悪の帝国
悪の帝国(あくのていこく、英語: evil empire)とは、1983年にアメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガンがソビエト社会主義共和国連邦を、自由を抑圧し対外膨張を図る国家として非難したときの呼称である。1980年代前半の米ソ関係を象徴する言葉として記憶されている。
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「悪の帝国」演説
レーガンが「悪の帝国」という表現を使ったのは、1983年3月8日にアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催されたアメリカ福音派協会の年次総会での演説である。
全体主義の闇の中に生きる人々すべての救済のために祈りましょう。彼らが神を知る歓びを発見しますように。ですが、それまでは、彼らが[全体主義]国家の優越性を説き、個々人に対するその全能性を宣言し、最終的にはそれが地上の民族全てを支配することを予言する限りは、現代世界の悪の中心であることを理解しておきましょう。(中略)ですから、皆さんが核兵器凍結を議論するときには、自分たちが全てを超越していると楽しそうに宣言して、[米ソ]どちらの側も同じくらい間違っているなどと高慢にも決めつけないように気をつけてください。そして、歴史的事実と悪の帝国の好戦的衝動を無視し、軍備競争は単に大きな誤解の産物であるなどと呼ぶことで、正と邪、善と悪の闘いから身を引くような誘惑に駆られないようにしてください[1]。
反応と影響
ソ連の国営放送であるタス通信はこの発言について、レーガン政権が「対立することと好戦的で狂気じみた反共主義によってしか思考できない」ことを示したものだと批判した[2]。
ジョージ・W・ブッシュ大統領が2002年にイラク・イラン・朝鮮民主主義人民共和国を名指しで使った『悪の枢軸』という言葉は、第二次世界大戦の枢軸国とレーガンの「悪の帝国」発言を同時に想起させる表現として受け止められた[3]。
脚注
- ↑ Remarks at the Annual Convention of the National Association of Evangelicals in Orlando, Florida March 8, 1983 - Ronald Reagan Presidential Library & Museum
- ↑ Reagan, Ronald W., Encyclopedia Britannica.
- ↑ Patrick J. Buchanan, The War Party and the 'Axis of Evil', WMD Commentary.