春秋左氏伝
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『春秋左氏伝』(しゅんじゅうさしでん、旧字:春秋左氏傳、拼音: )
中国,春秋三伝の一つで,経書に数えられている。『左氏伝』『左伝』ともいう。孔子と同時代の人,左丘明が孔子の『春秋』の正しい意味が失われることを恐れて,『左伝』をつくり,また『国語』を著わしたと伝えられているが実際は漢代の学者が『国語』その他の伝承史料により,『春秋』の編年に合せて編集したものと考えられる。『公羊伝』の政教主義を捨てて,『春秋』の背景の史実を暢達な文章で記述し,これに義例を加えて倫理道徳の教えを展開している。この後,劉きん (23没) が今文学を排斥して古文学を興そうとし,『左氏伝』を推賞したので,漢代の今文学者は,それが偽作であると非難した。『左氏伝』は三伝のうちで最も遅れて世に出たが,後漢に古文学が行われるにつれ,『公羊伝』に代って『春秋』の正伝となり,晋の杜預 (とよ。 284没) が『春秋経伝集解』を著わし,唐の孔穎達 (こうえいたつ) がそれをもとにして,『春秋左氏伝正義』を編集するにいたって,その位置は不動になった。批判的処理を要するが,春秋時代の歴史を知る貴重な文献である。