擬凸性

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数学多変数複素函数の理論において、擬凸集合(ぎとつしゅうごう、: pseudoconvex set)は n 次元複素空間 Cn 内のある特殊なタイプの開集合である。擬凸集合が重要となるのは、それらが正則領域の分類に有用となるからである。

[math]G \subset \mathbb{C}^n[/math]

を領域、すなわち、連結部分集合とする。G が擬凸(あるいは、ハルトークス擬凸)であるとは、すべての実数 x に対して

[math]\{ z \in G \mid \varphi(z) \lt x \}[/math]

G相対コンパクトな部分集合となるような、G 上のある連続多重劣調和函数 φ が存在することを言う。言い換えると、G が連続かつ多重劣調和なエグゾースチョン函数 (exhaustion function) を持つとき、その領域は擬凸である。

GC2(二階連続的微分可能)級の境界を持つとき、この概念はより簡単に扱えるレヴィ擬凸性となる。より具体的に、C2 級の境界を持つ G には定義函数が存在することが示される。すなわち、G = {ρ < 0} および G = {ρ = 0} を満たすような C2 級の ρ: CnR の存在が示される。今、G が擬凸であるための必要十分条件は、すべての p ∈ ∂G と、p での複素接空間内の w, すなわち

[math] \nabla \rho(p) w = \sum_{i=1}^n \frac{\partial \rho (p)}{\partial z_j} w_j = 0 [/math]

を満たすような w に対して、

[math]\sum_{i,j=1}^n \frac{\partial^2 \rho(p)}{\partial z_i \partial \bar{z_j}} w_i \bar{w_j} \geq 0[/math]

が成立することである。

G の境界が C2 級でないなら、次の近似的な結果が有用となる。

命題1 G が擬凸であるなら、境界が C 級(滑らか)で、G 内で相対コンパクトであるような有界強レヴィ擬凸領域 GkG

[math]G = \bigcup_{k=1}^\infty G_k [/math]

を満たすものが存在する。

この命題がなぜ成立するかと言うと、定義におけるような φ に対して、実際に C エグゾースチョン函数 (exhaustion function) を得ることが出来るからである。

n = 1 の場合

複素一次元において、すべての開領域は擬凸である。したがって擬凸性の概念は、より高次元の場合においてより有意義となる。

関連項目

参考文献