御釜 (蔵王連峰)
御釜(五色沼) | |
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所在地 | 宮城県刈田郡蔵王町 |
位置 | |
面積 | 0.9 km2 |
周囲長 | 1.08 km |
最大水深 | 27.6 m |
平均水深 | 17.8 m |
水面の標高 | 1,550 m |
成因 | 火口湖 |
淡水・汽水 | 淡水(酸性) |
湖沼型 | 酸栄養湖 |
御釜(おかま)は、宮城県刈田郡蔵王町と同県柴田郡川崎町の境界付近(境界未定地域)にある火口湖のことで、五色沼(ごしきぬま)とも呼ばれる。蔵王連峰の観光のハイライトとして知られる。
概要
御釜は、蔵王連峰の中央部の最も標高の高いエリアにある。同エリアはカルデラとなっているが、外輪山は東側が崩壊している。外輪山の尾根をたどると北側が「ロバの耳岩」(地図)辺りから西側の「馬の背」(地図)を経て南側の「刈田岳」(標高1,758m。地図)に至るラテン文字の「C」、あるいは、馬蹄形になっている。この外輪山の内側に標高1,674mの「五色岳」(地図)という中央火口丘(後カルデラ火砕丘)があり、同岳の西側中腹に直径約400mの爆裂火口がある[1]。この火口の底に水が溜まってできた火口湖が「御釜」である(カルデラ湖や火口原湖ではない)。
刈田岳頂上には「蔵王連峰」の名称の由来となった「刈田嶺神社(奥宮)」(地図)があるが、特に同神社周辺から見ると御釜は、外輪山の「馬の背」と爆裂火口(馬の背カルデラ)によってえぐられた中央火口丘の「五色岳」とによってぐるりと周囲を囲まれているように見え、水を入れた釜に例えることが出来る。また、御釜の湖水は、火山活動によって度々沸騰している。御釜という名称のはっきりした由来は不明だが、このような周囲の地形、あるいは、火山活動による水温上昇や水蒸気爆発との関係で語られることがある。「カルデラ」はスペイン語で「釜」の意だが、これの和訳という説は見られない。
なお、県境から御釜(五色沼)の縁まで地図上で400m未満しかなく、県境の馬の背からでも眺めることが出来るため、観光ガイドには山形市または上山市の観光名所として紹介されている場合もある[2]。また、山形放送(YBCテレビ)[3]の気象情報の背景映像や山形県内企業のテレビCMにも御釜が登場している。
御釜(五色沼)
水は常に淡い緑色に濁り、その色調は季節によって様々である。水質は、pH=3.5の酸性であり、生物は一切生息していない。
御釜は、濁川と言う河川の源流である。東に向けて流れ出ており、遠刈田温泉の手前で澄川と合流して松川と名を変え、さらに白石川、阿武隈川を経て太平洋に注ぐ。激しい噴火活動があると、この川に沿って泥流が流れる傾向がある。
火山活動
蔵王の火山活動は、約100万年前から始まったとする説もある[4]が、少なくとも70万年前には始まっていたと考えられている[5]。約3万年前には山体崩壊が発生してカルデラが形成された[4]。その後、約3000年〜2000年前頃の活動で東側の外輪山が崩壊し、現在のような東側に開いたC形あるいは馬蹄形の外輪山となった[5]。約2000年前からは同外輪山の内側での活動により中央火口丘(後カルデラ火砕丘)である五色岳が形成された[4]。当初の火口は、現在の五色岳の最高部の南側、すなわち、現在の御釜の中心から見て南東方向にある窪地である(地図)[4]。
御釜は、1182年(養和2年)の噴火により誕生した。1820年(文政3年)以降に水が溜まり始めたと推定されている。
なお、最新の噴火は1918年(大正7年)に発生し、噴気が発生した。その後、噴火には至っていないが、1939年(昭和14年)頃に水温の上昇が見られた。現在も湖底に何箇所かの気孔が存在し、火山ガスの継続した噴出が続いている。
ギャラリー
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北側の馬の背(山形・宮城県境)から2006年9月に撮影。正面は外輪山の刈田岳 | 西側の馬の背(山形・宮城県境)から2009年8月に撮影。正面は中央火口丘の五色岳。 | 南側の刈田岳(宮城県)から2005年4月に撮影。左の尾根は外輪山の馬の背、右の尾根は中央火口丘の五色岳 |
交通
御釜へは、宮城県、山形県両県からアクセスすることが出来る。アクセス路となるのは「蔵王エコーライン」(宮城県道・山形県道12号白石上山線)である。蔵王エコーラインへと向かうには、宮城県側は東北自動車道・村田ICまたは山形自動車道・宮城川崎ICが、山形県側は山形自動車道・山形蔵王ICまたは東北中央自動車道・山形上山ICが最寄りのインターチェンジとなる。
車で御釜の観覧ポイントまで直行するには、蔵王エコーラインから有料道路である「蔵王ハイライン」に入り、終点にある「蔵王刈田山頂駐車場」(宮城県刈田郡蔵王町、無料400台)に車を止める形になる。「蔵王山頂レストハウス」(宮城県営蔵王レストハウス、地図)自体も、御釜の観覧ポイントであるが、そこから遊歩道を使って刈田岳頂上や馬の背に向かうこともできる。
バスで向かうには、白石蔵王駅発着の1日2便(ただし土日祝日のみ運行)があり所要時間は1時間42分である[6]。また山形駅発着の1日1便(往復)があり所要時間は1時間36分である[7]。冬期間は後述の通り運行していない。
また、蔵王エコーライン沿いにある「蔵王高原刈田駐車場」(宮城県刈田郡七ヶ宿町、無料80台、地図)に車を止めて、ヤマコーリゾートが運営する「刈田リフト」(宮城県七ヶ宿町〜山形県上山市)、もしくは登山道で馬の背の稜線上に出ることもできる。
ただし、蔵王エコーラインには冬季閉鎖期間があり、冬季の御釜へのアクセスは、冬山登山によるもの以外は不可能となる。
脚注
- ↑ 外部リンク(桜島国際火山砂防センター)より。
- ↑ 山形市・山形市観光協会「やまがた観光カタログ 山形十二花月」(2011年11月)13頁、やまがた観光キャンペーン推進協議会「山形県観光ガイドブック 山形への旅」(H22年10月)7頁、上山市観光協会「第28回かみのやま温泉全国かかし祭り」パンフレット(平成10年9月)25頁、ほか多数。
- ↑ 刈田リフトや蔵王坊平ライザワールドスキー場を運営しているヤマコーリゾートは、山交バスを中核とするユトリアグループのグループ企業である。また、山形放送の2014年時点の代表取締役社長は、ヤマコーの取締役の1人である。服部敬雄参照。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 蔵王火山の活動史と巡検案内 - 東北大学東北アジア研究センター
- ↑ 5.0 5.1 外部リンク(気象庁)より。
- ↑ 蔵王町観光物産協会平成27年6月22日改正
- ↑ 山交バス・山形駅⇔蔵王刈田山頂平成29年8月1日改正