徳島飛行場
徳島飛行場(とくしまひこうじょう)は、徳島県板野郡松茂町に所在する飛行場。海上自衛隊徳島航空基地(英: JMSDF Tokushima Airbase)と民間航空機が共用する飛行場で、通称は徳島空港(とくしまくうこう、英: Tokushima Airport)、愛称は徳島阿波おどり空港(とくしまあわおどりくうこう、英: Tokushima Awaodori Airport)。
Contents
概要
徳島市中心部から北東に約9キロメートル[1]の紀伊水道に面した海岸部に位置する。防衛大臣が設置管理する飛行場で[2]、海上自衛隊が教育航空集団の基地を併設して使用する。また、空港法に基づく共用空港に指定されており、主に国内線の民間航空に使用されている。
前身は、戦前に開設された海軍航空隊の飛行場で、終戦とともに連合国軍が接収。1958年から海上自衛隊が航空基地の飛行場として使用。1962年に公共用施設に指定され、「徳島空港」として民間航空にも使用されるようになった[2]。2010年からは、公募で決定した「徳島阿波おどり空港」を空港の愛称として使用。2018年には、空港旅客ターミナルビルが増築され、国際線のチャーター便などに対応した出入国審査場などが整備された[3][4]。
空港ターミナルビルのマスコットキャラクターは鳴門の渦潮をモチーフとした「うずぴー」で、2010年から使用されている[5]。
2016年度の年間利用客数は107万826人(すべて国内線)[6]で、着陸回数は日本の空港で第40位、旅客数は第29位となっている[7]。
歴史
- 1941年(昭和16年) - 徳島海軍航空隊として飛行場を開設する。
- 1942年(昭和17年) - 徳島海軍航空隊が発足し、海軍飛行偵察員の訓練基地となる。
- 1945年(昭和20年) - 終戦に伴い米軍により接収される。
- 1958年(昭和33年)3月16日 - 海上自衛隊徳島航空隊が発足し、対潜哨戒機の航空基地となる。
- 1961年(昭和36年)
- 2月1日 - 徳島航空隊救難飛行隊が新編。
- 9月1日 - 航空集団の新編により、徳島航空隊が第3航空群に改編され航空集団隷下に編入。
- 1962年(昭和37年)10月19日 - 公共用飛行場として指定される。東京国際空港線・大阪国際空港線・高知空港線が開設される。
- 1965年(昭和40年) - 徳島県が初代ターミナルビルの新設と誘導路、エプロンの拡張を運輸省(現:国土交通省)に要請する。整備事業が開始される。
- 1966年(昭和41年)10月 - 初代旅客ターミナルビルが完成。
- 1967年(昭和42年)2月15日 - エプロン、誘導路を整備し、民間航空として供用開始。鹿児島空港線が開設される。
- 1973年(昭和48年)3月1日 - 第3航空群が廃止。教育航空集団隷下の宇都宮教育航空群が徳島教育航空群に改編され、宇都宮航空基地から移駐。高知空港線が廃止される。
- 1974年(昭和49年) - 鹿児島空港線が休止される。
- 1979年(昭和54年) - 運輸省より海上自衛隊の航空従事者養成施設として指定を受ける。
- 1983年(昭和58年)11月18日 - 東京国際空港線がジェット化される。
- 1987年(昭和62年) - 1,500mから2,000mに延長した滑走路の供用を開始する。初の国際チャーター便が運航される。
- 1989年(平成元年) - 2代目旅客ターミナルビルが完成する。
- 1994年(平成 6年) - 福岡空港線が開設される。東京国際空港線に全日本空輸も就航しダブルトラックとなる。
- 1995年(平成 7年) - 年間乗降客数が100万人を突破する。
- 1996年(平成 8年) - 新千歳空港線・名古屋空港線が開設される。
- 1997年(平成 9年) - 鹿児島空港線が再開される。
- 1998年(平成10年) - 鹿児島空港線が廃止される。ターミナルビル増改築工事が完成する。
- 2000年(平成12年) - 関西国際空港線が開設される(同年11月廃止)。
- 2002年(平成14年) - 大阪国際空港線が廃止される。
- 2003年(平成15年) - 東京国際空港線から全日本空輸が撤退し、新たにスカイマークエアラインズ(現 スカイマーク)が就航する。
- 2005年(平成17年) - 名古屋空港線が廃止される。中部国際空港線が開設される。
- 2006年(平成18年)
- 2008年(平成20年)3月26日:海上自衛隊体制移行による部隊改編により、徳島救難飛行隊が第22航空群隷下に編入され第72航空隊徳島航空分遣隊に改編。
- 2010年(平成22年)
- 2月3日 - 新旅客ターミナルビルのキャラクターを、一般公募の中から「うずぴー」に決定する。
- 3月26日 - 陸上自衛隊北徳島分屯地が開庁する。
- 4月8日 - 2,000mから2,500mに延長した滑走路および新ターミナルビルの運用を開始。「徳島阿波おどり空港」の愛称が付与される。
- 4月17日 - 滑走路延伸により就航可能となった大型機による那覇空港へのチャーター便が運航される(機材は、同空港初飛来となるB747-400が使用された)。
- 8月31日 - 新千歳空港線が休止される。
- 10月31日 - 東京国際空港の4本目の滑走路の供用開始に伴い、全日本空輸が1日3往復で同空港線の運航を再開する[8]。
- 2012年(平成24年) - 初のインバウンド定期チャーター便が運行される。
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 2016年(平成28年)
- 2018年
- 1月21日 - 旅客ターミナルが増築され、国際線ターミナル機能の供用を開始
就航路線
国内便
行き先 | 旅客数 | 国内線順位 |
---|---|---|
東京国際空港 | 約91万人 | 上位27位 |
廃止された路線
空港内施設
空港ターミナルビルの外観は全面ガラス張りで1階到着ロビーは3階まで吹抜けになっており、開放感あふれる空間になっている。また、1階到着ロビーから3階出発ロビーへのエスカレーター脇には陶板を使用した日本の著名な伝統芸能の一つである阿波おどりの陶板画が飾られている。さらに、阿波おどりの銅像が空港ターミナルビル正面に建てられており、観光客の記念撮影のスポットになっている。空港ターミナルビル内の照明は3階展望ホールを始めとして、徳島県の地場産業であるLED(発光ダイオード)が随所に使用され、環境にも配慮している。
なお、旧ターミナルビルには2014年1月5日に徳島県警察の運転免許センターが移転している。
フロアガイド
- 1階 - 航空会社カウンター、到着ロビー、手荷物受取所、総合案内所、コンビニエンスストア、レンタカー案内所、銀行ATM、交番(徳島県警察/徳島空港警備派出所)
- 2階 - 有料待合室、会議室(2階は専用エレベーターを利用するため一般客は利用できない)
- 3階 - 出発ロビー、搭乗待合室、保安検査場、レストラン、ショップ、カードラウンジ、展望ホール(無料)
店舗
- 物販
- イル・ローザ(洋菓子店)
- BLUE SKY(土産店)
- スカイショップ しらさぎ(土産店)
- 徳島あいぐら(土産店)
- セブン-イレブン 徳島阿波おどり空港店(コンビニエンスストア)
- その他
- 総合案内所
- カードラウンジ
- エアポートラウンジ「ヴォルティス」
- 有料待合室
- レンタカー案内所
- タイムズカーレンタル・トヨタレンタリース・ニッポンレンタカー・日産レンタカー・バジェットレンタカー・レンタくん・オリックスレンタカーの各社について案内している[18]。
- 銀行ATM
- 展望ホール
- 授乳室
- コインロッカー
- 公衆インターネット端末(コイン式)
- 無線LANサービス(公衆無線LAN・docomo Wi-Fi)
- 携帯電話充電コーナー
- 京浜急行 券売機
駐車場
24時間営業、年中無休である。収容台数は760台(うち身体障がい者用10台)。
利用料金は、最初の1時間は無料で、以後1時間から3時間までは従量制、それを超えると24時間ごとの料金となる。
事故・重大インシデント
- 2004年(平成16年)4月3日 - 13時25分頃、米空軍横田基地から岩国基地へ編隊飛行中のF-15戦闘機のうち1機のメーターが燃料不足を示し、2機が緊急着陸する。
- 2015年(平成27年)4月5日 - 午前11時頃、管制官の指示に従って徳島空港に着陸しようとした羽田発の日本航空455便(ボーイング767-346型機、乗員乗客67人)が着陸寸前で滑走路内にいた車両の存在に気がつき着陸をやり直すトラブルが発生した。この際一度車輪が滑走路に接しており、車との距離はわずか800メートルほどだった。乗員乗客に怪我はなく、その25分後に無事着陸した[19]。管制官は滑走路に車両が入ることを許可したおよそ10分後に旅客機に着陸を許可していたことが判明した[20]。
自衛隊基地・分屯地
当飛行場は民間と自衛隊の施設がそれぞれ置かれている(いわゆる「軍民共用」)。自衛隊については以下の基地・分屯地が置かれている。
海上自衛隊徳島航空基地
以下の部隊が所在している。
- 教育航空集団徳島教育航空群
- 第202教育航空隊:TC-90
- 第202整備補給隊
- 徳島航空基地隊
- 呉地方警務隊徳島警務分遣隊
※ 第72航空隊(隊本部:大村航空基地)徳島航空分遣隊(UH-60J)は救難飛行隊を経て55年間の救難任務を解かれ、2015年8月31日に解隊・廃止となった。
陸上自衛隊北徳島分屯地
善通寺駐屯地の分屯地として2010年(平成22年)3月26日に開庁。2012年(平成24年)3月26日より徳島駐屯地の分屯地となる[21](施設所在地:徳島県板野郡松茂町住吉字住吉開拓38番)[22]。以下の部隊が駐留する(分屯地管理業務は徳島駐屯地業務隊が担当)。なお、徳島県への陸上自衛隊駐屯は初となる。
交通
[24] ※公共交通機関(バス)について、運行本数・所要時間・料金等の詳細は、該当項目または空港・運行会社ウェブサイトなどを参照。
- エアポートリムジンバス(徳島バス運行、航空機の発着時間に合わせて運行される)
- 路線バス
- 自動車
- 徳島市中心部より国道11号などを経由して約15km(約25分)。
- 徳島自動車道 徳島インターチェンジより車で約10km。
- 高松自動車道・神戸淡路鳴門自動車道・鳴門インターチェンジより約8km。
- 徳島自動車道 松茂スマートインターチェンジより車で約5km。
関連項目
- 徳島ヴォルティス : 徳島県をホームタウンとするプロサッカークラブ。当空港のラウンジ名にも用いられる、チーム名称の「ヴォルティス」(Vortis)とは、イタリア語で渦を意味する「Vortice」(ヴォルティーチェ)をもとにした造語である[25]。
脚注
- ↑ 徳島市役所とターミナルビルとの直線距離
- ↑ 2.0 2.1 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「ocab_prof
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 徳島阿波おどり空港旅客ターミナルビルの増築・改修工事について - 徳島阿波おどり空港 2016年11月17日
- ↑ “徳島空港に国際線ターミナル完成 21日から運用開始”. 徳島新聞 (2018年1月18日). . 2018閲覧.
- ↑ “徳島空港に新キャラ「うずぴー」-滑走路延長・新ターミナル開業に合わせ観光PR”. みんなの空港新聞. . 2018閲覧.
- ↑ “平成28年度空港管理状況調書 (PDF)”. 国土交通省航空局 (2017年7月26日). . 2018閲覧.
- ↑ “平成28年度(年度)空港別順位表 (pdf)”. 国土交通省. . 2018閲覧.
- ↑ 羽田 - 徳島、全日空10月31日再開、計画前倒し、1日3便 - 日本経済新聞(2010年3月20日付)
- ↑ [1] - 徳島新聞(2014年1月23日付)
- ↑ [2] - 徳島新聞(2014年1月23日付)
- ↑ [3] - 徳島新聞(2015年8月20日付)
- ↑ [4] - 毎日新聞(2015年9月1日付)
- ↑ 「新しい「エンブラエル190」国内線に初就航!」日本航空公式サイト
- ↑ ジェイエアの機材・乗務員による運航
- ↑ FAQ どの便でも利用できますか? (ANA CARGO) - ANA
- ↑ “平成26年度の航空輸送統計の概況について” (PDF) (プレスリリース), 国土交通省総合政策局, (2015年7月3日)上位50位までを記載
- ↑ 徳島空港、1階のコンビニ「Yショップ」がセブン-イレブンにリニューアル - FlyTeam(2014年1月10日付)
- ↑ 施設案内(4・レンタカー案内所) - 徳島空港利用促進協議会(2014年2月10日閲覧) ※記述序列は出典元に準拠。
- ↑ “作業中の滑走路に旅客機=直前で着陸回避、管制官ミス−徳島空港”. 時事通信社 (2015年4月5日). . 2015閲覧.
- ↑ “徳島空港 誤った着陸許可 当時のやり取り調査”. NHK (2015年4月5日). . 2015閲覧.
- ↑ “陸自・徳島駐屯地が始動 阿南で編成完結式”. 徳島新聞Web (徳島新聞社). (2012年3月27日) . 2013閲覧.
- ↑ 防衛ハンドブック(2012年版)ISBN 978-4750920337
- ↑ 第14飛行隊 - 陸上自衛隊(防衛省)
- ↑ 所要時間・距離は外部リンク(徳島空港利用促進協議会)の「交通アクセス」に準拠。(2014年2月10日閲覧)
- ↑ “徳島ヴォルティス 会社概要”. 徳島ヴォルティス. . 2013閲覧.
外部リンク
- 徳島阿波おどり空港 - 徳島空港利用促進協議会 ※旅客利用・ターミナルビル案内など。
- 徳島教育航空群 - 海上自衛隊
- 徳島飛行場 - 国土交通省大阪航空局
- 地図 - Google マップ