曲率形式
微分幾何学では、曲率形式(curvature form)は、主バンドル上の接続形式の曲率を記述する。リーマン幾何学では、曲率形式は、リーマン曲率テンソルの代行物か一般化と考えることができる。
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定義
G をリー代数 [math]\mathfrak g[/math] をもつリー群とし、P → B を主 G-バンドルとする。P 上のエーレスマン接続(Ehresmann connection)を ω とする。(エーレスマン接続は、P 上の [math]\mathfrak g[/math] に値を持つ 1-形式である。)
すると、曲率形式は P 上の [math]\mathfrak g[/math] に値を持つ 2-形式であり、
- [math]\Omega=d\omega +{1\over 2}[\omega,\omega]=D\omega[/math]
により定義される。
ここで、[math]d[/math] は外微分を表し、[math][\cdot,\cdot][/math] は [math][\alpha \otimes X, \beta \otimes Y] := \alpha \wedge \beta \otimes [X, Y]_\mathfrak{g}[/math] により定義され、D は共変外微分(exterior covariant derivative)である。別な表現をすると、
- [math]\,\Omega(X,Y)=d\omega(X,Y) + [\omega(X),\omega(Y)] [/math]
である。
ベクトルバンドルの曲率形式
E → B をベクトルバンドルとすると、ω を 1-形式の行列とも考えることができるので、上の式は構造方程式
- [math]\,\Omega=d\omega +\omega\wedge \omega [/math]
となる。ここに [math]\wedge[/math] はウェッジ積とする。さらに詳しくは、[math]\omega^i_{\ j}[/math] と [math]\Omega^i_{\ j}[/math] で、それぞれ ω と Ω の成分を表すとすると(各々の [math]\omega^i_{\ j}[/math] は通常の 1-形式で、各々の [math]\Omega^i_{\ j}[/math] は通常の 2-形式である)、
- [math]\Omega^i_{\ j}=d\omega^i_{\ j} +\sum_k \omega^i_{\ k}\wedge\omega^k_{\ j}[/math]
となる。
例えば、リーマン多様体の接バンドルに対して、構造群は O(n) であり、Ω は O(n) のリー代数に値をもつ 2-形式であり、反対称行列である。この場合には、曲率形式 Ω は曲率テンソルで記述すると、 [math]\,R(X,Y)=\Omega(X,Y),[/math] となる。
ビアンキ恒等式
[math]\theta[/math] が標構バンドル上のベクトルに値を持つ標準 1-形式であれば、接続形式 [math]\omega[/math] のトーション [math]\Theta[/math] は、ベクトルに値を持つ 2-形式で、次の構造方程式によって定義される。
- [math]\Theta=d\theta + \omega\wedge\theta = D\theta.[/math]
ここに、上記のように、D は共変外微分(exterior covariant derivative)である。
第一ビアンキ恒等式は、
- [math]D\Theta=\Omega\wedge\theta[/math]
であり、第二ビアンキ恒等式は、
- [math]\, D \Omega = 0 [/math]
で、より一般的な主バンドルのに任意の接続に対して有効である。
参考文献
- Shoshichi Kobayashi and Katsumi Nomizu (1963) Foundations of Differential Geometry, Vol.I, Chapter 2.5 Curvature form and structure equation, p 75, Wiley Interscience.