい、meromorphic)であるとは、複素数平面あるいは連結リーマン面のある領域で定義され、その中で極(仮性特異点)以外の特異点を持たない解析関数(特異点以外では正則な関数)のことを指す。
有理型関数は正則関数の商として表すことができ、その分母となる正則関数の零点が元の有理型関数の極となる(分母は定数関数 0 ではない)。
例
多項式関数は正則であるから、例えば [math]f(z) = \frac {z^3-2z+1} {z^5+3z-1}[/math] のような有理関数は全て C 上有理型である。また、関数 [math]f(z) = \frac {\exp z} {z}[/math] や [math]f(z) = \frac {\sin z}{(z-1)^2}[/math] も C 上有理型で、ガンマ関数やリーマンのゼータ関数も同様である。
一方、対数関数 [math]f(z) = \log z[/math] や [math]f(z) = \exp \left( \frac {1} {z} \right)[/math] は C 上有理型でない。例えば後者は [math]z = 0[/math] に真性特異点を持つ。
性質
- 有界閉領域上で定義される 0 でない有理型関数は、零点も極も有限個しか持たない。
- 解析接続を使って除きうる特異点を解消してやれば、有理型関数同士で四則演算をとったものはやはり有理型である(勿論除法に関して、定数関数 [math]0[/math] で除することは除く)。従って、(同じ領域で定義される)有理型関数の全体の成す集合は体を成す。この体は複素数体の拡大体である。
言い換え
リーマン面の言葉で言えば、有理型関数というのは、「リーマン球面への正則関数であって、常に [math]\infty[/math] の値をとる定数関数ではないもの」ということと同じである。このとき有理型関数の極とはリーマン球面の無限遠点 [math]\infty[/math] へ移される複素数のことである。