敬語

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敬語(けいご、: honorifics[1])とは、主体(書き手、話し手など)とその相手(読み手、聞き手)やその話題中の人物との社会的関係(親疎、権力の大小)と態度を表す言語表現である[2]ポライトネスを実現する手段の1つであり、狭義には体系的に文法化されているものを指すが、広く敬称などの語彙的表現を含む場合もある[3]

日本語の敬語を含めた日常語は、主従関係、親疎、ウチとソト、自らが相手に持つ敬意感情あるいは親しさを「自己表現」したものである。この表現を誤ると、聞き手に、この話し手は自分の地位を認めない無礼な人間だ、と思われる事が起こり得る。一方で敬語によって相手との力関係や距離感を示すことは侮辱ともなりうる。過去の都である京都を中心に敬語が発達し、従来は、父親を「お父様」と呼ぶような、上下関係における絶対性を位置づけた「絶対敬語」であったが、とりわけ戦後の日本ではそうではなく、敬語ではなくパパなどと呼ぶように、使用場面によって使い分けられる「相対敬語」へと変化した。敬語の使用には地域差があり、西日本では日常的に用いられるが、東日本では改まった場面に限られる傾向がある。また21世紀に入りマニュアル敬語などに用いられ、おかしいとされる二重敬語、物への敬語の使用など多様化している。

従来、敬語とは、尊敬語(相手を高める)、謙譲語(自分をへりくだる)、丁寧語(です・ます)からなるとされた。2007年の文化庁文化審議会の『敬語の指針』は、謙譲語をIとIIの2種に分け、「お茶」のような「お」や「御(ご)をつける」美化語を敬語だとみなした。一般には、尊敬語と謙譲語だけが敬語だと認識されている。[4] 現代では、尊敬語と謙譲語よりも丁寧語が前面に出てきた。

敬意・敬遠の対象

Shibatani 1994が分類したように敬語が表現する敬意(敬遠)の対象は少なくとも3つある。

話題中の人物(素材敬語)

敬称 英語Mr. や日本語の「様」など、固有名詞とともに用いられるもので様々な言語に見られる。
敬称代名詞 ジャワ語に見られる特別な代名詞や単数の代わりに複数を用いたり、代名詞を用いずに称号や親族名称を代用する方法など。

日本語の場合、人称代名詞が固定の英語(I/you)や中国語(你/我)などと違い、1人称2人称は(私/あなた)以外に無数に選べるので、人称の選択も敬語表現の一部ということができる。

例えば日本語2人称の「貴様」は明治以前は相手への尊敬の意味を込めた言葉だったが、逆説的に「侮蔑」の意味で使われるようになったため、現代では尊敬表現とはみなされない。

名詞尊敬語 名詞の指示する人物やその指示対象の持ち主などへの敬意を表す名詞。日本語には「父上」や「貴社」など豊富にあるが、通言語的にはめずらしい。
動詞尊敬語 動詞の主語(動作主)に対する敬意を表す表現。
日本語、朝鮮語チベット語などに見られる尊敬の接辞や補充形のほか、日本語の尊敬の動名詞(「そんなことはないとお考えの皆さま」)や尊敬の形容詞(「お美しい」「お綺麗だ」)など。

尊敬に対応する謙譲語を持つ言語もある。タイ語や朝鮮語、日本語の謙譲の一人称代名詞や動詞謙譲語などがある。尊敬語と謙譲語は同時に用いられる場合もあり、この場合、動詞の主語と目的語が同時に敬意の対象となっている(チベット語や中古日本語など)。

聞き手(対者敬語)

敬称の二人称代名詞は素材敬語であるとともに対者敬語でもある。そのほかに以下のような聞き手に対する敬意を表す形式がある。

呼掛け語 英語の sir/ma'am など。
小辞 タガログ語po、タイ語の kha/khrap など。
接辞 日本語の「ます」など。
活用 バスク語の聞き手活用。敬称を用いる聞き手と親称を用いる聞き手で違う活用をする。

その場にいる人(回避体)

話の聞こえる範囲に「タブー」の親族や上位者がいるときの表現。義母語や義兄語などが知られる。例えばオーストラリアのジルバル語English版には異性の義理の親などタブーとされる親族のいるところで使うスタイルが存在する。

敬語の方法

さまざまな言語に共通してみられる敬語の方法は行為や行為者を直接に指示しないことである。

  • 行為者の代わりにその人物がいる場所を指す名詞や指示詞を用いる。
  • 人称を変える(二人称を三人称にするなど)。
  • 単数を複数にする。
  • 標示を変える(「天皇」→「天皇陛下おかせられては」など)。
  • 受動態を用いる。
  • 迂言法を用いる(1語の動詞「読む」を「お読みになる」のように複数の語で表す)。

敬語の国際比較

日本語などでは複雑に体系化されているが、ヨーロッパ近代語では日本語ほど体系的には使われていない。

ヨーロッパ近代語に敬語があるかないかは敬語の定義次第である。敬語を広く「人物間の上下関係や親疎関係を反映した言語表現」と定義すれば、ヨーロッパ近代語にも以下のような例がある。英語で丁寧な命令文にpleaseを付ける例を始め、学校で生徒が教師に、軍隊で兵士が上官に対する応答の文末にsir/madam(ma'am)を付ける例、2人称代名詞の敬称(動詞の活用も3人称など本来の二人称形と異なる形を用いる)が存在する。英語の二人称代名詞であるyouも、もともとは敬称であった。英語話者が、家族であろうと親しい友人であろうと、常に本来敬称であったyouのみを使うようになったためにyouが敬称としての意味を失い、敬称でない(親称の)thouが忘れ去られるに至ったものである[5]

日本のような尊敬語、謙譲語とすると、英語にはない[6]

親称であるthouは、キリスト教での神への呼びかけ、散文、説教、あるいは方言的に親が子に対し、あるいは親しい者同士で用いる[7]。ドイツ語でキリスト教の神には、敬称のSieではなく親称のduを使うが、それは身近な存在だからであると考えられる[8]。この場合、親しみと尊敬は同居できる[8]

対して、日本語の敬語は、親しみが減っている場合の表現でもある[8]

日本語における敬語

敬語の成立

浅田は神道の祝詞から敬語が発生したという説を提唱しており、太古には神々を崇めるための特別な言語形式であり、神との距離を図ったものである[9]。事実、古代の敬語は祭祀を行う天皇のみが用いてきたもので、祝詞に敬語の萌芽が見られる[9]。絶対的な立場である神に対して「絶対敬語」として敬語が誕生し、従来は相手の身分に応じて敬語が用いられてきた[9]。「です・ます」のような丁寧語は用いられておらず、この丁寧語は8世紀ごろに誕生したとされる[9]。拡大して天皇に対して敬語が適用されるようになり、身分制度における敬語の使用へも発達していった[9]

尾鼻によれば、祝詞は畏怖の感情を表明するもので、ソトの存在であり、また上の存在である神に対して、ウタう、つまり訴えを行うものである[9]。豊作に対する感謝の気持ちを訴えたり、天地災害に対しては怒りを鎮めるよう、あるいは病が癒えるよう、またそれが治れば感謝を訴えた[9]。敬語が使われる動機は自らではなく神という畏れ多い存在があり、畏れ多い絶対的かつ上位の存在である神に対して慎重に言葉を選ぶ必要があった[9]

敬語の起源として、タブー起源説があるが疑問が呈される[9]

相対敬語へと変化していく。

尊敬語は奈良時代には例があり、西日本に多く、東日本に少ない[10]。丁寧語は、平安時代に芽が出てきた[10]。中世には、ソトに人に身内のことを説明する時に、身内を高める敬語を使った[11]。つまり、年上の祖父に対して普段敬語を使っているため、客にもその敬語のまま伝えるということであり、この用法は21世紀でも関西に残っている[11]。後にこのような場合は、謙譲語によってへりくだって説明するように変わった[11]

江戸時代には、身分によって、また同じ身分でも栄えている家柄に対して敬語を使うようになり、一方で、九州では個人的な年齢差によって年上には敬語を使うようになった[11]。「です」は明治時代に東京でよく使われるようになり、全国に普及した[10]

現代の敬語

対して、現代の日本は民主主義の社会、基本的人権の元に平等な社会である[12]。このような社会では、相互の尊重のために敬語は一定の程度は有用である、あるいは敬語は清算すべきという、根本的には両極に価値観が分かれる[13]。またどのよう価値観を抱き表現するかは、思想・良心の自由表現の自由が憲法によって保障されている。敬語では親しみを表せないと信じている人もいれば、キャラづくりとしてタメ口を表現している芸能人までさまざまである[14]

「絶対敬語」は、上下関係を元にしているが[9]、現代の敬語は、「相対敬語」であり、自らの相手へのスタンスが動機となる[9]。一般に家庭内で祖父や父に敬語は使わないようになった[15]。変動する相対的な上下関係、親疎、社会関係、状況、気持ち[9]、恩恵関係[16]などが絡んで用いられる。また、性別、ウチとソトなども要因となる。上位の存在に対して敬語を用いているのは変わらない[9]。しかし誰を上位だとみなしているのかは個々の価値観に由来する。

大勢に話す時、また改まった場、あるいは依頼する時、また身構えた時に敬語が用いられる傾向もある[9]

敬語は、弱い立場への力関係を示したり、皮肉や冷たさも表現することも可能である[9]。また、敬語は距離感を保つための形式でもあるため、仲を深めることを拒否しているという意思表示ともなり、親しさを伝えるためには敬語以外の表現が効果的である場合もある[17]。言葉を丁寧にしても、態度が無礼で配慮がなければ慇懃無礼と言われ、一方、言葉遣いが丁寧すぎるからといって変ではなく、自分の基準だけが正しいと思うこともよくない[12]。「男はつらいよ」の寅さんに出てくるような、「まだ生きてやがったか」のような罵倒じみた挨拶でさえ、旧知の中では再開の喜びを表すことすらある[18]

1952年には国語審議会にて「これからの敬語」が建議された[19]。封建時代(身分制度)からの習慣であるため(戦後の)民主主義では敬語は清算すべきという説、一方で民主主義では個を尊重する相互の尊敬が基盤となるため、ある程度は敬語が有用であるといった説があり、後者を採用して、敬語の行き過ぎた形はいましめて、誤用を正し、また簡素にするということが話し合われることとなった[13]。これまで敬語が上下関係から発達した点は民主主義的に改め、また女性の敬語や美称の使い過ぎ、商業における不当に相手を高める高い敬語や、逆に自らを下げる謙遜語は、自他の人格的尊厳を見失うことがあるため、よく戒めるべきものであることが指摘された[19]。しかし、簡素化された敬語が普及することはなく、「れる型」の敬語も推奨したが普及しなかった[19]。また相手を指す時「あなた」を標準形とし、「貴殿」「貴下」などを置き換え、「殿」は「様」に置き換え、米のように男性が「お」を省くものは女性でも省き、「です・ます」体を基本とするが、親愛体としての「だ」調を妨げるものではないともされた[20]

身分、上下関係、目上かどうかと年齢を重視した尊敬語と謙譲語が前に出た敬語であった従来の敬語から、親疎を考慮した現代の敬語へと変質し丁寧語が前にも出てくることとなった[14]。そして、一般の認識では敬語とは、尊敬語と謙譲語である[4]

その後、敬語の再検討に至るのは、40年が経過し1993年以降であり、その間に敬語の使用の低迷も招いており、2007年に「敬語の指針」が発表され再び敬語に注目が集まり、また従来の3分類から美化語の追加などで5分類へと改められた[19]。相互尊重による敬語という考えは継承された。この指針によれば、敬語は自分との関係を表現するものであり、コミュニケーションを円滑にし、人間関係を築くときに用い、また気持ちの表現手段であり、敬い、改まった気持ちを表現するものだとされた[9]。直後2008年の中学校の教科書では3分類が教えられていたりもし、統一的ではなく、ある教科書では、敬意を示す時に使うとし、ほかの教科書では、改まった気持を表すとか、人間関係に応じた言葉遣いだとされている[9]。「敬語の指針」では「あなた」について解説されており、本来は敬意の高い敬語だが、21世紀初頭では夫婦など身内で親しみを込めて用いる場合を除いては、対等から下位の者に対して一般に使われており、中立的でやや冷たい響きでもあるとされる。

21世紀には、過剰な丁寧語への変化が見られる。それまで敬語は相手との心理的距離を表していたが、自らの言葉遣いを示す側面も増えた[21]。「敬語の指針」では、その場にいない人への敬語の使用は違和感が感じられる可能性があるとし、その場にいる聞き手だけを意識して使われるようになったという変化が取り込まれている[22]。「お召し上がりになる」のような、「召し上がる」に「お」がついた二重敬語だが「敬語の指針」や敬語の実用書でも推奨されており、広く認められた使い方になっているし、アンケート調査でも違和感を持つ人は1割程度である[23]。「敬語の指針」ではこうした時代を経た様々な変化が反映されている。

5分類の背景には、言葉遣いをきれいにしようと単語に「お」をつける美化語を、特に東京近郊の女性が多用しだしたことによって、全国的に波及したことがある[10]。同様に首都圏の女性では尊敬語の用法が広がっており、過剰とされる二重、三重の敬語が使われる[10]。敬語の変化を大規模調査してきた井上史雄によれば、5分類は、21世紀の東京の敬語を説明するには適するが、3分類でよいとしている[10]。このように敬語だけに関わらず日本語は流動しており、敬語については敬意を示そうとしたという部分に注目し、誤りにだと思う部分を寛容に受け止めることも大切となる[17]

敬語は敬意を表現するものであるというのが、主流の見解のひとつであり、「米」を敬っていれば「お米」と表現するため、これらの人々では話者の品位を表すために「お米」と呼ぶ美化語は認めないという立場をとる[9]

尾鼻によれば、敬語の形式を用いるのは、敬意からではなく、相手にとる距離感からである[9]。敬語によって適切な距離感をとれば敬意を表することもできれば、敬語によって不要に距離を取れば侮辱ともなりえる[9]。親疎の疎、言い換えればソトの存在だとみなしている場合、警戒心から敬語を用いて心的距離を置く場合もある[9]。こうした新たな研究領域からは、待遇表現という用語でも呼ばれている[19]

あるいは櫻井によれば、現代の敬語は商業主義から成り立っており、客を上位として扱っていることに由来する[9]

2007-2008年の3652人の調査では、50代までは90%以上が敬語を使い分けており、60代以上では約80%であった[24]。使い分けの男女差は使い分けていない人は男性の方が若干多い[24]

2014年の広島大学の生徒44名を対象とした調査における、同年代と思われる見知らぬ人から話しかけられた時、敬語を使用について回答した人の割合を示す[16]。なお相手が日本時ではなく外国人では、そう思う人の割合はより低い。

  • 授業中、授業後、クラブ活動では「やや失礼だと思う」以上の回答は約半数で、道を尋ねられるという場面では7割となる。
    • それぞれの場面で失礼だと思わないとの回答は6.8-20%程度である
  • アルバイト中で、同年代の見知らぬバイトから話しかけられた場合、「やや失礼だと思う」以上の回答は、仕事中では30%だが、休憩中では6.8%。
    • この場面では、失礼だと思わないという回答率が多くなっており、とりわけ休憩中では50%であった。

敬語の分類

一般に、敬語を尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つに分類してきた。中学校では3分類で敬語の学習をしているほか、常体敬体についても学習している。

一方、日本語学においてはさらに丁重語・美化語を立てた5分類が多く使われている。2007年に、文化庁の文化審議会は「敬語の指針」[12]を示し、尊敬語・謙譲語I・謙譲語II(丁重語)・丁寧語・美化語の5分類へと改めた[19]

この3および5分類の違いは、敬語にはその性質上、話題中の人物を高める「素材敬語」と話し手が対面している聞き手を高める「対者敬語」があるが、5分類は従来の3分類をこの点で区別することで定義されたものである。また、丁寧語の一部である美化語は「敬語」からは外されることが多い。

また、「敬語の指針」は、敬語は「古代から現代に至る日本語の歴史の中で、一貫して重要な役割を担い続けている」とし、現代においても人と人との「相互尊重」の気持ちを基盤とした「自己表現」を表す意味において重要な役割を果たすとした[12]

3分類 5分類 特徴
尊敬語 尊敬語 素材敬語 話題中の動作の主体が話し手よりも上位であることを表す語
謙譲語 謙譲語 話題中の動作の客体が話題中の動作の主体よりも上位であることを表す語
丁重語 対者敬語 聞き手が話し手よりも上位であることを表す語
丁寧語 丁寧語 聞き手が話し手よりも上位であることを表す語尾の「です」「ます」「ございます」など
美化語 - 上品とされる言い回し・言葉遣い

尊敬語

話題中の動作や状態の主体が話者よりも上位である場合に使われる。動詞助動詞形容詞の語形変化を指すが名詞の語彙を変えることも尊敬語に含む場合がある(例:だれ→どなた)。

動詞の語形変化には以下のような方法がある。

  • 語彙自体を変える - 例:いる・行く→いらっしゃる、食べる→召し上がる、見る→ご覧になる、する→なさる
  • お / ご~になる - 例:待つ→お待ちになる、掛ける→お掛けになる
  • お / ご~なさる - 例:待つ→お待ちなさる、掛ける→お掛けなさる
  • れ / られ - 例:待つ→待たれる、掛ける→掛けられる

形容詞・形容動詞の語形変化には語の前に「お / ご」を付ける。

  • 忙しい→お忙しい、多忙→ご多忙

人名には後に「様」「さん」「殿」「陛下」「先生」「先輩」「閣下」「社長」「部長」など敬称や職階をつける。

名詞には前に「お」「ご」「御(おん)」「み」「尊」「貴」「玉」などをつける。通常大和言葉には「お」を、漢語には「ご」を付けることが多い。「お」「ご」の2つは美化語としても用いられる。「み」以降は付けられる名詞が決まっており、造語力が低い。

  • 車→お車
  • 亭主→ご亭主
  • 心→お心、み心(表記は「御心」で同一)
  • 父→ご尊父
  • 会社→貴社
  • 原稿→玉稿
  • 自宅→お住まい

尊敬語はその昔、階級によりその用い方が決められていたものがある。今日においても皇室典範などや慣習によって、天皇皇族についてのみ用いられる。ただ日常では滅多に使われない。崩御なども単に「死去」や「お亡くなりになる」などと表現することもある。

  • 誕生
    • ご誕生が一般的だが、1940年代までは皇族の誕生のみ降誕といった(天から地上に降った神の一族として扱っていたため)。
  • 死亡(用いられる対象については各項を参照)
  • 自宅

謙譲語

話題中の動作の客体(間接的である場合もある)が話題中の動作の主体よりも上位である場合に使われる。そのため謙譲語は話題中に2人以上の人物が登場しなければならない。動作の主体を謙す言い方であり、主体=話し手の場合には自分が謙ることになる(卑しめるという意味ではない)。

動作の客体となる人物は聞き手でも第三者でもよく動作の主体は話し手・聞き手・第三者の誰でもよいのであるが、会話の場にいない人物への敬語が使われなくなってきたため動作の客体が聞き手、動作の主体が話し手である場合が多くなっている[注 1]。これを受けて謙譲語の一部は動作の客体がいない場合でも使え、聞き手に対する敬意を表す丁重語としても使われるようになった。「やる」の謙譲語の「上げる」のように謙譲の意味が薄れている、または「食う」の謙譲語「食べる」のように謙譲の意味がほぼ消滅した語もある。

謙譲語は客体を高める語である。古文では天皇・皇族や貴族の動作に謙譲語がついた例もある。

語形変化には以下のような方法がある。

  • 語彙自体を変える - 行く→伺う、見る→拝見する、する→致す
  • お / ご~する - 待つ→お待ちする、掛ける→お掛けする
  • お / ご~頂く・申し上げる - 買ってもらう→お買い頂く、辞退する→ご辞退申し上げる

名詞に関しては規則的に謙譲語を生成することができないが、下記のような例がある。

  • 茶→粗茶
  • 品→粗品
  • 贈り物→つまらない物
  • 妻→愚妻(同様に愚息、愚兄、愚弟、愚妹)
  • 夫→宿六(“うちの碌でなし”を略し、更に字を充てた)
  • 自分の子→豚児(但しここまで卑下するのは当人の自尊心を傷つける事にも繋がるので控えるべしという意見がある)
  • 著作→拙著
  • 理論→拙論
  • 当社→弊社、小社

なお、物を贈る際に「つまらないもの」と称することが日本語独特の表現のように言われることがあるが英語でも"This is my little gift to you."(小さな贈り物です)のように自らの贈り物について謙遜する表現は存在する。

向かう先のある名詞に関しては接頭語「お / ご」を付けた形も謙譲語として用いられる。

  • 手紙→お手紙を差し上げる、辞退→ご辞退を申し上げる、ご連絡を差し上げる

これらは同じ語形で尊敬語とも謙譲語ともなる。

  • 先生へのお手紙、お客様へのご連絡 - 謙譲語
  • 先生からのお手紙、お客様からのご連絡 - 尊敬語

丁重語/鄭重語

聞き手が、話し手よりも上位であることを表す動詞の語彙をいう。必ず丁寧語「ます」を伴うことが特徴である。また話し手は話題中の動作主であるか動作主と同じグループに属する。従来、謙譲語として扱われてきたものであるが謙譲語と違って動作の受け手が存在しなくてもよい。その多くは謙譲語を兼ねているが、丁重語だけに使われるものに「おる(おります)」がある。たんに丁寧語「ます」だけを使うよりもより丁寧である印象を相手に与える。このため自分を上品に見せるための美化語に分類することもある。

  • 今、自宅にいる。→今、自宅にいます。→今、自宅におります。
  • 出張で大阪に行った。→出張で大阪に行きました。→出張で大阪に参りました。
  • 山田と言う。→山田と言います。→山田と申します。

丁寧語

聞き手が話し手よりも上位である場合に使われる語をいう。広義として聞き手に対する配慮を表すもろもろの語を含める場合があるが、文法的に語末に使われる現代語の「です」「ます」「ございます」、古語の「はべり」「候ふ」などを指す。

聞き手が上位の場合の「です・ます」で終わる文体を敬体、同等や下位にある場合に使われる「だ」や動詞・形容詞の終止形で終わる文体を常体と呼ぶ。

丁寧を表す語形変化は以下の通りであるが文法カテゴリーに応じて語彙を変える場合があり、文法的には丁寧語というよりも丁寧体として分析される。

  • です
    • 名詞+繋辞 - 学生だ→学生です(現在)、学生だった→学生でした(過去)、学生ではない→学生ではありません(否定)、学生だろう→学生でしょう(推測)
    • 形容動詞 - 綺麗だ→綺麗です(現在)、綺麗だった→綺麗でした(過去)、綺麗ではない→綺麗ではありません(否定)、綺麗だろう→綺麗でしょう(推測)
  • ます
    • 動詞 - 見る→見ます(意志)、見た→見ました(過去)、見ない→見ません(否定)、見よう→見ましょう(勧誘)
  • ございます
    • 形容詞 - 忙しい→忙しゅうございます(現在)、忙しかった→忙しゅうございました(過去)、忙しくない→忙しゅうございません(否定)、忙しいだろう→忙しゅうございましょう(推測)
      • ウ音便を用いて「ございます」に接続させる形(例:忙しゅうございます)が伝統的な丁寧体である。形容詞に名詞や形容動詞で用いる「です」を接続させる形(例:忙しいです)は誤りであるとする考え方もあるが、1952年の第1回国語審議会「これからの敬語」では「平明・簡素な形として認めてよい」とされた[25]

美化語

美化語とは話者が聞き手に上品な印象を与えるために使う語のことである。文法的に見て敬語とは言えないが、聞き手に対する配慮を示しているということで敬語に準じるものとしたり丁寧語に分類することもある。名詞には「お」や「御(ご)」を付けたり、語彙を変えたりして作られる。原則として、「お」は和語に付け、「御(ご)」は漢語に付ける。これには普通に使われるもの、男女に差があるものの、たまに使われるものなど違いで分けられる。また、「バカ」と「おバカ」のようにニュアンスの変わるものもあるので注意を要する。また丁重語を美化語に入れることもある。美化語の中には女房言葉に由来するものも多い。

  • 「お」をつける - 店→お店、茶→お茶、菓子→お菓子、食事→お食事、飲み物→お飲み物、芋→お芋[注 2]、下劣→お下劣、下品→お下品
  • 「御(ご)」をつける - 住所→御住所、立派→御立派、説明→御説明、祝儀→御祝儀
  • 語彙を変える - めし→ごはん、腹→おなか、便所→お手洗い

不規則動詞一覧

「お~になる」「~れる・られる」(尊敬語)、「お~する」(謙譲語)、「~ます」(丁寧語)のようにいろいろな語に適用できる一般的な語形(一般形)ではなく、特定の語形(特定形。補充形とも言える)が用いられる動詞とその特定形の一覧を示す。ただし特定形に限定されず一般形を使える場合も多いことから、「三省堂 Web Dictionary」の一覧表において一般形が挙げられず特定形のみ示されているケースを太字で示す[26][12]

(注)空欄は一般形のみ存在するケース。「-」は一般形も存在しないケース[† 1]
一般 尊敬語 謙譲語 丁寧語
会う   お目に掛かる
お目もじする[† 2]
与える
やる
差し上げる
上げる
献上する
献呈する
献じる
進呈する
上げる[† 3]
ある - - ございます
言う おっしゃる 申し上げる
申す
申す
行く いらっしゃる
おいでになる
お越しになる

.[† 4]
伺う
参上する
上がる
参る
参る
いる いらっしゃる
おいでになる
おられる
[† 5]
おる おる
受ける 拝受する[† 6]
思う 思し召す[† 7] 存じる
買う お求めになる
求められる
- 求める
借りる 拝借する
聞く (~が)お耳に入る 伺う
承る
拝聴する
着る 召す
お召しになる
-
来る いらっしゃる
おいでになる
見える
お見えになる
お越しになる
参る 参る
くれる 下さる
賜わる
[† 8]
-
死ぬ お亡くなりになる
亡くなられる
逝去する
- 亡くなる[† 9]
知らせる お耳に入れる
知る ご存じだ[† 10] 存じる
存じ上げる
承知する
する なさる
あそばす[† 11]
いたす いたします
訪ねる   伺う
参上する
上がる
お邪魔する
尋ねる
食べる 召し上がる
上がる
頂く
頂戴する
頂く
飲む
寝る お休みになる
休まれる
- 休む
見せる お目に掛ける
ご覧に入れる
見る ご覧になる 拝見する
命じる 仰せ付ける[† 12] -
もらう   頂く
頂戴する
賜わる
[† 13]
拝受する[† 13]
読む 拝読する[† 14]
  1. 表中の「-」は、特定形が無く「お~する」の一般形も作れないケース(<向かう先>に人物が想定できない動詞、あるいは<向かう先>に人物があっても慣習上使われなくなった場合)。
  2. あまり使われない女性語
  3. 旧来の規範では謙譲語とされていたが「謙譲語から美化語に向かう意味的な変化」が定着しつつあり、文化審議会答申「敬語の指針」において敬語意識の多様性に留意すべき一例とされた。
  4. 「敬語の指針」では「行かれる」で相手に対する敬語の程度が十分な地域もあれば不十分になりかねない地域(例:東京圏)もあることを例示し、敬語には地域差があることを指摘した(参照:敬語#方言における敬語表現)。「お行きになる」は統語的に間違いではないが慣習上あまり使われない。
  5. 「おる」と「おられる」の用法は地域差が大きい。「おる」は元々西日本的な表現であり、「おられる」も西日本で多用される。「いる」を常用する東日本では「おる」は謙譲語であるとの意識が強く、「おられる」に抵抗を持つ者もいる。また京阪地域では「おる」は軽い軽蔑語・謙譲語に用いられ本来尊敬語には用いられないが、共通語の影響から現在では「おられる」が多用されている(参照:おられる - ウィクショナリー日本語版[1])。「いられる」は統語的に間違いではないが、共通語では慣習上ほとんど使われない。
  6. 主に書き言葉として使用
  7. あまり使われない
  8. 主に書き言葉として使用
  9. 日本国語大辞典(小学館)は「尊敬表現や謙譲表現を用いるべき人に対しても、単に「なくなる」ということもできる。」としている。
  10. 「ご存じだ」は「知っている」の尊敬語(参照:「敬語の指針」(文化審議会答申 平成19年2月2日))。
  11. あまり使われない
  12. 日常会話ではあまり使われない。
  13. 13.0 13.1 主に書き言葉として使用
  14. 例外として名前等の文字の読み方を尋ねる場合などは「拝読する」ではなく「お読みする」を使う。

敬語以外の待遇表現

敬語以外の待遇表現も話題中の人物に関する素材待遇表現と、聞き手に対する対者待遇表現に分けられる。素材待遇表現には、尊大語・侮蔑語がある。対者待遇表現は丁寧語である「です・ます」をつけないぞんざいな語を用いることで聞き手が同等あるいは下位であることが表現される。また、特に聞き手を卑下し、罵倒する表現を卑罵語として分類することがある。

侮蔑語

方言における敬語表現

現在、各地方特有の敬語は、共通語の敬語に置き換えられたり、階層社会の変化によって使われなくなったり(例:旧城下町の士族言葉)、有力な地域の方言の敬語が周辺地域に影響を及ぼしたり(例:名古屋弁「みえる」の岐阜県への伝播)するなど、様々な変化を起こしている。場面に応じた使い分けで方言と共通語の敬語が共存している地域もあり、例えば近畿地方では、高い敬意を表す尊敬語「なはる」「お・・・やす」や丁寧語「だす・おます」「どす・おす」は共通語の敬語に押されて衰退したが、くだけた場面でも多用される軽い尊敬語「はる」は共通語の敬語に置き換えられないため、依然広く用いられている。[27]

日本語の敬語(あるいは待遇表現)の運用には地域差がある。大まかには、東日本では旧城下町など特定の地域・階層を中心に敬語が発達し、改まった場面に限って用いることが多いのに対し、西日本では幅広い地域・階層で敬語が発達し、改まった場面だけでなくくだけた場面でも日常的に用いる。福島県から静岡県にかけての太平洋側や紀伊半島南部、伊豆諸島(八丈島除く)などは敬語をあまり用いない「無敬語」地域であるが、東京周辺だけは敬語が発達していて言語島をなしている。これは中世から近世にかけて上方から江戸に敬語が移入されたためであり、現在でも「お寒ございます(×お寒くございます)」「ありませ(×ありましない)」などにその名残が見られる。東京を含め現代の多くの方言では絶対敬語から相対敬語へと移行しているが、近畿地方などでは絶対敬語の傾向が残っており、身内敬語も盛んである。[27]

琉球語でも敬語表現が発達している。沖縄方言における敬語もしくは謙譲語的表現の例として、士族階級における「姉妹」という意味の「うない(おなり)」が「うみない(おめなり)」、「兄弟」という意味の「いきー(えけり)」が「うみきー(おめけり)」になるなどの呼称の語形変化が挙げられる。


西欧言語の敬語表現

西欧の言語ではフランス語のvous(vouvoyer)、イタリア語のLei(dare del lei)、ドイツ語のSie(siezen)など、それぞれ別の数・人称の代名詞を用いる事により敬語を表す(vousは二人称複数形、Leiは三人称単数女性形、Sieは三人称複数形)。敬語ではない友達言葉の場合はフランス語のtu(tutoyer)、イタリア語のtu (dare del tu)、ドイツ語のdu(duzen)など二人称単数形になる。別の代名詞を用いる事により語尾の変化もその活用に準じる。

英語では概要でも述べられているようにかつては二人称単数形thouという単語があり、それに対しての二人称複数形youがあったが現在は二人称には全てyouを用いている。よって語尾変化による敬称と友達言葉の差異はないが、言い回しの変化や直接的表現を避ける事による丁寧語は存在する。つまり、その場に相応しい話し方をするには日本語のように尊敬語・謙譲語・丁寧語などと分類してしまえるような単純化・形式化されたもので済ますわけにはいかず抑揚や態度、話の運び方を含めた総合的な配慮が重要である。

朝鮮語の敬語表現

朝鮮語にも日本語と同様に尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類が用言文法範疇として存在する。

中国語における敬語表現

用言の丁寧形があるのはアルタイ語族的特徴である。アルタイ語族ではなくシナ・チベット語族に属し、孤立語である中国語は丁寧語は発達しておらず「です・ます」に相当する丁寧形の体系は存在しない。しかし名詞における敬語が発達しており、尊敬表現としての貴・尊・令と謙譲表現としての敝・拙などの接頭辞がある。例としては貴姓(お名前)、貴庚(ご年齢)、貴體(お体)、貴名(お名前)、貴府(お宅)、尊夫人(奥方)、令尊(お父様)、令堂(お母様)、令郎(お子さん)、敝國(自分の国の謙称)、敝眷(自分の家族の謙称)、敝公司(弊社)、拙作(自分の作品の謙称)、拙見(自分の意見の謙称)、拙夫/賤内(自分の夫/妻の謙称)、寒舍(自分の家の謙称)などがある。

他には、「您貴姓?」(あなたの)の「您」[28]、「歡迎光臨」(いらっしゃいませ)の「光臨」(「來」の尊敬語)などがある。また市場経済導入後の大陸において、「何かを依頼する/働きかける」ときに「…してください/したい」よりも「…することができますか/してもいいですか」という丁寧なニュアンスをもたせるために英語の"Can you ~ ?"または"May I ~ ?"に相当する「能不能」(neng bu neng)、可不可以(ke bu ke yi)を使った疑問文を用いることが多くなっている。

注釈

  1. 日本語では謙譲語と尊敬語とを正しく使い分けることにより、話し手・聞き手が動作の主体・客体なのか、それとも客体・主体なのかが区別されて表現される。
  2. 食物や食器は2文字の物に対して添えられる場合がほとんど。他に茄子を“お茄子”と言うが、一方で人参は“お人参”とは言わない

出典

  1. 『文部科学省学術用語集:言語学編』
  2. Shibatani 1994
  3. Kibort, Anna. Respect. Grammatical Features. 7 January 2008.
  4. 4.0 4.1 井上史雄 2017a, pp. 14-15.
  5. 宇賀治正朋『英語史』開拓社、2000年、174頁。
  6. 井上史雄 2017a, pp. 233-234.
  7. 苅部恒徳「親称の " Thou "と敬称の " You": 英語における2人称代名詞の歴史について」 (pdf) 、『新潟大学英文学会誌』第28巻、1999年7月、 1-15頁、 NAID 110000299961
  8. 8.0 8.1 8.2 浅田秀子『日本語にはどうして敬語が多いの?』アリス館、1997年。
  9. 9.00 9.01 9.02 9.03 9.04 9.05 9.06 9.07 9.08 9.09 9.10 9.11 9.12 9.13 9.14 9.15 9.16 9.17 9.18 9.19 9.20 9.21 尾鼻靖子「現代日本語における敬語の起源の形跡」、『言語と文化』第21号、2018年3月、 45-60頁、 NAID 120006462552
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  13. 13.0 13.1 5 敬語の問題 第1期国語審議会 (文化庁)
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  17. 17.0 17.1 テンプレート:Cite 分かり合うための言語
  18. 井上史雄 2017a, p. 207.
  19. 19.0 19.1 19.2 19.3 19.4 19.5 郡千寿子「文化審議会の答申と敬語教育」、『弘前大学教育学部紀要』第99号、2008年3月、 1-7頁、 NAID 120000917283
  20. これからの敬語(建議)』第1期国語審議会 (文化庁)
  21. 井上史雄 2017a, pp. 15, 59.
  22. 井上史雄 2017b, p. 40.
  23. 井上史雄 2017b, pp. 25-26.
  24. 24.0 24.1 平成17年度「国語に関する世論調査」の結果について”. 文化庁 (2008年7月26日). . 2018閲覧.
  25. 6:動作のことば これからの敬語 『これからの敬語(建議)』1952年
  26. 参考:ことばの世界 基本語から引く尊敬語・謙譲語・丁寧語 三省堂Web Dictionary
  27. 27.0 27.1 加筆者が以下ページ数まで提示しているが、正確にどの部分の参考文献としたかは不明: 宮治弘明「方言敬語の動向」、小林隆・篠崎晃一・大西拓一郎編『方言の現在』明治書院、1996年、第4章283-296頁 ISBN 4-625-42097-0
  28. 「你好」(ニイハオ)で使われる二人称の你(ni3)(ニイ)の敬語形が您(nin2)(ニン)。なお「你好吗?」という挨拶は英語の"How are you?"に由来し、米中・日中の国交回復以前には常用されていない(典拠:司馬遼太郎・陳舜臣『対談 中国を考える』文春文庫)。

参考文献

  • Shibatani, Masayoshi(柴谷方良). 1994. Honorifics. In: Asher, R.E. (ed.) The Encyclopedia of Language and Linguistics. Oxford: Pergamon Press. 1600-1608.
  • 井上史雄 『敬語は変わる』 大修館書店〈大規模調査からわかる百年の動き〉、2017a。ISBN 978-4-469-22260-9。
  • 井上史雄 『新・敬語論 なぜ「乱れる」のか』 NHK出版〈NHK出版新書〉、2017b。ISBN 978-4-14-088508-6。

関連項目

外部リンク

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