数学パズル

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数学パズル(すうがくパズル)は算数数学的な発想や応用によるパズルの総称で、レクリエーショナルマセマティクス(en:Recreational mathematics)の1分野である。多くが中学校くらいまでに習う数学で解く事が可能であるが、一方で高度な数学や近年開拓された分野、あるいはコンピュータの利用が前提、といったような問題もある。数学より広い範囲をイメージした用語で「数理パズル」といった語もある[1]

ファイル:Vagão desajeitado.webm
ワゴンは、数学的関数によって与えられる経路を移動しなければならない。

数学のすべての範囲がパズルの元になりうるが、整数や幾何を元にしたものが多い。

主な数学パズルの作者としては、サム・ロイドヘンリー・アーネスト・デュードニーの名前が挙げられる。共に19世紀末から20世紀はじめにかけて新聞や雑誌などの連載を通じて多くのパズルを発表した。20世紀後半には、マーティン・ガードナーは自身が多くのパズルを考案した他、世界的に探索・コレクションし、雑誌への発表など精力的に愛好家の間の交流をはかり、彼にちなんだGathering 4 Gardner(en:Gathering 4 Gardner, Inc.を参照)という交流組織がある。

数学パズルの問題は短いストーリーを伴って出題されることが多い。これには、数学的な部分を表に出さないようにしつつ解答者に問題を理解させる効果もある(また、正解に誘導するヒントであったり、逆に正答が難しくなるようなミスリードであったり、『料金紛失』(この名称は、日本語版ウィキペディアの記事名として偶然選ばれているというだけで、一般的なものではない)のようにストーリー自体がパズルそのものであることもある)。

幾何

幾何の問題の中には、補助線の引き方などに発想を求められることがある。そのためか数学パズルの中でも、幾何を元にしたものは多い。

代表的なパズルとしては形を変形する裁ち合わせなどがある。

江戸時代の和算の問題で、特に算額に描かれたようなものは、パズルとしてみなされることがある。[2]

小谷の蟻の問題」のように、思考や解答の過程は幾何的な操作になるが、主題としては「図形の表面を移動していって、最も遠い点」というような古典的な幾何学ではあまり扱われないものが対象の図形的数学パズルもある。

数字と計算

計算を元にしたパズルも多い。計算の練習問題がそのままパズルとして認知されるようになった虫食い算が代表的な問題である。

計算を用いるパズルとしては他に、魔方陣小町算覆面算4つの4などがあるが、最後の物を除けば基本的に用いる演算は四則演算のみである。

最古の数学パズルともいわれるリンド・パピルスの問題も計算問題である。

数字を使った問題も多い。多くの場合にはフィボナッチ数三角数平方数といった特徴的な数字が使われる。

論理

いくつかの命題が与えられ、各命題を矛盾無く真か偽に振り分ける唯一のパターンを見つける、といったようなスタイルのロジックパズルという分野がある。学術的には制約充足問題などとして扱うことができるようなものである。

代表的な問題として、「天使と悪魔(嘘つきと正直者)」「帽子の問題」「天秤の問題」などが知られている。

グラフ理論

一筆書きができないパターンをグラフ理論で説明する(有名な例として「ケーニヒスベルクの橋の問題」など。しかしこれは数学パズルの分野というよりは、数学のある分野を応用してパズルを検討する、といったほうが適切かもしれない。四色定理なども証明はグラフ理論によって行われたが、問題自体は純粋にパズル的だとも言えるし、「ここに示す境界線に従って塗り分けてみよ」というような問題は数学パズルと言える(実際に四色定理の証明が示されたその少し前に、そのような数学パズルが(エイプリルフールのジョークで)「四色定理の反例」と称して一般向け数学雑誌に掲載されちょっとした騒動を起こした))。

セル・オートマトン

セル・オートマトンの問題にもパズル的なものがある。例えば「一斉射撃問題」など。

  1. 池野信一他著『数理パズル』(中公新書 427)等
  2. 和算」自体、「西洋の数学」的な体系立ったものでなかった点でパズル的だったと言えるかもしれない。