有明海沿岸道路
有明海沿岸道路(ありあけかいえんがんどうろ、略称:有明沿岸道[1]、英語: ARIAKE ENGAN ROAD、有沿道[2])は、福岡県大牟田市を起点とし、佐賀県鹿島市に至る計画の延長約55キロメートル (km) の地域高規格道路(自動車専用道路)であり、国道208号および国道444号のバイパスでもある。
将来的には、大牟田市から南進して熊本県熊本市の熊本天草幹線道路まで延長する構想(有明海沿岸道路(II期))もある。
Contents
概要
有明海沿岸の都市群を結ぶことにより、深刻な渋滞箇所が存在する国道208号等の混雑緩和と交通安全の確保を主目的として計画・事業化された。地域間の交流促進を図るとともに、接続する道路を介して各種広域交通拠点[3]との結節機能ももつ。
現時点においては、大牟田高田道路、高田大和バイパス、大川バイパス、大川佐賀道路、佐賀福富道路、福富鹿島道路が整備区間に指定されており、うち大牟田高田道路、高田大和バイパスの全線と、大川バイパス、佐賀福富道路の一部が供用されている。
大牟田高田道路
大牟田高田道路は、福岡県大牟田市から同県みやま市高田町に至る国道208号のバイパスである。
- 起点 : 福岡県大牟田市新港町(三池港IC)[4]
- 終点 : 福岡県みやま市高田町黒崎開(黒崎IC)[4]
- 延長 : 8.6 km[4]
- 規格 : 第1種第3級[4]
- 設計速度 : 80 km/h[4]
- 車線数 : 4車線[4]
- 事業化 : 1999年(平成11年)度[4]
- 最高速度 : 60 km/h
現時点では、有明海沿岸道路の南東端にあたる。三池港インターチェンジ (IC) を起点とし、大牟田ICから健老IC付近にかけては埋立地に立地する工場地帯の中を突き抜けるため、高いフェンスで覆われていて周囲が見渡せない区間も存在するが、健老ICを過ぎて堂面川橋(健昭橋)を渡ると一転して干拓地の広がるのどかな風景となる。大牟田北ICでは、接続する熊本県道・福岡県道10号南関大牟田北線を介して九州自動車道南関ICに繋がっており、大牟田市沿岸部と九州道を結ぶ最短ルートとなっている。干拓地からやや内陸側に向きを変え、右手に見える黒崎公園を通り過ぎた所に位置する黒崎ICに至り、そのまま高田大和バイパスへと続く。
高田大和バイパス
高田大和バイパスは、福岡県みやま市高田町から同県柳川市大和町に至る国道208号のバイパスである。
- 起点 : 福岡県みやま市高田町黒崎開(黒崎IC)[4]
- 終点 : 福岡県柳川市大和町徳益(徳益IC)[4]
- 延長 : 8.9 km[4]
- 規格 : 第1種第3級[4]
- 設計速度 : 80 km/h[4]
- 車線数 : 4車線[4]
- 事業化 : 1988年(昭和63年)度[4]
- 最高速度 : 60 km/h
起点は大牟田高田道路から続く黒崎IC。黒崎ICから高田ICにかけての区間は干拓地の中を通るため、見晴らしが良い。高田ICから矢部川大橋を渡って徳益ICに至り、そのまま大川バイパスへと続く。
大川バイパス
大川バイパスは、福岡県柳川市から同県大川市に至る国道208号のバイパスである。
- 起点 : 福岡県柳川市大和町徳益(徳益IC)[4]
- 終点 : 福岡県大川市大野島(大野島IC(仮称))[4]
- 延長 : 10.0 km[4]
- 規格 : 第1種第3級[4]
- 設計速度 : 80 km/h[4]
- 車線数 : 4車線[4]
- 事業化 : 1993年(平成5年)度・2000年(平成12年)度(延伸部)[4]
- 最高速度 : 60 km/h
起点は高田大和バイパスから続く徳益IC。国道443号・国道208号現道をオーバークロスする。現時点での供用区間は大川東ICまでで、大川東ICから大野島IC(仮称)にかけての筑後川を跨ぐ区間は、2020年(平成32年)度の開通を予定している[5]。なお大川東ICから大川中央IC(仮称)にかけては、一般道路部が供用しており、この区間は国鉄佐賀線跡地を転用している(福岡県道716号水田大川線を参照)。
大川佐賀道路
- 起点 : 福岡県大川市大野島(大野島IC(仮称))[4]
- 終点 : 佐賀県佐賀市嘉瀬町大字十五(佐賀JCT(仮称))[4]
- 延長 : 9.0 km[4]
- 規格 : 第1種第3級[4]
- 設計速度 : 80 km/h[4]
- 車線数 : 4車線
- 事業化 : 2001年(平成13年)度[4]
国土交通省の事業評価によれば、大川佐賀道路の新規採択時事業評価は、将来に得られる便益が1580億円、建設・維持にかかる費用が589億円である。すなわち、同区間の1 kmあたりの便益は158億円となる。
佐賀福富道路
- 起点 : 佐賀県佐賀市嘉瀬町中原(佐賀JCT(仮称))
- 終点 : 佐賀県杵島郡白石町福富(福富IC(仮称))
- 延長 : 10.5 km
- 規格 : 第1種第3級
- 設計速度 : 80 km/h
- 車線数 : 暫定2車線
- 事業化 : 2001年(平成13年)度
- 最高速度 : 70 km/h
福富鹿島道路
- 起点 : 佐賀県杵島郡白石町福富(福富IC(仮称))
- 終点 : 佐賀県杵島郡白石町深浦(国道207号交点)
- 延長 : 9 km
- 規格 : 第1種第3級
- 設計速度 : 80 km/h
- 車線 : 暫定2車線
- 事業化 : 2005年(平成17年)度
通過市町村
インターチェンジなど
- IC番号欄の背景色が■である部分については道路が開通済みの区間を示している。また、施設名欄の背景色が■である部分は施設が供用開始されていない、または完成していない事を示す。なお、未開通区間の名称は仮称である。
- 路線名の特記がないものは市町道。
- 『(間)』は他の道路を介して接続している間接接続。
- 大和南ICから柳川西ICまでは、側道である県道771号谷垣徳益線・772号徳益蒲船津線・703号柳川筑後線バイパスと各インターチェンジで接続する。
- 大川東ICから大川中央ICまでは、側道である県道716号水田大川線と各インターチェンジで接続する。
IC番号 | 施設名 | 接続路線名 | 起点から (km) |
備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
有明海沿岸道路(II期)(候補路線) | ||||||
三池港IC | 県道736号三池港線 | 0.0 | 福岡県 | 大牟田市 | ||
大牟田IC | (間)国道389号 | 1.9 | ||||
健老IC | (間)県道18号大牟田川副線 | 4.0 | ||||
大牟田北IC | 県道10号南関大牟田北線 | 5.0 | ||||
黒崎IC | 県道18号大牟田川副線 | 8.6 | 大牟田方面出入口のみ | みやま市 | ||
高田IC | 県道18号大牟田川副線 | 11.7 | ||||
大和南IC | 県道771号谷垣徳益線 | 13.7 | 大牟田方面出入口のみ | 柳川市 | ||
大和北IC | 県道771号谷垣徳益線 | 14.3 | 大川方面出入口のみ | |||
徳益IC | 県道771号谷垣徳益線 | 16.3 | 大牟田方面出入口のみ | |||
三橋IC | 国道443号 | 19.2 | 大川方面出入口のみ | |||
柳川東IC | 県道23号久留米柳川線 | 20.4 | 大牟田方面出入口のみ | |||
柳川西IC | (間)国道385号 | 21.4 | 大川方面出入口のみ | |||
大川東IC | 県道765号鐘ヶ江酒見間線 | 23.8 | 大牟田方面出入口のみ | 大川市 | ||
- | 大川中央IC | 県道768号新田榎津線 | 25.7 | 2020年度開通予定[5] | ||
- | 大野島IC | 27.5 | ||||
- | 諸富IC | 県道18号大牟田川副線 | - | 事業中 | 佐賀県 | 佐賀市 |
- | 川副IC | 県道48号佐賀外環状線 | - | |||
- | 空港東IC | 県道30号佐賀川副線 | - | |||
- | 空港西IC | 県道48号佐賀外環状線 | - | |||
- | 東与賀IC | 県道48号佐賀外環状線 | - | |||
- | 佐賀JCT | 佐賀唐津道路(調査区間) | - | |||
嘉瀬南IC | 県道287号十五中原線 | - | ||||
久保田IC | 県道48号佐賀外環状線 | - | ||||
芦刈IC | 国道444号 | - | 小城市 | |||
芦刈南IC | (間)国道444号 | - | ||||
- | 福富北IC | 白石町道 | - | 事業中 | 白石町 | |
- | 福富IC | 佐賀県道36号武雄福富線 | - | |||
福富鹿島道路(整備区間) |
- 大川東IC - 大川中央IC間に並行する一般道路部については、福岡県道716号水田大川線の各記事を参照。
- 福富鹿島道路については、2006年(平成18年)から道路のルートやインターチェンジの位置を検討中。
歴史
- 1985年(昭和60年)度 : 高田大和バイパスの都市計画決定
- 1988年(昭和63年)度 : 高田大和バイパスを一般バイパスとして事業化[4]
- 1993年(平成5年)度 : 大川バイパス (3 km) 事業化[4]
- 1994年(平成6年)12月16日 : 福岡県大牟田市から佐賀県鹿島市までの路線として地域高規格道路の計画路線に指定
- 1995年(平成7年)4月 : 高田大和バイパス、大川バイパスが地域高規格道路の整備区間に指定[4]
- 1997年(平成9年)9月 : 大牟田高田道路が地域高規格道路の整備区間に指定[4]
- 1998年(平成10年)
- 1999年(平成11年)度 : 大牟田高田道路 事業化[4]
- 2000年(平成12年)度 : 大川バイパス 事業化(7 km延伸)[4]
- 12月20日 : 大川佐賀道路、佐賀福富道路が地域高規格道路の整備区間に指定
- 2001年(平成13年)度 : 大川佐賀道路事業化[4]
- 2005年(平成17年)3月25日 : 福富鹿島道路が地域高規格道路の整備区間に指定
- 2007年(平成19年)2月 : 佐賀福富道路(嘉瀬南IC - 福富IC間)事業化
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)3月14日 : 高田IC - 大和南IC間(自専部2.0 km) 開通[4]
- 2011年(平成23年)3月6日 : 嘉瀬南IC - 久保田IC間 (1.7 km) 開通
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)
- 2016年(平成28年)
- 2017年(平成29年)9月16日 : 徳益IC - 柳川西IC(自専部4.5 km) 開通[4][9]
今後の予定
暫定開通区間における将来の自専道部の4車線化および一般道路部併設区間の未供用区間については、調査・設計が進められている。 佐賀市に設置が計画されている佐賀JCTでは、地域高規格道路の佐賀唐津道路に接続(E34 長崎自動車道および E35 西九州自動車道に連絡)する見通し。
路線状況
主な構造物
- 諏訪川橋(210 m)(三池港IC - 大牟田IC )[4]
- 諏訪公園橋 (150 m) (大牟田IC - 健老IC)[11]
- 健昭橋(堂面川橋) (201 m) (健老IC - 大牟田北IC)[4][11]
- 楠田川橋(潮風橋) (74 m) (黒崎IC - 高田IC)[11]
- 矢部川大橋 (517 m) (高田IC - 大和南IC)[4][11]
- 皿垣連続高架橋 (423 m) (高田IC - 大和南IC)[4][11]
- 坂井橋 (66 m) (柳川西IC - 大川東IC)[11]
- 筑後川橋(1008 m)(大川中央IC - 大野島IC)[12]。
- 早津江川橋(854 m)(大野島IC - 諸富IC)[12]
- 有明嘉瀬川大橋 (710 m) (嘉瀬南IC - 久保田IC)
サービスエリア・パーキングエリアなど
有明海沿岸道路の周辺では柳川市などを中心にロードサイド店舗が点在しており、無料で出入りが可能であることから、沿線にサービスエリア・パーキングエリアなどはない。ただし、2018年(平成30年)度に福富ICに隣接する形で道の駅しろいしが開業する予定になっている[13]。
ギャラリー
- Ariake-engan-omutabriage.jpg
建設が進む三池港方面の様子(大牟田IC付近)
- Ariake-engan-domengawa-briage.jpg
堂面川橋(福岡県大牟田市)
- Ariake-engan-yabegawahonsen.jpg
矢部川大橋付近(福岡県柳川市大和町)
- Ariake-engan-yanagawanishi-interchange.jpg
有明海沿岸道路 柳川西IC出口
- Ariake-engan-honsen1.jpg
健老IC付近の本線部(福岡県大牟田市)
脚注
- ↑ “ふっこくニュース (PDF)”. 国土交通省福岡国道事務所 (2011年9月8日). . 2014閲覧.
- ↑ “有明海沿岸道路の工事に伴う有沿道(大川東IC〜柳川西IC)及び県道柳川筑後線の夜間通行止めのお知らせ”. 国土交通省福岡国道事務所 (2014年6月24日). . 2014閲覧.
- ↑ 三池港や九州自動車道、九州新幹線、佐賀空港など
- ↑ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 4.13 4.14 4.15 4.16 4.17 4.18 4.19 4.20 4.21 4.22 4.23 4.24 4.25 4.26 4.27 4.28 4.29 4.30 4.31 4.32 4.33 4.34 4.35 4.36 4.37 4.38 4.39 4.40 4.41 4.42 4.43 “有明海沿岸道路 (PDF)”. 国土交通省福岡国道事務所 (2017年9月16日). . 2018閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 “有明海沿岸道路 大川東IC〜大野島IC間が平成32年度に開通します。 (PDF)”. 国土交通省九州地方整備局 福岡国道事務所 (2018年2月28日). . 2018閲覧.
- ↑ 有明海沿岸道路の「付加車線」開通のお知らせ 国土交通省 九州地方整備局 福岡国道事務所 2013年9月18日付
- ↑ “有明海沿岸道路の芦刈IC〜芦刈南IC間の開通日とインターチェンジ等の名称が決定しました”. 佐賀県 (2016年2月12日). . 2016閲覧.
- ↑ “開通3カ月の芦刈南IC 有明海沿岸道の路面陥没”. 佐賀新聞 (2016年6月24日). . 2017閲覧.
- ↑ “有明海沿岸道路 徳益IC〜柳川西IC間(4.5km)9月16日(土)に開通! 〜有明海沿岸4市が高速道路で直結します!!〜 (PDF)”. 国土交通省九州地方整備局 福岡国道事務所 (2017年7月11日). . 2017閲覧.
- ↑ “芦刈南IC、2018年夏までに全面復旧 有明海沿岸道路の盛り土崩壊”. 佐賀新聞 (2017年1月17日). . 2017閲覧.
- ↑ 11.0 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 “我が国有数の軟弱地盤を克服し、地域発展の核となる都市域を形成”. "建設グラフインターネットダイジェスト". . 2018閲覧.
- ↑ 12.0 12.1 “有明海沿岸道路 筑後川橋梁・早津江川橋梁の周辺環境に配慮した設計検討について (PDF)”. 国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所調査課. . 2018閲覧.
- ↑ “九州地方整備局管内の「道の駅」が新たに1駅登録へ 〜九州地方整備局管内では128駅に〜 (PDF)”. 国土交通省 九州地方整備局 (2016年10月7日). . 2017閲覧.