弁護士法

提供: miniwiki
移動先:案内検索
弁護士法
日本の法令
法令番号 昭和24年6月10日法律第205号
効力 現行法
種類 行政法
主な内容 弁護士の業務
条文リンク 総務省法令データ提供システム
テンプレートを表示


弁護士法(べんごしほう、昭和24年6月10日法律第205号)は、弁護士制度を定める日本法律

弁護士・弁護士法人の使命、職務、弁護士会の制度などを定めるほか、無資格者の法律事務の取扱い禁止、法律事務を取り扱う表示の禁止、弁護士・法律事務所の名称使用禁止(非弁活動の禁止)などを定める。

沿革

1892年に設置された代言試験手数料納付方(明治25年7月11日司法省令第6号)の後継の法規として、1893年に、明治26年3月4日法律第7号として制定された[1]東京弁護士会(1893年)や各地の単位弁護士会、第一東京弁護士会(1923年)帝国弁護士会(1925年)、第二東京弁護士会(1926年)などが発起されていったあと、1933年(昭和8年5月1日法律第53号)に全部改正された。弁護士の団体にはその他、大日本弁護士報国会、司法改革同志会、日本弁護士協会、日本弁護士協会、大東亜法曹協会などが存在した[2]

第二次世界大戦の敗戦時には弁護士である有力な貴族院議員・衆議院議員も少なくなかったが、弁護士法は1949年に全部改正され、現在に至る(昭和24年6月10日法律第205号)。

かつての外地

明治時代から1949年までの弁護士法は、裁判所構成法と同様、当時外地とされていた朝鮮には施行されたことがなく、朝鮮の司法制度は、朝鮮総督に隷属していた。団体としては京城内地人弁護士会、朝鮮人弁護士会、全鮮弁護士会などがあったが、現地の弁護士や裁判官の地位は保証されておらず、このことから現地の弁護士らから大日本帝国に対し請願などの働きかけが行われていたことがある[3]

かつての満州国については、1936年から終戦まで、日満法曹協会が設置されていた[4]

構成

  • 第一章 弁護士の使命及び職務(1 - 3条)
  • 第二章 弁護士の資格(4 - 7条)
  • 第三章 弁護士名簿(8 - 19条)
  • 第四章 弁護士の権利及び義務(20 - 30条)
  • 第四章の二 弁護士法人(30条の2 - 30条の30)
  • 第五章 弁護士会(31 - 44条)
  • 第六章 日本弁護士連合会(45 - 50条)
  • 第七章 資格審査会(51 - 55条)
  • 第八章 懲戒
    • 第一節 懲戒事由及び懲戒権者等(56 - 63条)
    • 第二節 懲戒請求者による異議の申出等(64 - 64条の7)
    • 第三節 懲戒委員会(65 - 69条)
    • 第四節 綱紀委員会(70 - 70条の9)
    • 第五節 綱紀審査会(71 - 71条の7)
  • 第九章 法律事務の取扱いに関する取締り(72 - 74条)
  • 第十章 罰則(75 - 79条の2)
  • 附則(80 - 92条)

内容

弁護士の資格・名簿

弁護士の資格取得には司法修習を経ることのほか、特例もある。欠格事由が発生した場合は、弁護士資格を失う。また、弁護士となるためには、弁護士自治により、日本弁護士連合会の弁護士名簿への登録を要する。

弁護士の権利・義務

法律事務所の設置義務、会則の遵守義務、守秘義務非弁提携の禁止などを定める。

弁護士法人

弁護士法人は、弁護士社員とし、訴訟活動などを行う法人である。平成14年に施行された本法改正により設立が認められるようになった。

弁護士会・日本弁護士連合会

弁護士会は、弁護士・弁護士法人の指導・連絡・監督を行う。各地の弁護士会で組織される会が日本弁護士連合会(日弁連)である。

資格審査会

弁護士登録について必要な審査を行う機関であり、弁護士会、日本弁護士連合会に設置される。会長と委員数名によって構成する。

懲戒

会則違反や非行があった弁護士又は弁護士法人は、所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったものとして、懲戒を受ける。懲戒権者はその弁護士等の所属弁護士会である。弁護士会には綱紀委員会が設置され、懲戒委員会の議決で懲戒する。

懲戒請求者は、弁護士会が対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしたとき、相当の期間内に懲戒の手続を終えないとき、弁護士会がした懲戒の処分が不当に軽いと思料するときは、日本弁護士連合会綱紀委員会、綱紀審査会、懲戒委員会に対し異議を申し出ることができる。

法律事務の取扱いに関する取締り

弁護士・弁護士法人における法律事務の取扱いを定める。

罰則

非弁(弁護士資格を持たずに弁護士の業務を行うこと)、非弁提携に関しては罰則が定められている。

脚注

  1. 法令沿革』、国立国会図書館。
  2. 東京の会の総会などは主に上野精養軒で行われていた。
  3. 吉武繁、姜世馨、堀直喜、沈相直、李弘錘、山中大吉『請願書』(1934年)、『正義』第12号、帝国弁護士会(1936年)
  4. 日満法曹協会記念誌』、日満法曹協会(1935年)

外部リンク

ウィキソースには、帝国弁護士会に関する文献の原文があります。