府中市 (広島県)
「府中」は国府所在地を表す一般名詞で日本各地にあり、また東京都には同一市名の府中市(武蔵府中)が、広島県内にも安芸郡府中町(安芸府中)が存在する。広島県府中市は備後国の府中であり、他の府中と区別するために「備後府中」とも呼ぶ。
Contents
地理
盆地を形成する市域を、一級河川芦田川が貫流する。中心市街地は隣接の福山市新市町と完全に連続して集積しているが、旧上下町地区は他の地区とは孤立している。
市名
語源
府中市の地に、大化の改新以後、律令時代に備後国の国府が置かれたとする説があり[注 1][1]それに由来する。
同名自治体
同じ名称の市が複数存在する例は、1955年(昭和30年)1月1日から2005年(平成17年)12月31日までのあいだは府中市が全国で唯一であった。
- 1955年(昭和30年)1月1日 - 福島県若松市が周辺町村の編入に伴って名称を会津若松市に変更し、福岡県若松市(現・北九州市若松区)との同一市名が回避された。
- 2006年(平成18年)1月1日 - 福島県伊達市が成立し、北海道伊達市と同一市名になった。
隣接する自治体
人口
慢性的な人口減、高齢化に悩んでおり、1990年代より毎月50人前後の人口減が継続している[2]。2004年には人口約6000人の上下町と合併したが、2018年4月1日には人口が40,007人(前月比106人減)となり[3]、2018年7月には4万人を割り込んだ39,849人となった[4]。
府中市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
歴史
府中町成立前
- 奈良・平安時代に備後国府が現在の府中市中心部付近に置かれた。
- 1619年(元和5年) : 徳川家康の従兄弟水野勝成が西国鎮衛の役目を命じられ備後国東南部・備中国西南部の十万石に転封 現在の市域のうち旧御調郡を除く地域は備後福山藩領となる。
- 1698年(元禄11年) : 5代藩主水野勝岑の死去により、無嗣除封。この時に旧甲奴郡分は天領となる。天領支配のため上下陣屋が設けられる。
- 1699年(元禄12年) : 松平忠雅が福山に転封。
- 1710年(宝永7年)
- 松平忠雅が福山から移封。
- 阿部正邦が福山に転封。
- 1845年(弘化2年) : 阿部正弘が幕府老中首座に就任。
- 1871年(明治4年)
- 1872年(明治5年) : 深津県と倉敷県が統合し小田県設立。それに伴い、県庁は笠岡に移転。
- 1875年(明治8年) : 小田県が岡山県へ編入。
- 1876年(明治9年) : 岡山県より旧備後国沼隈、深津、安那、品治、芦田、神石の6郡が広島県に移管。
市町村制施行以後
- 1896年(明治29年)6月3日 : 芦田郡府中市村が町制施行し、芦田郡府中町(初代)が成立。
- 1898年(明治31年)10月1日 : 芦田・品治(ほんじ)両郡が統合され、芦品郡が成立。府中には芦品郡役所が設置される。
- 1914年(大正3年)7月21日 : 両備軽便鉄道(現 : JR福塩線)・両備福山(1935年廃止) - 府中町(現 : 府中)間が開業。
- 1923年(大正12年)4月1日 : 栗生(くりぶ)村土生(はぶ)の一部を編入(現在の府中市用土町の区域)。
- 1925年(大正14年)2月1日 : 芦品郡出口町と対等合併し、府中町(2代)が成立。
- 1927年(昭和2年)6月25日 : 両備軽便鉄道・両備福山 - 府中町間が電化される(中国地方の国鉄線では初の電化)。
- 1938年(昭和13年)7月28日 : JR福塩線が府中 - 上下間の開通をもって全通。
府中市成立後
- 1954年(昭和29年)3月31日 : 芦品郡府中町及び岩谷・栗生・国府・下川辺・広谷各村が対等合併し、市制施行。(同市名である東京都府中市の市制施行は翌4月1日)
- 1956年(昭和31年)9月30日 : 芦品郡河佐村と御調郡諸田村の一部(小国・諸毛)、御調町三郎丸を編入。
- 1975年(昭和50年)2月1日 : 芦品郡協和村を編入。
- 1986年 御調採石の採石場から、カドミウムなどの重金属を含む汚水が出口川に流れ込んでいることが明らかとなる。
- 1993年(平成5年)4月1日 : 市内を通る主要地方道2路線(広島県道24号福山上下線の一部・広島県道49号府中御調線の全線)が国道486号に昇格する(これにより中国地方全49市〔当時〕に国道が通ることになった)。
- 2004年(平成16年)4月1日 : 甲奴郡上下町を編入。
行政
歴代市長
代 | 氏名 | 就任日 | 退任日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
初代 | 宗藤信夫 | 1954年5月12日 | 1958年5月11日 | 1期 |
2代 | 北川實夫 | 1958年5月12日 | 1966年5月1日 | 2期 |
3代 | 青山春雄 | 1966年5月2日 | 1970年5月1日 | 1期 |
4代 | 北川實夫 | 1970年5月2日 | 1982年5月1日 | 2期 |
5代 | 浦上秀男 | 1982年5月2日 | 1986年5月1日 | 1期 |
6代 | 橘高泰司 | 1986年5月2日 | 2002年5月1日 | 4期 |
7代 | 伊藤吉和 | 2002年5月2日 | 2014年5月1日 | 3期 |
8代 | 戸成義則 | 2014年5月2日 | 2018年5月1日 | 1期 |
9代 | 小野申人 | 2018年5月2日 | 現職 |
官公庁
- 府中市役所
- 広島県警察府中警察署(府中市域全域を管轄)
- 福山地区消防組合消防局 府中消防署・小塚出張所
- 法務省広島法務局府中出張所
- 法務省府中区検察庁
- 財務省府中税務署
- 厚生労働省広島社会保険事務局備後府中事務所
- 厚生労働省広島労働局府中公共職業安定所
- 厚生労働省広島労働局府中労働基準監督署
- 農林水産省近畿中国森林管理局広島森林管理署府中森林事務所
- 農林水産省近畿中国森林管理局広島森林管理署上下森林事務所
- 府中簡易裁判所
- 広島県備北地域事務所建設局上下支局
- 広島県福山家畜保険衛生所
教育
1970年代より、同和団体による教育への過剰な干渉が広島県で問題となった。府中市は福山市や芦品郡、世羅郡などとともに、それらの問題が激かった地区である。国会で問題視され文部省による是正措置が行われた後は解消しつつある。
以下は市内の教育機関のリストである。
高等学校
中学校
義務教育学校
小学校
産業
内陸工業都市であり、備後都市圏の一翼を担っている。地場産業としての家具づくりには江戸時代からの伝統があり「府中家具」として知られる。特に府中タンスは桐の高級家具とされている。また、「府中味噌」の産地となっている。他は、リョービ、北川鉄工所、ヒロボーなどが当地を発祥とし当地に本社を置く企業も複数ある。また、青山商事、ハローズ、ジーベックの発祥地である。
工業
- 府中市に本社を置く企業
- リョービ - ダイカスト製品大手(東証1部上場)
- 北川鉄工所 - 工作機器・鋳造(東証1部上場)
- 北川精機 - 電子基板製造装置、リフト製造大手(JASDAQ上場)
- ヒロボー - 無線ヘリ製造大手
- ヤスハラケミカル - 接着剤製造大手(東証2部上場)
- 京セラインダストリアルツールズ - 電動工具大手
- ニチマン - 靴製造
鉱業
- 瀬戸鉱山(岩谷鉱山) - 亜鉛が採掘された。 昭和13年より開発。昭和19年まで操業した。荒谷町。
食品
- 金光味噌 - 府中味噌の老舗
- 浅野味噌 - 府中味噌の老舗
交通
空港(最寄)
路線バス
市内・近郊路線
- 中国バス
- 福山駅前 - 中国中央病院/森脇 - 新市 - 府中 - 目崎車庫 - 市 - 尾道線
- 福山駅前 - 中国中央病院/森脇 - 新市 - 府中 - 目崎車庫 - 木ノ山線
- 目崎車庫 - 木ノ山 - 上下
- 金丸車庫 - 新市 - 府中 - 目崎車庫 - 市 - 如水館線
- 府中郵便局前 - 目崎車庫 - 枝上 - 尾道線
- 目崎車庫 - 菅 - 市
- (市内線)諸毛線・栗生線・本山団地(金丸)線・南宮台団地線・府中市循環線
- (上下駅)高蓋線・呉ヶ峠線・太郎丸線
都市間高速路線
- エトワールセト号(新宿) : 小田急シティバス・中国バス
- びんごライナー(大阪) : 近鉄バス・中国バス
- 神戸ライナー(神戸) : 中国バス
- リードライナー(広島・広島空港行に連絡) : 広島交通・中国バス
鉄道
- 府中駅(福塩線).JPG
府中駅
- Ukaieki.JPG
鵜飼駅
- 高木駅(福塩線).JPG
高木駅
道路
主な公共施設
- 府中市保健福祉総合センター(リ・フレ)
- 上下保健センター
- 府中北市民病院
- 府中市立湯が丘病院
- 府中市文化センター
- 府中市立総合体育館(ウッドアリーナ)
- 府中市勤労青少年体育センター
- 府中市B&G海洋センター
- 府中市立図書館
- 府中市立図書館上下分室
- 府中市歴史民俗資料館
- 府中市上下歴史文化資料館
- 河面谷民俗資料館
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
名所
- 備後国府 - 遺跡はすべて埋め戻されており、出土品は資料館に収蔵されている。
- 白壁のにあうロマンの町並み(正式名称) - 上下町
- 矢野温泉 - 国民保養温泉地。主要施設は2016年12月閉鎖。
- 三郎の滝 - 滝滑り。
- 石州街道出口通りの町並み・銀山通り - 石見銀山に向かう街道の出口にあたる甘南備神社の門前町。
- 日本一の石灯籠 - 1841年(天保12年)に完成した地上総高9メートル、笠石面積約4畳半の巨大な石灯籠。
- 恋しき - 大正時代の料亭・遊郭を改修し、お土産・喫茶・庭園公開。
- オオムラサキの里(僧殿町)
- 道の駅びんご府中
- 河佐峡
- 羽高湖
- 青目寺・七ツ池
博物館
催し
- 備後国府まつり - 毎年7月に開催される夏祭り。花火大会やパレードが行なわれる。2012年までは「府中ドレミファフェスティバル」と呼ばれていた。
- 府中産業メッセ - 地場産品の展示・実演・即売会などのイベントが、府中市立総合体育館(ウッドアリーナ)で開催。
- 安楽寺のサツキ祭り。
名物
- 府中焼き …… 豚バラ肉の代わりにミンチ肉を使用したお好み焼き。町おこしの一環として、府中焼きフェスタなどのイベントを開催[7]。東京都千代田区には、府中市の物産アンテナショップを兼ねた府中焼き店「NEKI/ネキ」が出店している[8]。
コード
市外局番
市外局番は0847(府中MA:市内局番40 - 69)となっている。同一市外局番の世羅町など(甲山MA:市内局番20 - 39)及び神石高原町(東城MA:市内局番80 - 99)は、MAが異なる(隣接区域)ため、市外局番 (0847) が必要である。
郵便番号
郵便物の集配は、以下の局が行っている。2006年10月16日の再編に伴い、変更された。
出身有名人
以下は府中市内および旧上下町の出身有名人のみを記載しており、五十音順で掲載している。
- 青山五郎 (青山商事創業者)
- 青山行雄 (讀賣テレビ放送社長・名誉会長)
- Akira TAKAUE (アキラ・タカウエ) (建築写真家、ファインアートフォトグラファー)
- 安藤雅司 (アニメーター)
- 市川洋 (芸術家)
- 伊原春樹 (元西武ライオンズ監督、元オリックス・ブルーウェーブ監督、元読売ジャイアンツヘッドコーチ、上下町出身)
- 今城國忠 (彫刻家)
- 浦上豊 (リョービ創業者)
- 岡田冨美子 (作詞家)
- 岡田美知代 (文学者、上下町出身)
- 小野文恵 (NHKアナウンサー 鶴瓶の家族に乾杯、ためしてガッテン、週刊ニュース深読み)
- 片岡光宏 (元広島東洋カープ、中日ドラゴンズ、大洋ホエールズ内野手、宮崎ゴールデンゴールズ監督)
- 橘高香純 (NHK高知放送局元契約キャスター、愛媛朝日テレビ元アナウンサー、広島テレビアナウンサー ストレイトニュース テレビ派)
- 栗本光明 野球選手
- 高橋一三 (元読売ジャイアンツ、日本ハムファイターズ投手)
- 高橋美香 (フォトジャーナリスト、高木町出身)
- 田中卓志 (アンガールズ、 お笑い芸人、上下町出身)
- 萩田詩乃 (山陰中央テレビジョン放送元アナウンサー、 笠岡放送アナウンサー)
- 林夏輝(俳優)
- 原田砂織 (彫刻家)
- 臂美恵 (仏教漫画家)
- ヒラノトシユキ (イラストレーター)
- 平幹二朗 (俳優、上下町出身)
- 堀江賢治 野球選手
- 根来広光 野球選手
- 松本英彦 (サックス奏者)
- 森友嵐士 (元T-BOLAN、ラジオパーソナリティ、シンガーソングライター)
- 安田義達 (日本海軍軍人)
- 柳憂怜 (俳優、たけし軍団)
- 渡辺礼次郎 野球選手
名誉市民・特命大使
府中市ふるさと大使
関連項目
脚注
注釈
出典
- ↑ 府中ニュース速報 平成16年9月16日掲載『歴史講座 備後国府跡』(広島県教育員会にかわり広島県府中市教育委員会が調査を続けているが、国府とりわけ政庁跡が確定出来ていない)
- ↑ 府中市広報 2012年-2013年
- ↑ 住民基本台帳 広島県府中市 2018年4月1日
- ↑ 住民基本台帳 広島県府中市 2018年7月1日
- ↑ 市町長及び議会議員の任期満了日等一覧(平成30年2月5日現在)
- ↑ 6.0 6.1 「広島県府中市都市計画図 2012年」より
- ↑ 備後府中焼きを広める会
- ↑ 備後府中焼き・広島県府中市アンテナショップ NEKI/ネキ(2017年12月22日閲覧)
- ↑ “府中ふるさと大使にアンガールズ 市が任命、観光や産業の魅力発信”. 山陽新聞 (山陽新聞社). (2015年4月24日) . 2015閲覧.